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神のDB(010)

(010)激戦からの現実逃避~|ω・)どうぞ~

前のお話:https://note.com/daikiha/n/n8e961b0cf294

後のお話:https://note.com/daikiha/n/n8764d5d6babc

/⇒


ますみはトイレに向かっていた。

その時彼女は少し浮かれていた。

彼と買い物に来て、楽しい?話をして、これからの彼との生活を思い、少し浮かれていた。
だから、怠っていた。実際は怠ってはいなかった。
周囲への警戒、彼に対する警戒は。
怠っていたわけでなく、抜けていたのだ。監視対象を。
そう、自分という監視対象を。
だから、彼女は彼の監視をしていて、自分の監視を怠っていたのだ。

ますみは、女子トイレに向かう。
女子トイレは向かって左側。そこに向かっていた、そこに目線がいっていたことで向かって右側の男子トイレに人がいたことは認識していたが、その人物が、その人物の手に、ボウガンを持っていたことまでは認識から外れていた。
それは致命的なことだった。
トイレまで5mに迫ったとき、ますみはそれに気付いた。気付いたのだ。
しかし、遅い。
気付いた時には既にボウガンから矢が発射されていた。そう、その矢がますみの顔を狙っていた。

ますみは動けず、ただ、矢が飛んでくる方向に目線を向けることしか出来ず・・・

/⇒/⇒


そう、彼、山崎常人(つねひと)の計画は完璧を期していた。

ターゲットである救世主を葬るため、上からの情報から既にこのショッピングセンターに来ることは知っていた。しかし、そうは簡単でなく、護衛のレジスタンスが付いている。

しかし、彼の計画は揺るがない。
そう、そのパターンは既に彼の計画に組み込んでいる。
まずは護衛。
救世主への警戒は完璧だろう、が、護衛自身の警戒は薄くなっている。そこに仕掛ける、罠を。
情報によれば、今の救世主には能力としての力が殆ど発現していない。
そう、つまり護衛を葬れば、後は簡単。
彼の能力である『弓』の能力。あらゆる『弓』に関わる武器を使いこなせるこの能力で、まずは護衛を始末する。

そして、彼は仕掛ける。
高確率で使用するトイレに。6つあるトイレの全てに仕掛けた。
そう、女子トイレに。
遠隔操作によって発射するボウガン。完全にカモフラージュするため、トイレのマークに仕掛けたボウガンは、女性のマークの顔の部分に発射口を仕掛ける。自身は吹き抜けになっている2階の通路、吹き抜け方面で監視するだけ。彼らの行動を監視し、どこのトイレに行くかを確認するだけで、まずは護衛を、そして、その後、二階から自身の自慢のボウガンで救世主を射止める。
簡単な仕事。

そして、その時は訪れる。
1回真ん中のトイレに案の定、向かう二人。まずは救世主が。それはやり過ごし、そして女が向かう。これでチェックメイト。罠にかかったウサギを仕留めるがごとく、発射ボタンを押す。最適な、相手が気付いてもよけられないぐらいの距離で、押すだけ。
そう、簡単な仕事。

そして彼はボタンを何事も無く押すと・・・・

/⇒/⇒/⇒爆発

ドスーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!


ますみはその音を自分の左側から聞いた。と、同時に衝撃を受けていた。そして吹っ飛んだ。
「!」
そう、ボクはますみに大型のショッピングカートを力の限りぶつけたのだ。
その瞬間、矢がボクの目の前を飛んでいって、運良く誰もいないところの売り場の棚に突き刺さっていた。

『くはぁ』
ますみがボクの目の先で仰向けになりながらうめいていた。
ボクは矢が飛んできた方を確認しつつ、ますみの方に駆け寄る。
『ますみ!大丈夫』『くそぉ!』(ゲシィ!!)『かぅぅぅ!』見事な股間への蹴り上げだった。
『どこから、しくじったわ。私としたことが。ダイキ、いつまでうずくまっているの!敵よ!相手はボウガンを使っているわ。まだ、どこからか私たちを狙っているはずよ。って聞いているの!もう!』
ますみはボクの尻をゲシゲシと踏みつけ蹴っている・・って、おまえぇ~
『こりゃぁぁ。この恩知らず~ぅ。人がせっかく助けてやったのに、この仕打ち・・・おう、玉とアナルのダブルで・・・』
『なによ、いきなりあんなもん思いっきりぶつけといて、もう少しましなやり方考えなさいよ。あやうくノックアウトするところだったわよ。でも助けてくれたからそれくらいで済ましているんじゃない!』(キン!)
何かをますみは弾いていた。既に手にとっていた剣で。って・・
『なに!突っ込みどころが多すぎるが、まず今飛んできたのボウガン?あと、そんなもんどこに隠していたんだ!!銃刀法違反じゃねぇか!捕まるぞ!警察に!』
『大丈夫よ、ただのおもちゃってことにするから』『いやいや、おもちゃでボウガンの矢は』『うるさい』(ゲシィ!)『はじけあうん!』
ますみは剣を構えながら器用にも足でオレの穴(のアナ)に正確につま先キックを連打で入れてきた。
『そんなことより、ダイキ、ココは危険。多分敵は2階よ。今は隠れているけど、正面2階のところから狙っているわ。相当の弓の使い手ね。神仕だわ。とりあえず死角に入り込むわ。って早く立ちなさいよ!』
おおう、ボクとしてはこいつといること自体が命の危険なような・・・。ボクたちは2階からの死角になるところに移動しようとしたとき、

「ほう、なかなかの運の良さ。さすが救世主、ということか。」

声が聴こえてきた。
方向としては女子トイレ。さっき確認した矢が飛んできたほう、多分、女子トイレのマークにマイクをしかけているんだろうか?
「良くオレの仕掛けに気付いたものだ。俺の名は、山崎常人。お察しの通りの神仕だよ。あんたを始末する命できたんだ。ってなんでこんなことぺらぺら話しているって思っているんだろう?答えはシンプルだ。最終的にはお二人さんは、死ぬからだ。幾ら死角に逃げようが、無駄だ。だって、ココには死角はないんだ。そうしたんだよ、オレがね。どこに逃げても無駄。だから二階にきな。そこにガーデニングフロアがある。そこで決着を付けようじゃないか。オレはそこで待っているよ。堂々とね。では、後ほど。っと、外への連絡とか妙なことをした時点で、お二人さん、ボウガンの餌食だ。くれぐれも注意してくれよ」
ブツッ、声が消えた。

/⇒/⇒/⇒☆⇒/


ボウガンを打った山崎はその光景に意表をつかれていた。
確実に仕留められたと思ったターゲットをこんな形で外したことに。

しかし、直ぐに冷静になる。
そう、これも想定内。
失敗したときの「保険」は幾つも仕掛けている。そして、先ほど彼らをその「保険」に誘った。常に監視なんて、ウソ。どこからでも狙えるなんて、ウソ。そう、彼の言った言葉は殆どウソ。幾ら弓使いの能力が高く、罠を仕掛ける能力に長けているからといって、そんな完璧な仕掛けなんてできない。そう、彼は人間、只の人間だ。矢を自在に操れる、なんて超能力のような力はない。だから彼の計画は矢による仕掛け罠と、言葉のウソ。全てに完璧な仕掛けはできない。しかし1箇所、完璧な仕掛けをしたたった1箇所の場所へ誘導すればいい。先ほどのトイレの仕掛けも完璧だが、2度もあんな奇跡は起きない。あんなタイミングでの回避なんてありえないのだ。あんなの未来予知でもない限り。二人の能力にそんなものがあるという報告は受けていない。
つまり・・・

今度こそ、仕留められる、ということだ。

山崎は指定したガーデニングフロアに向かう。
そう、彼の中にはなにも不安はなかった。

そう、この時にしなかったのだ、本来すべき・・・・

/⇒/⇒/⇒爆発⇒/⇒/


2階ガーデニングフロア。
大きなガラス窓が上、そして向かい側面にあり、光が入り込んでくる。幅20m、奥行き15mの長方形のフロアには、中央に円形に且つ、十字路があり、その4つに区切られた場所に花が綺麗に置かれ、その円形に沿った道が外側にあり、その道を挟んで壁際にガーデニング関連の商品が陳列している。
今は、そのフロアには人は二人。一人は入り口から正面、十字路の奥にある椅子に座っている男。そして、もう一人はフロアの入り口にますみが。

『あんた?さっきくだらない脅迫をしてきた奴って。ちんけな罠を仕掛けたり、後ろからボウガン打ってきたりとこそこそしたやり口の割には、ずいぶんと堂々としているわね。』

ますみは正面にいる男、山崎に言った。
山崎は、そのねずみのような細い目をさらに細くしながら、
『いやいや、そんなに褒めてもらうと照れますねぇ。私、山崎、と申します。以後、お見知りおきを。といっても・・』っと、座りながら笑顔で会釈をした後、ゆっくりと顔を上げならが、『まあ、今日でお会いすることもなくなりますがぁ。ね』っとにまぁっと、いやらしい歪んだ唇をこちらに向けて言った。
『はん!そうね。確かにそんなドブネズミみたいな顔をした奴と逢うのは今日で終わりにしたいわね。あーいやだいやだ。変な菌がついちゃう、っていうかこっち見ないでね、クズ(ニコ)』と、ますみもますみで、これまた満面な笑顔で毒言語を発していた。
ますみの言葉に、こめかみをヒクヒクさせつつ『いやいや~、これはこれはキツイお言葉、ありがとうございます。私も同じ気持ちでございますよぉ~。遠慮なく無様に肉片を散らかしながら死んで頂く準備をしたかいがあったというもの。』、っと、山崎は椅子から立ち上がり、言った。

『さあ!始めましょうか!ショータイムを!』

『はあ?ショータイム?なに?あんたが甚振られる姿でも、見せてくれるのかしらっ!』ますみは一気に山崎のいるところまで間合いをつめる。
と、同時に、十字路の左右の花置き場から一斉に矢がますみに発射される!
『うぉ!っと』ますみはそれにいち早く感知し、後ろにジャンプしてかわす。
『はあ!何よコレ、バレバレの罠じゃない。こんなんでショータイムなんてガッカリね。まさかコレだけ、ってわけじゃないでしょうね?』と、ソードを右手で回しながら突撃体制を取る、ますみ。
『いやいや、まだまだコレは前菜ですよ!』っと、山崎が手にもっているスイッチを押した瞬間、ますみがいる床の表面に一瞬で無数の穴が現れた。『ではでは踊ってくださいな!』っとそこから無数の矢が突き出してきた。
『なによこれ!』ますみは瞬間に高くジャンプをしたが、下から矢が向かってくる。
『この!』っとますみは体制を上下反転させ、ソードを回転させて下から飛んでくる矢を弾き飛ばす!
『って、うりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
矢は連射式ではないのか、一度発射されたあとは、続けての矢は飛んでこなかった、
が、別のところから音がなる!
そう、今度は天井から矢が降り注いできた!
『って!なによこれ!』っと今度はますみは行きよいよく下まで落ちていき、手で着地した後、直ぐに態勢を取り直し、膝を突いた状態で、今度はソードを頭の上に回転して矢を振りはらう!
『もう!やり口が単純すぎるのが、かえってムカつく!!』


そんな状態をみていた山崎は、内心ますみの身体能力に驚きつつ
『いやーーー!すばらしい!!なんというショータイム!これほどのショーはめったに見られません!最初の下からの矢でジ・エンドだと思いましたが、なんと、上下連続の矢を全てなぎ払うとは!なんという驚きでしょう!!』っと興奮した状態で椅子から立ち上がった。

『それでは、私も自ら、お相手しましょう!』っと、自身のボウガンを2機構えつつ言った。
『へぇ、指しでやろっていうの?結構度胸あるじゃん。ってその方が私もやり易いわ・よ・ね!』っと、ますみは山崎の方に駆け出したとき・・・

そう、山崎は既に勝ちを確信していた。
そう、相手はこちらを舐めている、と。そんな舐めた相手が勝負を挑めば、この剣士は単純に自分に向かってくるだろうと。それも、両手はふさがっていて罠の仕掛けのスイッチは押せない、と。しかし、こちらの仕掛けの最終段階はこれから、そう・・・

/⇒/⇒/⇒☆⇒/⇒/⇒★

ドババババババババババ!!!!

ますみが十字路の真ん中まで来たその時、四方八方、下から天井から全てから矢が一斉に発射された!
ますみは矢のドームに包まれた!
『あーーはははっは!どうぞかわいいハリネズミさんになってくださいねぇ!!!!!!』
山崎が発狂した瞬間!

ずばばぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!

大量の水がますみと一緒に周辺の矢をも巻き込み、飲み込んでいく。

『でりやぁああああああああああ!』

矢は勢いを失い、全て地面に。


『あ?』山崎は何が起こったか、理解できなかった。
入り口には、10本以上の極太な消火ホースを抱えながら、大量の水を撒き散らしているダイキの姿が。

/⇒/⇒/⇒☆⇒/⇒/←


ダイキとますみは、ガーデニングフロアの入り口から中を探りながら、
『なるほど、男が椅子に座っているわね。あの様子だと、相当な仕掛けを施しているでしょうね。さて、どう』『なになに、ますみのおっぱいが邪魔で中がみえないよ』『するかなぁ(バキッ)』『う!』っと、見事な溝打ちをダイキの腹に決めながら、ますみは考え込む。
『おうう、仕掛けって、やっぱり矢を使った奴なんだろう?なんならこっちも遠距離から狙える方法、ないんかい?』
『ないわ。私の獲物は剣だし、ここには銃器系は持ち込んでないわよ。それに多分、この施設の周りには奴の仲間が張っているでしょうね。客が一人もいないなんておかしいわ。電波障害も対応済み、って感じね』と、携帯をみつつますみは言った。
確かに、ボクの携帯も圏外だ、ありえないことだ。
『って、そうなると、奴の仲間が他にもいるってこと?ちょっとやばくない?』っとボクがいうと『まあね、でもこの施設の中にはいないでしょうね。外の対応もあるし、多分、奴の仕掛けに巻き込まれるのは避けているだろうし。奴しかいないと思うわ。そうなると、ココのフロアの仕掛けは相当なものでしょうね。』


ふむ~っと、考えるますみ。
『って、どうするの?これじゃ、手も足もでないじゃない。』『ちょっと待ちなさいよ。それをどうするか考えているんだから・・・』っとますみはうんうん唸りながら考え中。
まあ、矢、だからなぁ。飛んで来るんだし、刺さったら痛いだろうなぁ。
う~ん『ねぇ。ますみ』『なによ』『このフロアの仕掛けってどんなのか、わかるの?』というとますみはああ、と言いつつ『それは大体分かるわ。こんな見晴らしのいい場所でこれ見よがしな十字路のつくり。多分、床や花の置き場、あとは天井かな。その辺は多分全て矢が発射されるようになっていると思っていいかもね。』
ほうほう、って、それって『このフロアに入ったら死角、ないじゃん!』『そうね』『そうねぇ、ってじゃあ、どうすんの、ねぇどうするの』『って、うるさい、それを考えているのよ、って忘れてた(バキッ)』『ぐはぁ!、おい!軽めに裏拳、顔面にかますなや!鼻は弱いって、ふあぁ』『くしゃみすんな、刺すよ』『うううううう、、、』っと、無理にくしゃみを呑みこむボク。

『ふぇ~、しかし、そんな一杯の矢って、突風やら嵐やらが来ないと防ぎようもないよねぇ。ますみはそんな能力ないんでしょ?』
『まあね、私はその辺の超能力系の力は皆無よ。』『だよねぇ。力任せっぽいもん、ってまて、ウェイト、裏拳も溝打ちも今はやめて、ごめんなさい。と、なると・・・・うん?嵐?あらし、風、雨・・・。ああ』っと、ボクはますみにある提案をしたのだった。


/⇒/⇒/⇒☆⇒/⇒/⇒★⇒決!


ダイキは集めていた。
大型施設にはある可能性が高い、消火ホースを。そしたらあったあった。
さらにどれもが何十メートルもの長いホース。火災が発生した際に一斉に消火することを想定して設置したのだろう。施設2階にあった消火ホースは施設を二等分したそれぞれの箇所を消火できるホースの長さがあった。そんなホースをかき集めた後は、ますみに敵と対峙してもらって、こちらに気付かぬ戦闘をしてもらいつつ、タイミングをみて一斉放射!それが先ほどのハリネズミ状態のときだった。

山崎はその光景をみて呆けていたが、直ぐに、ボウガンをますみにむける。
その瞬間『ますみ!』とダイキはますみにあるものを投げる。
『え?』
ますみはそれを受け取りつつみると・・・『超お得ナプキン?』。それは縦40cm横40cm厚み40cmのサイコロ上の特大ナプキン。『ってなによこれ!コレを楯にするなんて!!』っとますみが怒鳴っている間にダイキは特大ショッピングカーを全力で押してくる。そう、ますみの方に押してきて『ますみ!乗れ!』っと叫ぶ。
その光景をまたもや驚いている山崎は、行動を遅らせた。
既に十字路の真ん中まで来ていたダイキが押していたショッピングカーにますみは飛び乗り、山崎の方に向かっている。もう、仕掛けはない。
山崎は、左右のボウガンを構え、打つ!
ボス!ボス!
しかし、矢はむなしく特大ナプキンに刺さるだけ。
『うりゃりゃぁぁぁぁ!』っとダイキは叫びながらカートを押してくる!
そして、ますみがナプキンを山崎の方に投げる!

『うぉ!』山崎はナプキンを避けるため右に避けた瞬間、

ゾワァぁ!

山崎は殺意を感じていた・・・目の前、剣を振り下ろそうとするますみがいる。そう無表情に、無慈悲に、ますみは、剣を、振り下ろした。


ザシュ!

山崎は右の首から左足の付け根までを一気に切られて・・・

ブシュウウウウウウウウウウウウウウぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


・・・彼はしなければならなかったのだ、
本来すべきあらゆる可能性への警戒を。
一度起こったあの奇跡のような事態に対して、警戒すべきだった。あんな行動を普通にしてしまう、ダイキの行動に。
それが彼の敗因。それが彼の死の理由だった。

山崎はその場に膝から崩れ落ちる。最後の時。
「失敗した」
それが最後の彼の思考だった。

/⇒/⇒/⇒☆⇒/⇒/⇒★⇒決!⇒血


その光景はテレビでもあまり見ない光景だった。

人が切られ、そして、首から大量の血を吹き散らしながら、ビクビク体を痙攣させつつ、目は白目を向きながら、崩れ落ちるように膝から落ち、そして、前に倒れた。
倒れた彼は、まだ痙攣していたが、やがて、その動きも止まり、そして、彼を中心にして血の湖が広がっていた。
その血は十字路の通路や花置き場に流れてきて、ボクの足元にまで達する勢いだ。

ボクはその光景に、固まっていた。

わかっていなかった。

思ってもいなかった。

コレは人を殺すための行動で、コノ光景はその結果。

そう、向こうが殺そうとしていたのなら、当然、こちらも向こうを殺す。
当然のこと。

当然の結果。

当然の死、の世界。

・・・死、死だ、死だ、死んだ、死んだ、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、
死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、
死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、
死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、
死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、
死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、
死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、
死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、
死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、


・・・死んだ


『ああ、あうああ』ボクは怯えていた。死に押しつぶされそうになっていた。

そんな様子に、
『ダイキ、どうしたの?』振り向いたますみは、山崎の血を浴びて真っ赤だった。

そう、真っ赤だ。それは鬼。赤鬼のように真っ赤で、それは、それ・・・は、

『うあぁぁっぁぁぁぁああぁっぁっぁぁっぁああああああああああああああああああああああああ!!!!』


『ダイキ!どこ行くの!待ちなさい!まだ、外には敵がいるかもしれないのよ!』
ボクはますみの言葉に耳もかさず、ただ、一心不乱にその場から逃げた。逃げた!
なんだ、なんだんだ、これ。さっきの感覚は、一昨日の夜の感覚と一緒だ!いやだ、いやだ、嫌だ!!

そしてボクはそのまま足をもつれながら、その場から、その纏わりつく狂気から逃げるために、

逃げた。

前のお話:https://note.com/daikiha/n/n8e961b0cf294

後のお話:https://note.com/daikiha/n/n8764d5d6babc

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