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神のDB(009)

(009)新たな戦いの予感?ですぞ~|ω・)どうぞ~

前のお話:https://note.com/daikiha/n/n0070348d896b

後のお話:https://note.com/daikiha/n/na0d28e2b98fc

【15】


『始まってしまいましたね』

レジスタンス日本支部「クエリ」の地下、本部会議室。
そこにいる初老の女性がおもむろに発した言葉が引き金となった。

『はい、こちらとしては想定内です。既にギリシャのレジスタンス本部には通達済みです。今後は彼の能力発現のシフトに移ります。』
日本本部支部長 祠堂京耶が答えた。

『しかし、私たちとしては「望まない」ことだ。』
少しの苛立ちを含んだ語気でその隣にいた初老の男性が言った。

『今回のレジスタンスは過去三度のレジスタンスとは意味も重みも桁違い。アイツは特に救世主様の優しさが強く出ている。発現するべきではなかった。』
初老の男性の正面に座っている30代半ばの男性が言った。

『はい、確かにダイキ様は歴代の発現された救世主様に比べ、特に心優しい方です。今後の戦いにおいて、決断すべきところで迷われる可能性は高いと思われますが。しかし、初期段階で備わっている能力は歴代に比べ突出しております。我々の成就である最後のレジスタンスには必要なお方。我々がサポートすることで問題ないかと思われます。』
京耶は彼らの感情的な発言に対し、冷静に状況分析を交えて進言した。

『分かっています。今回、転生される救世主様の御霊は分かっていたのでしょう。この時代に転生される重要性を。ですから我々は彼が生まれる時からずっと傍にいたのです。彼の能力を最大限に引き上げ、最高の状態で発現させる為に。しかし・・・』
最初に発言した女性は眉を顰めながら言葉につまり、そして、

『分かっていても、納得できないこともあるのです。私たちが「愛する」彼を。このような戦いに巻き込むことに納得できないのです。ですが、始まってしまいました。京耶。私たちは望みます。本来であれば彼が、そして私たちがあなた達、レジスタンスを導き、救う立場です。ですが、今回のレジスタンスはあなたの、いえ、あなた達レジスタンスの力で彼を護ってください。あらゆる厄災から。あの「怒り」や「哀しみ」のようにならないように。』

『かしこまりました。我らレジスタンス、誠心誠意、主、大樹様に忠誠を尽くし、この身に変えても御護り致します。』
京耶は初老の女性の言葉を正面から受け、そして両隣の男性達へ目を向けてから、再び正面を向けて誓うように言った。

『ご安心くださいませ、「賢者」様』

【十二】


なんてことないショッピングモール。
外は晴天、11月にしてはお日様一杯の温かい小春日和。

ボクはショッピングモールの中にいた。
隣にはますみがズンズンとあれやこれや品物をカゴに入れていく。
それはそれは無造作に入れていく。
そんな光景に少し懐かしさもこみ上げてきているボクがいる。

一通り品物を選び終わったのか、ますみはトイレに行った。
ボクもトイレに行きたくなった。
ますみが戻ってきてボクが変りにトイレに行く。
早く済ませなさいよ、なんて自分勝手なことを平然と言ってくるますみがいる。
そんなますみに少し苦笑いしながら、
ボクはトイレに向かう。

その途中、ますみがボクに声を掛けた。
もうボクはトイレの入り口に入ろうとしていた。

ボクの顔の横に何かが飛んできたと思った。
そう思った瞬間、ボクは後ろを振り向いた。
その視線の先には、

顔の真ん中に矢が刺さった、ますみがいた。


【16】


『うわぁ!!』

夢で眼が覚めた。
初めての経験かもしれない。
今まで色々な夢を見てきたけど、こんなリアルな、現実に起こったようなに感じる夢は、初めてだ。
鮮明で、今でも詳細に内容を覚えている。
あれは・・・、ますみだ。
ますみの顔に矢が刺さった。

・・・って、あれ、ここは脱衣所?

・・
・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・・・

あ~、ああ。なるほど、昨日は確か・・・死んだんだ、ボク。でも生きているけど。
ますみのお風呂を覗きにいって、そんでトラップに掛かって、そんでますみの丸裸を拝めて、そんで・・・・・・・・・・・・・・・・・最後の記憶は閻魔みたいな笑顔と拳。
『うぉ、いててて、体中が痛い。殴られたのもそうだけど、こんなところで寝たから、節々が痛い。しかし・・・良いの見れたにょぉぉr(^~^*)』『もう一度、死ね』(バキッ)『ぼほぉ!』
頭の上からおもいっきり踏まれた。
『うがぁ。。こりゃ、ムチウチになったらどうすんだよ!あれ、直らないんだぞ!』
『あんたが懲りずに不埒なこと考えているのが、悪い』
と、そこどいて、と言って脱衣所に入ってきたますみ。
『あれ、そうか、歯ブラシもってくるの忘れたわ。ねぇ、この使っていない歯ブラシ使っていい?』
『いてて、ああ、いいよ。そこに刺さっている歯ブラシ。ボクと間接キッスになっちゃうけど、我慢して』『うるわいわよ』(ガツッ)『ねえ!』
おおおおおお、初めてくらった、踵落し。。やばい、これはきた。。
『(ゴシゴシゴシ)さあ、今日はこれから買い物に行くから。早く出かける用意してよね。』
『おぅおぉぉ、うん?買い物?あ、そうか。そんなこといってたなぁ。しかし体が重いんだよねぇ。体調悪い』『なに?』『気がしただけだし、さあ、出掛ける用意するかな!』


・・
・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・・・
と、さてさて、そんなこんなで時間もいつも間にやら、只今午前11時。
ここは沿線から少し離れたショッピングセンター。

日用雑貨からちょっとした専門用品、はたまた飲食品などを取り扱っている便利なお店。
さらに、幾つか飲食店やらスポーツセンターまで併設されているので、今日みたいなお日様一杯の温かい小春日和な日曜日となれば、家族連れやらカップルやらでごった返しのこっちとらお家に引き返したくなるような混みよう。
『はぁ~、やだやだ、こんな人混みなところで、幸せそうな家族連れやらカップルを見ながら荷物もちなんかで来るなんて、最悪だねぇ』と思っちゃうくらいな気分にも『うるさい』(バキッ!)『なるぅぅ!』
『もう、文句言ってないで、早く来なさいよ。何そんなところで仰向けに寝転んでいるのよ。たくぅ。』
しまった、つい口に出してしまった・・・、なんと単純な失敗、ありえん。と、思いつつ大の字で沈んでいた体を起こし、傍にあったでかい買い物カゴを引いてますみのところ向かった。
『ますみ様よう、顎にアッパーを入れるならもう少し手加減して欲しいなぁ。危うく、そのまま天に召してしまうところでしたよぉ。』
『あんたが店のど真ん中で訳分からないことを言っていたのがいけないんでしょ?ツレのこっちまで変な人だと思われるじゃない。正気に戻してあげたんだから、感謝はあれ、文句言われる筋合いがこれっぽっちも、いえ、まったくないわよ。というか、土下座しなさい、ここで、今すぐ。』
『おいおい、アッパーくらって土下座してたら、そりゃぁ只のマゾ変態ではないかね?ますみくん。君は、この世界を救う救世主様を、只の変態に仕立て上げたいのかな?』『救世主の前に、一人の男よ。そして、変態よ』『って!言い切った。この人言い切った』『静かにしなさい』(パン!)『よぉう!』綺麗なジャブが顔面に入った。
『わかりました、すみません。ありがとうございます。かんしゃします。ますみさま』『なに?全てひらがなのような響きね。変態になって人間の格も落として、知能も落ちたんじゃない?』むむ・・・、我慢我慢、ここで言い合えば向こうの思う壺。第三弾の攻撃が噴射されるに違いない。

『で、ますみよぉ、今日の必要なものはなんなの?ここは良く使うお店だから案内するよ。』と、とりあえず話を変えて、早く帰ることに切り替えよう。
『そうねぇ、まずはシャンプーでしょ』
『そんなの一緒の使えばいいじゃない』
『あと、リンスも必要ね』
『そんなの一緒の使えばいいじゃない』
『それとバスタオルと、』
『そんなの一緒の使えばいいじゃない』
『歯ブラシ』
『そんなの一緒の使えばいいじゃない』
『パジャマもかなぁ』
『そんなの一緒に裸で寝ればいいじゃな』『ありえない』(パァン!)『いーーー!』
きれいなジャブが入りました、顔面に。
後ろに吹っ飛び、床で悶絶打っているボクにさらなる足蹴りをしながら、ますみは先に行く。
『こらぁ、早くきなさい。タイムイズマネーよ。』
いやいや、まったく何事もなかったようなこの仕草。素敵ムカつきます。ねr(^~^*)


そんなこんなで、買い物カゴを引いているボクを連れ回しながら、ますみは生活に必要なものをどんどんカゴに入れていく。無造作に入れているようで、実はちゃんとメーカーやら、価格やら、成分やら、生産国までチェックしながら買い物しているますみに感心するボク。
『ますみは買い物慣れしてるね。いつも買い物してるの?』
『うん、食材や店関連の仕入れ以外の消費財や日常品の買い物は私の担当なのよ。家での食事は京にぃじゃなくってわたしなんだから。』
『ふぇ~、以外。ますみはそんな家事全般は出来ないイメージなのに、結構できるんだね。感心。』
『ふうぅ~ん、あんたの私への評価がそうだったのねぇ、結構良い度胸じゃない。撲殺。』
『おいおい!無理やり言い回し合わせて、恐ろしいこというなや!!すんごく怖いわ!』

ふぃ~、ホンにこれから一緒に暮らすなんて・・・できるんかい。っと、思いつつ買い物を続けるボクら。
ふと、買い物をするますみの後姿をみて、ボクはなぜか懐かしさを感じていた。なんだろう、実家の家族との買い物を思い出しているのだろうか?と思ったけど、違う。なんか、微笑ましくって、温かい想いがこみ上げるような、そう、幸せな感じだ。
昔、遠い昔だろうか。
ボクの記憶にある、その懐かしさ。
市場で買い物する彼女。
時々振り返るときのその笑顔がボクの心を満たす。

そんな光景がボクの脳裏をかすめた。


そうこうしているうちにますみの買い物も済みつつ、
『う~ん、こんなもんかしら。さて、とっとと買いましょうか。っと、あんたはなにか買うものあるの?私のものしか選んでないけど。』
と、ますみがボクに話をふる。と、言っても何かあるかなぁ~と、考えていると・・・ブルっと
『う~ん、とねぇ。買うものはないんだけど、ちょっとトイレに行ってきていい?』『ああ。頻尿ね』『かな?って!なに適切な指摘してるんじゃい!!一番気にしているのに!!』
っと、抗議をしているボクを半月の目でみつつ、早く行ってこいと手でシッシッ、とされるボク。おいおい、救世主様への態度、雑でない?と思いつつ確かな頻尿の尿意には勝てず、おずおずとトイレへ。
ココのショッピングセンターは2階建てで、1階のトイレは計6ッ箇所ある。入り口から見て左右に対になるようにそれぞれ3箇所ある。ボクは入り口から見て左側の手前から2つめのトイレに向かった。

ふぃ~、とトイレの少を済まし、戻ると、「私もいく」と行ってますみのトイレにいく。と、その時ボクは不意に『なんだ同じジャン、とっととすませろよぉ~』と言った。ますみはボクの言葉に振り向きながら笑顔で中指を立てる。そしてそのままトイレに向かうその姿をボクは思う。

『違う』
と。

そう、違うんだ。この光景。
逆なんだ。この光景。
この光景はなんだ。
夢。
そうだ。夢だ。
ボクが後だった。
そうだ。後だった。
ボクが後にトイレに行って、そして、トイレに向かったボクの横に何かが飛んできて、そして振り向いたら、
と思った瞬間、ボクは走っていた。
カゴを前に、全速力で。
その光景を思い出し、そして・・・・・

前のお話:https://note.com/daikiha/n/n0070348d896b

後のお話:https://note.com/daikiha/n/na0d28e2b98fc

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