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神のDB(007)

(007)流されること確定です~|ω・)どうぞ~

前のお話:https://note.com/daikiha/n/na9053e2ad910

後のお話:https://note.com/daikiha/n/n0070348d896b

【13】


『ということはなんですか、それが本当だとすると例えばこの国の総理大臣とか経済界のトップ、学者やアスリートとかの天才たちは全てその組織の連中ってことなんですか?』
ボクは少し声を震えながらマスターに質問した。

『いえ、全ての才能ある「天才」、「アクセラー」が神の組織のものたちではありません。「神のDB」も完璧ではないのです。それは追々お話するとして、アクセラーの中には自然と神のDBにアクセスできる人たち、つまり神の組織に干渉されていない「先天性」のアクセラーもいます。先ほどご説明したアクセラー達は神の組織から才能を与えられた「後天性」のアクセラーが殆どです。つまり、欲に心を奪われた人たちですね。話は戻しますが、「先天性」のアクセラーたちの多くは、遥か昔、神の支配が始まった時に救世主様に才能を与えられた人間の子孫が多く、その子孫たちによって創られた組織が「レジスタンス」です。私たちレジスタンスは、救世主様を中心に、この神の支配に染まった世界からの解放を目的に活動している組織です。』

『神の支配からの解放。。。』
ボクはその言葉を少し反芻しながら言葉に発した。そして考えた。
確かにこれまでのマスターの話は幾らかの説得力はある。天才、ここでいう「アクセラー」、それは多分、昨晩ボクを襲った連中達のことだろうし、そして、ますみもそうなんだろう。あんな電柱の上に乗っかられるなんて、常人にはできない。そうなると、そのますみがここにいるってことは、その「先天性」のアクセラー達が創った「レジスタンス」がここであり、ますみの兄であるマスターもそのレジスタンスに所属するアクセラー、ということになる。確かに辻褄は合わせようと思えば合う。
合うんだけど、でももう一つ・・

『神の支配とか、神のDBとか、レジスタンスのことはわかりました。でもボクがその「救世主」である、という所が納得いかないです。ボクが「救世主」である根拠というか、証拠はなんなんですか?』
ボクの質問にマスターは少し柔らかい笑顔になりながら、

『はい、お告げです。』


・・・・、なんともこれまでの説得力を全て吹っ飛ばす言葉を発しやがりやがった。

『はい?お告げ?いやいやいや、ちょっと待ってくださいよ。ここまで盛り上がってようやく確信の部分で理由が「お告げ」ですか?それはあまりにもなんというか、そのぉ~、陳腐というか、厨二病みたいなアホという』『兄さまにアホとはなんだ!!』『かぁ!!!!!!ぽへぇ!』
と、すかさずますみの飛び蹴りがボクの顔面横顔にクリーンヒットし、そのまま店の奥のテーブルまで吹っ飛んだ。

って、死ぬ、マジで。。。
『こら!ますみ。駄目じゃないですか。大樹様にそのような粗相を。幾ら救世主様でなかったら半殺しにする失礼を受けたからといって、仮にも私たちの主ですよ。ご進言するのであれば、飛び蹴りでなく、脇腹への膝蹴りぐらいにしておきなさい。店の被害も少ないですから。』
おぅぅぅ~、こりゃ、この髭丸めがねぇ。攻撃方法の内容じゃなくって、その行為自体を訂正しろいよ、こりゃぁぁ。くそぉ~、このマスター、結構根に持つタイプだぁ。

『大丈夫ですか?大樹様。そのテーブルは冷たいですのでこちらのソファーで横になったほうがよろしいですよ。』
『違う、気遣う方向が違います!! よぉ。。ますた~。ぐはぁ。。死ぬかと思った。いやいや、そうじゃなくって、マスター、お告げってなんですか?そのお告げがボクが救世主だ、なんて言ったからボクが救世主なんですか?』

と、ボクが質問するとマスターはまたまた柔らかい笑顔で(こわっ)
『はい、その通りでございます。大樹様。確かに大樹様にとっては突飛なことに思われますでしょうが、我々レジスタンスには代々受け継がれている解放の羅針盤と伝えられている「ダイジング・プレート」というものがございます。その羅針盤を使うことができる人物が使うことによって、救世主様が転生するかどうか、そしてどこに転生されるかがわかります。現世では大樹様が大樹様のお母様に転生することが、大樹様が生まれる前から分かっておりました。我々レジスタンスはそのお告げに従い、大樹様を生まれてから今日までずっとあらゆる手を使って御護りしてまいりました。』

うむ、なるほど。とまではまだ納得感がいかないが、これは多分これから分かっていくことだろなぁ。まあ、最後の「あらゆる手」という所も気になるけど、って。

『あの、そういえばさっきますみさんがですね、ボクの部屋で話せば良いのではといったら「他の連中に筒抜け」とか「クリーニング」とか言っていたんですけど、もしかしてボクの部屋って盗聴されていたりしてなんてことは・・・』『ハイ、されてますよ、当然』『ぶふぁ!』

っておいおいおい!!
『盗聴は盗聴器のほかに魔術による盗聴もあります。今はこちらの方が主ですが、デメリットは盗聴される側が魔術結界を張った場合は盗聴できなくなることですね。素人相手はいいですが、専門家への盗聴はよっぽど強力な術で無い限り、盗聴は難しいです。これまで大樹様のお部屋を盗聴させて頂きました方法はこの魔術盗聴ですが、今後は結界を張らせていただきますので、神側の盗聴は防げるようになります。あとは盗聴器が仕掛けられないようにすればほぼ磐石ですので、先ほど、そのあたりのクリーニング処理を指示しておりきました(ニコ)』

・・・って、どうでもいい感じで今まで盗聴していたことを軽く言いやがりましたよ、この人。

しかし、聞くこと聞くこと全て非常識。アニメや漫画、小説でのできごとがまるで現実であるように言っている。・・・なんか混乱してきた。

『大樹様。今はまだご納得できないと思われます。只一つだけ、信じていただきたい。我々レジスタンスは大樹様の「味方」です。大樹様が生まれてから今日まで我々は命を掛けて御護りしてまいりましたことは「事実」です。これだけはどうか、その御心に留めてくださいませ。』
マスターはそういって、ボクに対し深々と頭を下げた。

ボクが「救世主」。

簡単に信じられないことばかりだ。
でも、
そんな多くの疑念の中に、信じてもいいと思ったことはマスターが言ってくれた言葉。

『我々は大樹様の「味方」です。』
そんなことをあんなにまじめに、真正面に言ってくれた人はいなかった。詐欺が良く使う手だとも思った。けど、あの言葉だけは何故だろう。

信じてもいいって思ったんだ。

前のお話:https://note.com/daikiha/n/na9053e2ad910

後のお話:https://note.com/daikiha/n/n0070348d896b

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