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舗装について~地面の下はどうなってるの?~

今回は、舗装についてです。

舗装には、石油から作った「アスファルト舗装」、石灰や石を混ぜて作る「コンクリート舗装」、砕石や土砂を締め固める「土舗装」等の種類があります。

今回は、この中から「アスファルト舗装」について詳しく書いていきます。

アスファルト舗装は、その名の通りアスファルトが使われています。

ちなみにこのアスファルト、実は最初は石が入っていない黒いドロドロの物体でして、石油からガスやガソリンなんかを作って最後に残る物質なんですね。で、そこに石やらフィラー(石粉)、改質のものであればゴムやポリマーなんかを加えたものが、道路に使われている、俗にいう「アスファルト」なんです。

バターなんかと同じように、油からできていますので、割と熱に弱い特性があり、温め続けると変形します。

夏場に、それなりの都市部で日当たりの良い交差点なんかで重いトラックが長時間止まると道路にわだちができるのはこのせいです。

解消方法は、一番手っ取り早いのはコンクリート舗装にすることなのですが、コンクリート舗装は地震などで割れると補修が大変なのです。(隙間にセメントや樹脂を流しても、再度の地震や温度変化、割と早い経年劣化で剥がれます。)

また、アスファルト舗装とコンクリート舗装では、条件にもよりますが、金額もだいぶ異なります。

アスファルト舗装は、諸経費込みで1㎡あたり1~2万円。

コンクリート舗装は鉄筋が入るので、諸経費込みで1㎡あたり2万円以上はするかと思います。安くても1.5万円はするかと。

ちなみに、コンクリートは舗装に限らず鉄筋が入っていなかったり、配合時に水が多かったりするとすぐ割れます。それはもう、金づちで叩くだけでボロッと行きます。ご自宅の駐車場をコンクリートで舗装する際などに、そういう造りは安い見積もりで出されることが多く、安い見積もり=悪徳業者とは限りませんが、ご注意ください。

さて、地面の下についてですが、イメージとしては下の図のようになっています。

AS舗装構成

これはアスファルト舗装のときの、地面下の断面イメージです。

このうち、表層から上層路盤までがアスファルト類で施工されることが多く、下層路盤以下は砕石や土砂等の土類で施工されることが多いです。

これは、単純に良いものを安く仕上げる、という考えからできており、車が通る表面は固くして凹凸ができないようにし、下の方はそれを支えるというものです。

また、車等の荷重は下に行くに従い放射状に分散されますので、ピンポイントで見ると大した荷重ではなくなるため、そこまで硬くなくてもよいという物理的な考えもあります。

CO舗装構成

こちらはコンクリート舗装のときの、地面下の断面イメージです。

アスファルトとは異なり、コンクリートの部分はコンクリート版とセメント安定処理の2層です。

ただし、(アスファルトにも言えることですが)上部の厚さや層の数は施工場所の地盤や地質により変わりますので、場合によっては1層だったり3層だったりもします。

なお、この層の数や厚さは、TA法という計算から求めることができます。今回はこの計算についても説明します。

まず、設計条件について。

舗装厚計算-1

設計期間は、その道路を何年使うかという期間です。最近は、重要道路は20年として計算するケースが多いです。

車線数はその名のとおり。

12h大型車混入率は、12時間当たりの全交通車両のうち、ざっくり10t以上の車両が何台含まれるかという率です。

昼夜率は昼と夜を比べたときの率で、12時間当たりの台数を24時間に変換するときなどに使われます。

重方向率は、両側交通の道路や交差点などで、どの車線が一番交通量が多いかというもので、仮に一方通行の道路なら100%になります。

その下の表は、一日当たりの大型車の交通量から20年当たりの車輪の通過数を求め、一定数ごとにレベリングしたものです。過去にはL~Dの英字を使用していましたが、現在はN1~N7で表すことが多いです。

なお、大型車混入率と昼夜率は交通量センサスという国等が主となって行う全国的な交通量等の実測調査等から導き出しています。令和3年5月時点での国として行った最新は平成27年の全国道路・街路交通情勢調査となっています。(インターネットで検索すると出てきます。)

次に、実際の計算です。

舗装厚計算-2

上記は、仮に1日当たりの交通量が500台の道路をイメージしてエクセルに式を入れ込み、何度かトライアルしながら計算したものです。クリーム色のマスが入力した箇所で、それ以外は自動で計算されています。

この中で重要となるのが、目標TA、およびCBRの値です。

TAは、簡単に言えば表層~下層路盤で必要な硬さや厚さを表します。そのため、設計TAを出す際に各層の厚さと材料の換算係数を乗ずる(かけ算)必要があります。

CBRとは、簡単に言えば表層~下層路盤を地盤として見た時の支持力の大きさ(土としてどれだけ強いか)です。本来は現場で施工したものを、現地や研究所で試験を行って確認した数値をいうのですが、過去に計算された結果からどれだけの数値が必要か判明しています。

県や自治体によって必要な値が異なりますが私のところではアスファルト舗装の場合はCBR3、コンクリート舗装の場合はCBR4となっています。

上記表では、設計CBR3の時に目標TAが22.00必要となっていますが、加熱アスファルト表層5㎝、加熱アスファルト基層5㎝、加熱合材の瀝青安定処理材を使用した上層路盤6㎝、再生砕石の新設下層路盤10㎝、既設の下層路盤20㎝の計46㎝厚を施工することでクリアできます。

なお、上記表は舗装の補修工事では割と使い勝手が良いのですが、新設舗装の場合は元々の地盤の関係があるので注意が必要となります。

ちなみに、下層路盤より下の路床・路体についてですが、路床は大体1m程度の盛土、路体はよほどの軟弱地盤や新たに高く盛土する場合を除いてもともとそこにあった土を使います。

以上のことから、舗装(表層~路床)は1.5mくらいあるのです。けっこう深いですね。

なお、下層路盤より下にコンクリート版を入れて地盤の支持力を無理やり上げる工法などもありますので、そういった場合は更に深くなることもあります。

今回は舗装の断面を見たり、どうやって各層の厚さを決めているか、舗装と呼んでいる深さを説明しました。

今後、ここで計算したことをどのように工事に反映するか載せていければと思っています。

それでは、大吉でした。

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