『TUGUMI』 こうして私は、山本屋最後の夏にむかうことになった
『TUGUMI』
吉本ばなな著
中公文庫・1992年3月
『TUGUMI』が出版されたのは1989年。吉本ばななの小説の中でもデビューしてから間もない頃の作である。
海辺の小さな町で育った主人公のまりあと、従姉妹のつぐみ。まりあは大学進学を機に上京したが、二人が生まれ育った旅館が廃業することになり、夏休みに帰省をする。故郷でひと夏を過ごすうちに、まりあとつぐみは恭一という魅力的な男の子と出会う…。
小説のあらすじ自体は、けっこうオーソドックスだ。しかし、読後感とし