事件が起こると

はじめに

 先日、京都アニメーション放火事件が起こった。死者33人。建物の階層が上がる毎に死者が増えている。気化したガソリンの奔流が狭い建物内を駆け巡り、避難をする暇さえ与えられなかったことが容易に想像できる。本当に一瞬の出来事で、何が起こったのか判らないまま建物内が火の海と化したのだ。

 最近、川崎市の無差別殺人等の社会から疎外された弱者が自爆テロに近いやり口で社会に報復する事件が増えている気がする。利己的で不寛容な社会がこうした弱者を生んでいるとすれば、その社会に1人1人が加担していた自覚と反省が必要になる。犯人がこのように暴れるのは危険極まりないし、命を奪う行為は断じて許されることではない。皆もそのことは解っているだろうが、Twitterを見ていると、明らかにおかしい者を目にする機会がある。そのことについて、どうしてもここで言いたいことがある。

1.風評被害について
 犯人が捕まると、その犯人のこれまでの生き方や人物像、現在の趣味も含む特徴が事細かく報じられる。そうすると、「オタクに対する風評被害だ!」と声を荒げる者がTwitter上に毎度出現する。こういう投稿は基本的にRT数が伸びる。共感のRTや馬鹿なことを言っているので晒すという意味のRTも含まれるので、RT数が膨大なものになるのはある意味必然的と言える。
 しかし、この手の投稿をする者は哀れである。何故ならば、本人にオタク趣味以外の付加価値がない為に、犯人の陰気な特徴と被った人が自身の価値をも否定されたと思い込み、過剰に反応しているのだ。オタク趣味以外に付加価値が無くなってしまうような生き方をしてきた点については同情できる部分があるが、先述のように過剰反応をしてしまえばその気も失せてしまう。
 マスコミはあくまで犯人の人物像や特徴を挙げているだけにすぎなく、画面の前の貴方を非難している訳ではない。「オタクをバカにするな!」とか「オタクに対する風評被害だ!」と感情的になる前に、今1度落ち着いて投稿を留まって欲しい。もし貴方が馬鹿にされるとしたら、そういった短絡的な思考からくるものから来るものが原因だと思っていて欲しい。

2.不謹慎な人があまりにも多
 ここからが本題である。京都アニメーション放火事件が起きたばかりのときは負傷者がほんの数人という情報しか報じられなかった。負傷者があの時点で少なかったとはいえ、あの京都アニメーションだ。どういう形であれ話題になるのは避けられない。私も死者が出ないことを祈り、現場の状況をTwitter上で追おうとして、検索をかけてみたが、とんでもない投稿が散見された。なんと、「京都アニメーション燃やすくらいならニコニコ本社を燃やせ」「ニコニコ本社よりも先に京都アニメーションが燃やされてしまった」という趣旨の投稿が引っ掛かったのだ。
 この時点ではまだ死者の有無の情報が報じられていなかったし、実際にニコニコ動画には、ニコニコ本社を爆発させる演出を使ったネタ動画が多数投稿されている為、軽い気持ちで投稿したのだろうが、死者の有無に関わらずこの内容は不謹慎だと思い留まることはできなかったのだろうかと思うと、とても残念な気持ちで一杯だ。
 また、今回の事件に乗じてRT稼ぎと思われる投稿をする者も少なからずとも存在する。その投稿の内容は、過去の事件を並べて死者の数を載せるというものだ。この投稿を、私のフォロワーがRTしておりそれを目にしたときに不快感を覚えた。投稿者の意図としては「過去の事件と比較してもこんなに死者が多くて悲惨な事件なんだよ!」という意味も込められていると考えることもできなくもないが、残念ながらその意図はまず伝わらない。死者の数を載せたところで命が失われていることに変わりは無いのだから、規模を比較する意味が無いのだ。その上、その投稿に対して、空襲と放火事件を同列に語る趣旨のリプライをする者まで出てくる始末だ。人の命を軽んじる者が集まっており、こういう者に関しては犯罪者予備軍等と称されてもおかしくはない。本当に狂っている。

おわりに
 このように、Twitterにはあまりにも不謹慎で狂っている者が多い。そしてその事実を、noteを使う方々や、この記事を読んで頂いた方にもしっかりと知って頂きたいので、ここでそういった者達について語ることにした。多数の命を奪った犯人は当然許されてはならないが、死者を借りる真似をした投稿者や、命を軽んじている投稿者も決して許してはならないと存じている。京都アニメーション放火事件に限ったことでは無いが、事件は他人事ではないし、狂った投稿をすることはステータスにはならない。事件に巻き込まれなかった者も、他人事ではないという自覚さえあれば、このような不謹慎な真似をすることもなくなるのだろうと思うとやはり今回の事件は様々な意味で残念な気持ちで一杯だ。不謹慎な投稿をしていた者はこれからは心を入れ替えて欲しいとも思う。

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