戦後

「どうじゃ」
「はは」
「ここから見える大平原。ぜんぶわしのものじゃ」
「はは」
「これはな、爆弾でやったんじゃ。爆弾で吹っ飛ばした」
「はは」
「爆弾はな、海軍の軍事研究室で作られた」
「はは」
「すべてを吹き飛ばし」
「はは」
「それなのに、その後に、自然に対してどんな後遺症も残さぬ」
「はは」
「すごいじゃろう。すごい発明じゃ」
「はは」
「難を挙げるとすれば、人間の体組織を溶かしてぶち壊し、皆殺しにしてしまうことじゃ」
「はは」
「おかげでロボットであるわしとおぬしだけが生き残り」
「はは」
「こういう漫才みたいなことをもう二百六十年もつづけておる」
「はは」
「こんなに長い時間が経っても人間があらわれないことからすると」
「はは」
「もうこの地球上から人間は消えてなくなってしまっているのじゃろうなあ」
「はは」
「ところでわしらをリモートコントロールしておる」
「はは」
「向こうの方に見える、わしらのコントローラーを持ったタコみたいな生き物は何じゃ」
「あれは火星人です」
「火星人」
「はは」
「おおそういえば」
「はは」
「先の戦争は、火星人との領土問題が発端となって起こったのじゃったな」
「はは」
「その結果地球人は滅び」
「はは」
「火星人が地球に移住し」
「はは」
「土星人が火星に移住し」
「はは」
「木星の衛星ガニメデの巨人が」
「はは」
「我々を平和に統治するという未来を」
「はは」
「我々は夢見ているんじゃったな」
「はは」
「ははは」
「はは」
「ははははは」
「はは」
「はーっはっは」
「ははあー」

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