コーチは言語・非言語を駆使しながら、クライアントの無意識に働きかけています。その様子は、文字情報だけでは伝わりませんので、ぜひビデオもご覧ください。今日のパートは41分50秒あたりからです
飛行機をイメージするだけで恐怖で脂汗をかいていたのに、セッションが始まって41分ほどでクライアントは
「あ~、飛行機は…素晴らしいな。素晴らしい乗り物だな」
と言うまでになりました。それを受けてコーチは
飛行機を擬人化してポジションチェンジ。これも面白いアイディアですね。コミュニケーションが取れる相手で、相手の気持ちがわかったと思えれば「安心感」が増しますよね。
クライアントはクリエイティブだし、ユニークですね。曰く
「(揺らしたのは)旅の演出」「(空気の)秘密を教えてあげたから、もう大丈夫だろ」
あれだけ恐怖の対象だった飛行機になりきって、こんなことを言えるのですから、状態はだいぶ変わっていると思います。
コーチは今度はクライアントから飛行機に対して
「悪者にしてごめんなさい」
と言ってもらっています。しかもさすりながら。このような行動をとることで、わかり合った、仲良くなったというふうにクライアントは思えるわけですね。それも飛行機への安心感につながります。
人が好きで、人とつながりたいというクライアントならではの発想。
コーチは即座に「歴史をね(否定してたのかな)」と返しています。こうやって「歴史も含めて人々や世界と繋がっていきたい」というクライアントの価値観と結びつけて処理するわけです。
クライアントは「歴史を信じたい(し、信じられると思う)」と返しています。
飛行機を生み出した歴史を信じて、飛行機に乗って、そこにいる人たちやその場の歴史と繋がっていく。。。。そんなふうに物語を重ねています。そして
コーチはここまでの話をまとめながら、「どんな人生を生きていきますか?」と問いかけます
「人が作り出した知恵みたいなものも引き継いて、受け継いで、世界中の人と握手をしていきたい」
すばらしいですね。飛行機との対話は、人が作り出した知恵を引き継ぐプロセスになったのですね。
そしてコーチングも最終盤。行動を決めます。クライアントは具体的に飛行機に乗る予定があるわけではないので、もちろん、いつ乗るかなど決めてもいいのですが、クライアントはこの認知が定着するような行動が取りたいと言います。
これは素晴らしいアイディアです。セッションのチェンジワークでつくられた認知を自分のものにするためには、新しい認知を強化する行動を現場でとることが大切です。
コーチは早速具体化を進めました。「この形を覚えておく」だけでは実行しにくいので「何かものがあったほうがいいのではないか」というような提案をしているわけです。
そして「飛行機のぬいぐるみを手にいれる」という行動が出てきたら、即座に「見つかったら報告」を求めています。これも大切ですね
クライアントは後日、飛行機のぬいぐるみを笑顔で抱いた写真を送ってくれました。そして、僕が彼女の地元(愛媛県)で講演会をするときに、一緒に羽田から飛行機に乗りました。
彼女は自ら窓際の席をとりました。「どうして?」とたずねた僕に
「せっかく乗るのだから、外の景色を楽しみたい」
と彼女は笑顔で答えました。そして飛行機を降りた後に感想をきいたら
「ちょっと揺れた時もあったけど、全然大丈夫だった」
とのことでした。
僕たちは自らの脳内の世界に住んでいるのです。同じ飛行機に乗っていても、怖かったり怖くなかったりするのは、脳内の世界で描かれている飛行機のイメージが違うからです。
そのイメージを書き換えることさえできれば、私たちの反応は変わります。そしてポイントを押さえてワークするなら、脳内イメージを書き換えることはそれほど難易度の高いことでもないのです。
ということで、このシリーズも終わりです。自分の過去のセッションに辛口コメントをしようかと思って、スタートしましたが、案外良い形で頑張っていたので、ほとんど解説だけになりました。
チェンジワークに入る部分までを短くすれば30分以内で終わる可能性のあるセッションで本当に素晴らしいと思います。ぜひ参考にしてみてください
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