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タイムライン・ポジションチェンジ自由自在②

クライアントはIT系企業に勤める30代男性。来月から新しい部署への配属が決まり、その中で「自分をどうしていきたいか」について考えたいとのことでした。ところがコーチの関わりにより、本当はいつか会社を離れて教育関連の仕事がしたい、という思いがあることも明らかになり

あらすじ

 今回のシリーズは2013年の僕のセッションの解説を通じて、タイムラインとポジションチェンジを自由自在に使ってもらうためのヒントをお伝えしたいと思っています。

 タイムラインもポジションチェンジもNLPを背景にしたコーチングをしている人たちはよく使うスキルだと思いますが、うまく組み合わせてもっと自由に使って欲しい!そんな思いで書いていきます。長丁場になると思いますので、のんびりと読んでいってください

 ちなみにビデオはこちらです。解説と合わせて、実際の様子も見てみるのがおすすめです。今日の解説分は4分45秒くらいからスタートです

クライアントは、来月からの移動先では人材育成に関するこれまでの経験を活かすことができるのではないかと想像していると語りました

宮越「OK、OK。で、えっと、そうできたら、会社の中でいいなって思いながらも、でも、ずっと会社で仕事し続けるのかというと、そこはよく分からないと。もしかしたら、外出るということがあるのかもしれませんと。で、もう一回聴くんですけど、今日は何について話したら良さそうですか?じゃあ。」

テーマについて再質問

 当初は「次の部署で自分をどうしていきたいか」をコーチングのテーマとして扱いたいとのことでした。でも本当は会社を出たいという話と、とはいえ次の部署では人材関係の経験が活かせそうという話が出てきました。そこでもう一度、何について話せたらいいかを投げかけたわけです。

 このようにクライアントに投げかけることで、クライアントはコーチングの時間の使い方として何がいいのかを主体的に考えるわけです

CL「そうですね。あの、さっきの(別のテーマを書いた)付箋にもかかってくるんですけど、え、とは言え、じゃあ、対人支援であるとか、講師業、コーチ業っていうことをやっていく中で、この1年弱くらいコーチング学びながら、そういう、勉強なり、経験もしてきたんですけれど。やってみると、あれ、本当に、じゃあ、ここかなっていうのが、やっぱ分からなくなってきていて。あんだけこだわって、教師になりたいとか言ったり、コーチになりたいとか言ってみたりしてきたんだけれども、やってみると、うん?って思ってしまう。まあ、揺れてしまう自分がいて、結局じゃあ、何なんだろうなっていうのが分からなくなってるんですね。僕、教員、一回大学では教育を勉強して、でも、教員免許は持ってなかったんですね。で、ただ、大学のその先生たちとか、友人たちと、すごい良い出会いがあったので、やっぱり教育の仕事したいってずっと思っていて、でも、普通の会社に就職してしまったと。だから、それが心残りで、一回社会人になってから、あの、教員免許取ったんですよ。通信大学行って、あのー、会社1ヶ月休んで、教育実習とかまで行って」
宮越「うん、すごい!」
CL「免許取ったんですよ。でも、ならなかったんですよね、なんか。なんか違う気がしてしまって。結局これの繰り返しになるのかなっていう…」
宮越「『これの繰り返し』、これのっていうのは、その時の。」
CL「その時の、なんか、なんか違うな、違うなって思って。ふわっとしたまま、終わっていくのかなって。うん。」

不信

 社会人になってから、会社休んでまで教育免許取りにいくなんてすごいですね。でも結果教員にならなかった。そしてコーチングを学んだけど、コーチになるわけでもない。

 やりたいと思って、頑張るけど、形になる前に「なんか違う」と思ってやめてしまう。

 そんなことがあったから、また結局やらないのではないか。(だったら会社でやれることをやっていたほうがいいのではないか)

 そんな話が出てきました。そこでコーチは


宮越「はいはい。で?で、で、で、で?だから
CL「で、だから、あー、ただ、あー…きっと自分軸はあるというふうに、僕が通ってるスクールはそう仰っているんで。」
宮越「あー、そうなんですね。はいはい。面白いスクールですね(笑)」
CL「面白いです。」
宮越「あはははは(笑)」
CL「良いスクールなんですけど。」
宮越「はいはいはいはい、ありがとうございます。」
CL「なので、はい、もう一度(自分軸を)確認したいし、やっぱり自分で納得いく、そういう方法が見つかったら、」
宮越「OK。じゃあさ、えっとー、自分が本当にキャリアで大切にしたいことが何なのかということをちょっと確認しつつ、で、それが確認できたら、じゃあ、今度行く部署で、あの、どんなことができたらいいのかとか。で、まあ、その先どんなふうになっていったら良さそうかみたいなことを、ちょっと順次行けるところまで考えてみましょうか。」
CL「はい、はい。」
宮越「で、いいですか?」
CL「はい。お願いします。」

So What?

「だから(何について話したいの)?」

 これはコーチっぽい関わりですね。こう言うふうにズバズバきけない人は練習してもいいかもしれません。

 ちなみに「だから何?」は結論を問う質問。根拠を問うなら「それはどうして?」ですね

 So what? だから何?(結論)
 Why so? それはどうして?(根拠)

結論と根拠

 さて、コーチが結論を迫ったため、クライアントは

「自分軸を確認したい」と言ったわけです。それは

教育関連に関心がある。でも(過去の経験から)やり切る自信がない。とはいえ、きっと自分軸(ゆるぎない価値観)があるはずなので、それを確認して、納得いく動き方をしたい

 という流れですね。クライアントの論理を理解するのが苦手な人は、今回のような書き起こしを活用して、クライアントの発言をしっかり理解する練習をするのがおすすめです。(もちろん中学高校の現代国語の問題を解くのも良いと思います。)ゆっくり読んでわからないものは、話しているのをきいても分かりませんから、最初は文字になっているものを使ってゆっくりと理解を進めてください

 ということで、クライアントと何について考えるかも決まったのでいよいよワークに入ります。

ワークスタート

 僕たちのコーチングの原則は『体験から学ぶ』です。ただ話をきいて整理するだけでなく、クライアントに過去現在未来、自分他人の様々な体験をしてもらうことを通じて、クライアントに望む未来を生きるためのヒントを得てもらいたいのです。

宮越「はい。じゃあ、やりましょう。そしたらね。えーっと、どうしようかな。僕は、椅子を使うのが好きなので椅子を使ってもいいですか?」
CL「是非。」
宮越「ふふふ(笑)OK。じゃあね、よいしょ。よいしょ。これでいっか、取り敢えず。あの、そうそう、こういうの(下の写真を参照)ね、僕が椅子を使うので入れてもらったんです。。とか言って、嘘なんだけどね(笑)OK。えっとね、そしたらね、えーっと、大学の時になんか、なんだっけ?その、」
CL「えー、えー、」

冗談
椅子を出しながら冗談を言う様子

 嬉しそうですね。僕はコーチングでもカウンセリングでもひっきりなしに冗談を言っています。それはクライアントにいい状態になってもらいたいからだし、クライアントといい関係でいたいからです。人生を笑い飛ばす力強さを持っていることに気づいてもらいたいからです。

 そして、まずはタイムライン上の主な出来事の場所にその時の自分の椅子を置いてもらいました

宮越「すごい、教育したいなーって思った、きっかけは?」
CL「えーっとー、」
宮越「いつ?」
CL「大学2年の時の、」
宮越「大学2年の時。OK。じゃあ、その時のちょっと自分ね。じゃあ、ここが現在だとして、過去未来どっちの方向にします?」
CL「えー」
宮越「えーっとね、今日お勧めはね、えっと、未来があっちがお勧めなんですけど。カメラ位置の関係で。」
CL「あっちが未来なのかなって気がしてきた。」
宮越「ですよね!明るいしね。良かった、良かった。素晴らしいね。はい。じゃあね(笑)、えーっと、これ、その時の自分の場所、この辺かなっていうところに置いて。」
CL「はい。」

大学時代

 まずはタイムラインの方向をきめます。どっちが未来でどっちが過去か。ですね。

 そして未来の方向が決まったので、最初は原点とも言える大学時代の教育に関心を持った時の自分の椅子を置いてもらいます。(今回は古いものから順番に置いていますが、現在の場所を先に決めてからでも構いません)

 こうやって、過去のいくつかの出来事やその時の自分を思い出すための装置を作っているようなイメージです。続けます

宮越「はい。で、そうだね。はい。で、えーっと、とは言え、ITの会社に入った時の自分。はい。とは言え、ITの会社に入った時の自分。はい。で、」
CL「ら、ライン(直線)がいいですか?」
宮越「あ、ラインでもなんでもいいよ。あの、自分なりに、距離。ラインじゃない方がしっくりくるんだったらそれでもいいです。」
CL「…まあ、でも、はい。」
宮越「まあ、取り敢えずは、後で調整しましょうか。」
CL「はい。」
宮越「会社で仕事しながら教員免許取った時の、自分。なんか、そうだね。真っ直ぐなラインじゃなくてもいいよ。なんか、その教育系のラインとなんか、別のIT系のラインがあってもいいし。なんでもいいんだ。ちょっとそれも含めて置いていこうね。はい。」

IT企業入社と教員免許

 次はIT企業に入ったころの自分。どうしてこの自分を置いたのかと言うと、ここでクライアントは価値観(目的)を変えたからですね。

 さらに社会人で教員免許をとりに行った時の自分の椅子を置いてもらいした。ここでも価値観(目的)を変えていますね。別に価値観(目的)を変えたところにだけ椅子を置くべきとかではないのですが、今回はクライアントがどのような価値観(目的)の変遷を辿ってきたかを明らかにして、そのことからクライアントの自分軸を明らかにしたいという狙いがあるわけです。

 クライアントは腕をまっすぐ動かしながら「ライン(直線に並べるの)がいいですか?」と質問してきました。

 NLPのタイムラインワークでは、過去現在未来を直線上に並べることが多いです。しかし僕はクライアントの自由でいいと思います。クライアントのしっくり感が大切です。そもそもクライアントの脳内では、過去現在未来のイメージは直線上に配置されていませんから、脳内のイメージの通り出してもらったら大概曲線(しかも3D)になるのです。もちろんNLPの開発者たちはそんなことはわかっていて、3Dでタイムラインを表現するワークなども存在しますが、便宜上直線で処理することが多いだけなのです。

 続きます

宮越「なるほど。えー、あー、そういう感じなのね。はい。」
CL「うん。」
宮越「はい。まあ、じゃあ、もうちょっと進んで置いていきましょうか。そうしたら、えっと、どうしようかな。えーっとね、今の、今まで3年いた会社。3年いた会社でチャレンジしてきたというか。ああ、やっぱり人材の仕事って面白いなと思いながら、まあ、ちょっとコーチングも学んでみたりしながら、まあ、やれることやってみようと思ってた自分もちょっと置いてみましょうか。」
CL「はい。」

現在の自分

 ということで、現在の自分まで4つの椅子を置きました。ビデオを見てもらえれば分かりますが、下図のようなレイアウトになりました。その時々の自分が見ている方向が興味深いですね!!これも椅子を使ってタイムラインを表現する利点です。椅子の方向は視線の方向を表すことが多いからです。

椅子レイアウト(上から見た図)


CL「(教育実習の椅子を指して)あれ、これなんでしたっけ?」
宮越「え、これは、」
CL「(クライアントの)僕がきく(なんて)」
宮越「ああ、大丈夫、大丈夫、大丈夫。」
CL「すみません。」
宮越「えーっと」
CL「あ、教員だ!」
宮越「教員免許ね。教員免許。はい。面白いね。こういう感じなのね。うんうん。」
CL「はい。」

確認

 ただの椅子を置いているだけなので、時折こういったことも起きます。心配なら付箋や紙に名前を書いて置くと良いですね。僕も他のことに気を取られていたのか、何の椅子かをすぐ答えられませんでした

 今回はここまでです。

 過去から現在までの椅子が置けたので、ここからワークを開始します。基本形はそれぞれのエピソード(出来事)を具体的に思い出して、そこからエッセンス(本質的な気づき)を引き出すことです。次回は学生時代の感動体験にアクセスするところから再開します。お楽しみにどうぞ

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