【CBC】飛行機恐怖症の女性とライト兄弟④
よかったらビデオで実際の様子も見てみてください。今日取り上げる部分は28分03秒あたりからです。
いよいよチェンジワークの始まりです。人は脳内イメージの世界に生きています。クライアントの脳内イメージでは飛行機=危険となっているわけです。だから、飛行機のイメージをするだけで脂汗を流すくらいの不安を感じるのです。
もちろん、このクライアントの脳内イメージは事実を反映していません。
飛行機はかなり安全な乗り物です。飛行機で大きな事故に遭遇するのは、毎日飛行機に乗る人でも数百年に一度だそうです。実際には自動車事故のほうが比較にならないレベルで身近なわけです。自動車免許を持っていないので運転しない僕でも、過去に2度自動車事故を体験しています。
本当は飛行機はとても安全な乗り物なのですが、人間は論理的な説得だけでは納得しにくいわけです。飛行機に対して警戒心を持っているクライアントの無意識は、論理的説得では変わりません。
だからクライアントの無意識が納得するような体験をしてもらいたい。というのがコーチの意図なわけです。そしてここまでは、その切り口を探していたわけですが、ようやくクライアントが
「空気が、支えてくれてるっていうのが、すごいしっくりきました」といってくれたわけです。そしてさらに「機体をこうやって持ち上げてくれてる感じが、こう抱きかかえてるくれてるみたいな」感じがあると良さそうだと言うことになりました。そこで
これは興味深いやり方ですね。まずは飛行機を支える空気になってみる。空気がどんなふうに飛行機を支えているのか、納得いく体験を作ってみたいのでしょう。
これが成功すると、空気の気持ちになれる(笑)というか、空気の立場から飛行機を支える体験を通じて、空気への信頼感が増すということになりそうです。
空に比較して「小さな」飛行機がいくら頑張っている様子をイメージしても、それだけでは不安でしょうから、飛行機よりはるかに「大きな」空気が支えてくれてる感じが持てる方向に進むのは良さそうな気がしますね。
実際に「体験」してもらうために、部屋の中にあった、CDケースを飛行機に見立てています。ほどよい大きさで、固くて軽くて、羽が着いているようにも見えるのでいいですね。
コーチの働きかけで、クライアントは両手を使って飛行機を支えています。これも大切に飛行機を持っている感じでとてもいいですね。
コーチの「前提」コミュニケーションは相変わらず上手ですね
「(空気が)どんなふうに支えてくれてたら安心して乗ってられる?」
安心して乗れるよ。そういう方法があるよ。ということを「前提」として質問しているわけです。
コーチの質問の前提を受けて、クライアントもその前提で発想しています。だから「安心」に結びつくようなアイディアが出てくるわけですね
そして、このあたりも素晴らしいです。準備ができたらズバッと核心に向き合う。
宮越「ワーって揺れる時って何が起きてるの?支えてるけど揺れる時って何が起きてる?」
CL「乱気流?」
宮越「うん、そうだよね。でも、支えられてるんだよね。」
とても力強い関わりですね。こんなふうにズバッと核心に切り込んで「飛行機が揺れてるけど落ちないのはどうしてか」の答えを空気役の体験を通じてクリエイトしてもらおうとしているわけです。
コーチ36歳。頑張ってますね!!
そしてクライアントは
飛行機が揺れながらも、空気が「こうやって守ってくれてる」という感覚を体感しています。
この辺りは文字だけだと伝わりにくいと思いますので、実際のクライアントの動きやコーチの働きかけをビデオで見てみてください。クライアントの無意識のイメージを書き換える作業がどんなものか、できたらクライアントと一緒に動いてみたりすると学びやすいと思います。(このあたりは31分くらい)
科学的には「空気が揺れていない」は不確かな表現だと思います。とはいえ、これは航空力学の授業ではないので(笑)、クライアントに役立つイメージができればそれでいいわけです。
クライアントのイメージでは、大きなクッションによって飛行機が運ばれているみたいな感じになってきました。空気のクッションの上で、飛行機が揺れる(クライアントのいう「摩擦」)ことはあるけど安全だ、というイメージができてきたわけですね。
そして
よいイメージができたら繰り返し体験してインストールすることは大切です。それだけでなくて、離陸と着陸もつけていますね。とても巧みなやり方だと思います(コーチは昔の僕ですが。。。)
クライアントもすっかりたのしみながらプロセスに参加しています。最初の飛行機に対する抵抗が嘘のようですね。
クライアントにとっての恐怖は飛行機に乗ることですから、空気になって飛行機を「飛ばしてあげること」は別に恐怖の対象ではないんですよね。ですから、これはうまいやり方だったと思います。
楽しく体験することで、脳のイメージは描き変わります。脳(無意識)は変えられそうになると抵抗しますが、楽しく体験しながら自ら描き変えることには抵抗は少ないわけです。
では次にいきましょう
コーチはどんどん進めていきます。今度は飛行機にのるイメージです。もちろん乗るのがOKにならないと克服したとはいえないので、必須ですね。むしろここまでは、これをやるための下準備をしてきたのです。
そしてまずは安定軌道で飛んでいるシーンをつくって、
宮越「なんか、飛行機の中にいて、空気が支えてくれるなってどういう瞬間に感じられそうですか?」
この質問ですね。これも空気が支えてくれてることを前提に、「どういう瞬間にそれを感じられるか」を質問しています。クライアントはそれを受けて、自分のイメージの世界に答えを探しにいきます。
そして、この質問の答えを探して答えるというプロセスを通じて、クライアントは自分の脳内イメージの中に、飛行機が支えられている根拠を描くことになるのです。
僕のNLPの先生の一人であるクリスティーナ・ホール博士は「引き出すことと、インストールすることは同時に起こる」と言いましたが、まさにそれですね。クライアントから引き出された答えがクライアントのイメージの世界にしっかりとインストールされるわけです。
そしてクライアントの答えは素晴らしいものでした!!!
CL「うーん……、なんか…、あ、もう飛んでる時は、今もう支えられてるなって。」
クライアントはすでに変化をしています。あたらしい世界に生きているし、コーチの想定よりも進んでいます。コーチも即座についていきました
宮越「空気で支えられてる感じってどうしてわかるんだろう?」
それにしてもこのコーチはしつこいですね。具体的に根拠を求めます。でのこれが大切なんです。実際に飛行機にのったときに、不安を感じても、このワークで見つけた、根拠にアクセスすれば、不安さが低減するわけなので。。。しかもその答えは
CL「あー、雲とか見れるから。」
でした。すごい!!!雲が見えたら、空気に支えられているのを感じる。。。確かに雲も浮いているし(笑)
クライアントの意識も新しい人生に向けて確実に飛びったようです。ちなみに、このクライアントは、このセッションを受けて飛行機恐怖を克服し、飛行機に乗れるようになりました。彼女の地元で僕が講演会をやるときに、僕と一緒に東京から飛行機にのったのが最初のフライトでした。
そのときに彼女が自分で取ったシートが窓側座席だったのです。彼女は自ら外の景色が見えるシートを選択したのでした。。。。
続きます
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