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【CBC】飛行機恐怖症の女性とライト兄弟④

 飛行機恐怖症を克服したいという女性。飛行機の何が怖いのかをコーチと探っていく中で「地に足が着いてないのが怖い」「(飛行機が)空気に支えられている感じが乏しい」ということに気がつきました。世界中の人たちとつながって生きる人生を手にいれるために、チェンジワークがスタートします

あらすじ

 よかったらビデオで実際の様子も見てみてください。今日取り上げる部分は28分03秒あたりからです。


宮越「そうだよね。OK、OK。分かりました。はい。えっと、じゃあ、そしたらさ、ちょっと、想像してみて、想像してみててね。まず、オーソドックスなところからいくね。どんな、飛行機がどんなふうに飛んでるのをイメージしたら飛行機に乗っていられそうかっていうことね。例えば、なんかさ、えっと、もう少し空気が濃くなって、水の上に乗っかって走ってるみたいな感じだったらいけるのか。それとも、水の中みたいなところを飛んでるみたいなイメージだったら揺れても大丈夫になるのか。えー、結局さ、あれだよね。船も浮いてるし、飛行機も浮いてるし、だから、浮く原理が多分あるんですよ。ただ、こっちが怖いのはあんまりそれが浮く感じがしないからさ、怖いんで。だから、その(浮く)感じが創れないかどうかだけ一緒に考えますけど、いいですか?」
CL「はい。」
宮越「大丈夫ですか?」
CL「大丈夫です。」
宮越「はい。じゃあ、ちょっとさ、リラックスして、はい。で、飛行機がどういう中を飛んでくとか、どういう上を飛んでくんだったら、なんか、揺れても安心してられそうですか?」
CL「うーん…なんか、さっき、空気が、支えてくれてるっていうのが、すごいしっくりきました。」
宮越「そうだよね。空気だって、下から、こうやって吹き上がってきたらこうやって支えられるもんね。どんな感じの支えられ方が良いですか?どんな空気だったら支えてくれそう?
CL「なんか、飛行機、機体をこうやって持ち上げてくれてる感じが、こう抱きかかえてるくれてるみたいな。」

空気のイメージを変える1

 いよいよチェンジワークの始まりです。人は脳内イメージの世界に生きています。クライアントの脳内イメージでは飛行機=危険となっているわけです。だから、飛行機のイメージをするだけで脂汗を流すくらいの不安を感じるのです。

もちろん、このクライアントの脳内イメージは事実を反映していません。

 飛行機はかなり安全な乗り物です。飛行機で大きな事故に遭遇するのは、毎日飛行機に乗る人でも数百年に一度だそうです。実際には自動車事故のほうが比較にならないレベルで身近なわけです。自動車免許を持っていないので運転しない僕でも、過去に2度自動車事故を体験しています。

 本当は飛行機はとても安全な乗り物なのですが、人間は論理的な説得だけでは納得しにくいわけです。飛行機に対して警戒心を持っているクライアントの無意識は、論理的説得では変わりません。

 だからクライアントの無意識が納得するような体験をしてもらいたい。というのがコーチの意図なわけです。そしてここまでは、その切り口を探していたわけですが、ようやくクライアントが

 「空気が、支えてくれてるっていうのが、すごいしっくりきました」といってくれたわけです。そしてさらに「機体をこうやって持ち上げてくれてる感じが、こう抱きかかえてるくれてるみたいな」感じがあると良さそうだと言うことになりました。そこで

宮越「なんかさ、ちょっとさ、えっと、飛行機。何かを飛行機に見立ててみようか。なんか、そんで、空気になって、ちょっと支えてみようか。どれを飛行機にしようか?今、空気役やりますからね、空気役をね。で、飛行機、なんかを飛行機にしようよ。飛行機っぽいものがないもの。」
CL「ふわふわ。」
宮越「ふわふわ。紙とかでもいいし、何でもいいんですけど。平本さんの私物だけど、これ(笑)これ、これ。これで、大丈夫?これ、大丈夫?(CD収納用のビニールケースを持ってくる)」
CL「はい。」
宮越「じゃあ、ちょっと、立ち上がってもらって、立ち上がってもらって、立ち上がってもらって。で、どんなふうに支えながら。あ、まあ、そうね。どんなふうに、ああ、じゃあ、ここから、ちょっと、どんなふうに支えてくれてたら安心して乗ってられる?」
CL「あー、こういう感じ。」
宮越「あ、こういう感じね。はい。で?」
CL「で、こうこういう感じで進んでる感じ。」

空気のイメージを変える2

 これは興味深いやり方ですね。まずは飛行機を支える空気になってみる。空気がどんなふうに飛行機を支えているのか、納得いく体験を作ってみたいのでしょう。

 これが成功すると、空気の気持ちになれる(笑)というか、空気の立場から飛行機を支える体験を通じて、空気への信頼感が増すということになりそうです。

 空に比較して「小さな」飛行機がいくら頑張っている様子をイメージしても、それだけでは不安でしょうから、飛行機よりはるかに「大きな」空気が支えてくれてる感じが持てる方向に進むのは良さそうな気がしますね。


CDケースを飛行機に見立てる

 実際に「体験」してもらうために、部屋の中にあった、CDケースを飛行機に見立てています。ほどよい大きさで、固くて軽くて、羽が着いているようにも見えるのでいいですね。

 コーチの働きかけで、クライアントは両手を使って飛行機を支えています。これも大切に飛行機を持っている感じでとてもいいですね。

 コーチの「前提」コミュニケーションは相変わらず上手ですね

「(空気が)どんなふうに支えてくれてたら安心して乗ってられる?」

 安心して乗れるよ。そういう方法があるよ。ということを「前提」として質問しているわけです。

 コーチの質問の前提を受けて、クライアントもその前提で発想しています。だから「安心」に結びつくようなアイディアが出てくるわけですね

宮越「こうね、はい。これさ、ワーって揺れる時って何が起きてるの?これ、支えてるけど揺れる時って何が起きてる?
CL「乱気流?」
宮越「うん、そうだよね。でも、支えられてるんだよね。
CL「うん、うん。」
宮越「じゃあ、ちょっとさ、こうしてみようか。普通になんか揺れずに飛んでる時と、揺れずに飛んでる時ちょっとやってみて。揺れずに飛んでる時。」
CL「揺れずに飛んでる時。」
宮越「こんな感じだよね。」
CL「うん。」
宮越「揺れずに飛んでる時ね。はい。乱気流があるとどうなる?こうなってるけど、支えてるってどんな感じ?なんか。」
CL「こうやって、守ってくれてる。」

空気のイメージを変える3

 そして、このあたりも素晴らしいです。準備ができたらズバッと核心に向き合う。

宮越「ワーって揺れる時って何が起きてるの?支えてるけど揺れる時って何が起きてる?
CL「乱気流?」
宮越「うん、そうだよね。でも、支えられてるんだよね。

 とても力強い関わりですね。こんなふうにズバッと核心に切り込んで「飛行機が揺れてるけど落ちないのはどうしてか」の答えを空気役の体験を通じてクリエイトしてもらおうとしているわけです。

 コーチ36歳。頑張ってますね!!

 そしてクライアントは

「こうやって守ってくれてる」

 飛行機が揺れながらも、空気が「こうやって守ってくれてる」という感覚を体感しています。

 この辺りは文字だけだと伝わりにくいと思いますので、実際のクライアントの動きやコーチの働きかけをビデオで見てみてください。クライアントの無意識のイメージを書き換える作業がどんなものか、できたらクライアントと一緒に動いてみたりすると学びやすいと思います。(このあたりは31分くらい)


宮越「守ってくれてる感じがあって、で、揺れてるのはどこが揺れてるんだろうとか。」
CL「揺れてるのは、機体?」
宮越「機体は揺れてるけど?」
CL「あ、ここは揺れてない。うん。空気は揺れてない。」
宮越「空気は揺れてなくて、機体が、」
CL「機体が揺れてる。なんか、摩擦って言うか、なんだろう?(腕の上で、飛行機だけが揺れています)」
宮越「けど、しっかり持ってるよね。OK。じゃあ、もう一回やってみようか。はい。もう一回この辺から、そのまんま、スーって行って、はい、乱気流。機体は揺れてるけど、空気は、」
CL「空気は揺れてない。」
宮越「揺れてないよね。押さえてるよね。はい。で、また、普通に飛んで行って、はい、また乱気流。はい、そうそう。あー、ってなるけど進んで行くね。はい。で、スーッと到着すると、到着する時はどんな感じに最後まで空気がフォローしてくれる感じがする?」
CL「あー…ヒュウ―――――、はい。着きました。」

空気のイメージを変える4

 科学的には「空気が揺れていない」は不確かな表現だと思います。とはいえ、これは航空力学の授業ではないので(笑)、クライアントに役立つイメージができればそれでいいわけです。

 クライアントのイメージでは、大きなクッションによって飛行機が運ばれているみたいな感じになってきました。空気のクッションの上で、飛行機が揺れる(クライアントのいう「摩擦」)ことはあるけど安全だ、というイメージができてきたわけですね。

 そして

宮越「着きました。って送り込んでくれて。で、来たよ~って感じだよね。こっちはね。はい。じゃあ、ちょっともう一回スタートのところから、ここまで連れて来てあげようか。」
CL「はい。」
宮越「この辺から、はい。乗る時はどんな感じで乗ってくんだろう?この空気。」
CL「乗る時は、えっと、」
宮越「始め走ってるよね。走ってると、」
CL「シュ―――、ウィ―――――ン、キャッチって。」
宮越「キャッチってなる。ああ、そうか!じゃあ、僕がちょっとウィーンってやるから、キャッチしてあげてもらっていい?ウィ――――――ン、」
CL「はい、はい、はい!」
宮越「キャッチ!で、」
CL「キャッチで、ウウウ―――――、」
宮越「たまに乱気流があったりして、」
CL「ウウウ―――、」
宮越「で、支えてて。で、また、乱気流ありながら、支えて。最後、はい、じゃあ、着陸。」
CL「シュ―――――、シュ――。」
宮越「はい、最後送り込んで。」
CL「行ってらっしゃい~。」
宮越「あははは(笑)こういう感じですね。」
CL「ああ、そうですね!」

空気のイメージを変える5

 よいイメージができたら繰り返し体験してインストールすることは大切です。それだけでなくて、離陸と着陸もつけていますね。とても巧みなやり方だと思います(コーチは昔の僕ですが。。。)

 クライアントもすっかりたのしみながらプロセスに参加しています。最初の飛行機に対する抵抗が嘘のようですね。

 クライアントにとっての恐怖は飛行機に乗ることですから、空気になって飛行機を「飛ばしてあげること」は別に恐怖の対象ではないんですよね。ですから、これはうまいやり方だったと思います。

 楽しく体験することで、脳のイメージは描き変わります。脳(無意識)は変えられそうになると抵抗しますが、楽しく体験しながら自ら描き変えることには抵抗は少ないわけです。

 では次にいきましょう

宮越「そうですね。はいはいはい。今、やってみてどんな感じですか?」
CL「ああ、なんか、空気が、ありがとう。
宮越「あはは(笑)空気がありがとうだよね。空気がありがとうだよね。じゃあ、ちょっとさ、今度こっち側でね。はいはいはい。はい、じゃあ、こっち側に座って。で、じゃあ、今度自分たちが、この中に乗っかってみますからね。イメージとしてね。はい。で、飛行機乗りましたと。で、地面に付いてますね。地面付いてます。で、こう、滑走路入って、で、ガーっ走って行って、ふわっと行きますね。そうしたら、下側から空気がスッ、だから上がっていくよね、そのままね、スッと、はい。じゃあ、こうやって、ワーって上がっていくの感じながら、空気が支えてくれてるな~。支えてくれてるな~。で、安定軌道入りますよ。はい。で、ちょっとじゃあ、リクライニングとか倒したりしながら、リラックスして、はい。で、こうやって、ワーって飛んでる時もなんで飛んでるかって言ったら空気が支えてくれるからだよね。」
CL「あ~、そうですね。」
宮越「なんか、飛行機の中にいて、空気が支えてくれるなってどういう瞬間に感じられそうですか?」
CL「うーん……、なんか…、あ、もう飛んでる時は、今もう支えられてるなって。」
宮越「そうだよね。支えられてるよね。なんか、空気で支えられてる感じってどうしてわかるんだろう?要はさ、なんかね、レールの上走っているんじゃなくて、空気で支えられてる。あ、支えられてるっていう感じって。」
CL「あー、雲とか見れるから。」
宮越「雲が見れる。」
CL「外を見て、あ、こう…これって浮いてるなっていうのを感じた時に。」

飛行機に乗るイメトレ1

 コーチはどんどん進めていきます。今度は飛行機にのるイメージです。もちろん乗るのがOKにならないと克服したとはいえないので、必須ですね。むしろここまでは、これをやるための下準備をしてきたのです。

 そしてまずは安定軌道で飛んでいるシーンをつくって、

宮越「なんか、飛行機の中にいて、空気が支えてくれるなってどういう瞬間に感じられそうですか?」

 この質問ですね。これも空気が支えてくれてることを前提に、「どういう瞬間にそれを感じられるか」を質問しています。クライアントはそれを受けて、自分のイメージの世界に答えを探しにいきます。

 そして、この質問の答えを探して答えるというプロセスを通じて、クライアントは自分の脳内イメージの中に、飛行機が支えられている根拠を描くことになるのです。

 僕のNLPの先生の一人であるクリスティーナ・ホール博士は「引き出すことと、インストールすることは同時に起こる」と言いましたが、まさにそれですね。クライアントから引き出された答えがクライアントのイメージの世界にしっかりとインストールされるわけです。

 そしてクライアントの答えは素晴らしいものでした!!!


CL「うーん……、なんか…、あ、もう飛んでる時は、今もう支えられてるなって。」

 クライアントはすでに変化をしています。あたらしい世界に生きているし、コーチの想定よりも進んでいます。コーチも即座についていきました

宮越「空気で支えられてる感じってどうしてわかるんだろう?

 それにしてもこのコーチはしつこいですね。具体的に根拠を求めます。でのこれが大切なんです。実際に飛行機にのったときに、不安を感じても、このワークで見つけた、根拠にアクセスすれば、不安さが低減するわけなので。。。しかもその答えは

CL「あー、雲とか見れるから。」

 でした。すごい!!!雲が見えたら、空気に支えられているのを感じる。。。確かに雲も浮いているし(笑)

 クライアントの意識も新しい人生に向けて確実に飛びったようです。ちなみに、このクライアントは、このセッションを受けて飛行機恐怖を克服し、飛行機に乗れるようになりました。彼女の地元で僕が講演会をやるときに、僕と一緒に東京から飛行機にのったのが最初のフライトでした。

 そのときに彼女が自分で取ったシートが窓側座席だったのです。彼女は自ら外の景色が見えるシートを選択したのでした。。。。

 続きます

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