サービス残業一時間の理由

その日
利用者が不穏な様子だった。

　
物を壊そうとしているのを私が止めたが
止められたのが気に入らなかったのか
結局別の物を二つ壊した。

その様子を見た他の利用者は正義感からそれを咎め
ケンカになった。

　
苛々して物を壊したかと思えば
今度は事の大きさに気づき
ワンワン泣いて反省の言葉を述べた。

　
作業中であり
私はその人をマンツーマンで対応せざるを得なく
他の利用者は見ていられなかった。
作業も進まない。

　
先日
同じ人が別の物を壊し
弁償代が万単位なため
物を壊さないように支援しろと言われたばかりだった。
更に言えば
数時間前に他の利用者を怪我させたばかりだった。

私の責任で私が怒られると思ったら落ち込んだ。
物損となると報告書も書かなければいけない。

　
その後、同僚が壊れた物を直してくれ
それで解決したと思った利用者は
私の気も知らず
ハイテンションになった。

　
具体的にどんなことが起きたか前施設長や正職員に説明し
それで話は終わりかと思った。なんとか物は壊れなかったからだ。

　
だが
報告から時間が経った定時過ぎに
前施設長が「ヒヤリハット報告書を書いてね。」と言ってきた。

…いつものことながら
そういうことは早く言ってほしい。

　
　
その日は他にも仕事があり
お陰でサービス残業一時間だ。

ハァとため息が出る
そんな日もあるのが仕事だ。