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物を二つずつ数えた瞬間

ある利用者は物の数を数える時
右端から順番に数える癖がある。
 
 
物が重なっていると数え間違えるので
私は数を数えてもらう時に物が重ならないように広げていた。

 
ある日、いつものように数を数えるよう促すと
その利用者は物を二個ずつセットにし始めた。

そして2、4、6、8……と数えだした。

 
私は驚いた。
今まで一個ずつ数えていたからだ。

 
その後も何回か頼んだが
やはり二ずつ数えていた。

 
私はハッとした。
私はその利用者が数えた後に2ずつ数えて総数を確認していた。

もしかして、私のやり方を見て学んだのだろうか。

 
真意は分からない。
だけど。

 
最近は自宅で私の名前をやたらと連呼しているらしい。
私を慕うその姿が私はかわいかった。

もしも私がきっかけなら嬉しいな。

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