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私とバセドウ病⑥【新人ハゲ】

バセドウ病だと診断されてから三ヵ月が経った。

 
処方された三種類の薬を毎朝飲む日々が続いているが
そのかいあって数値はよりよい方に変わっていっているらしい。
先日、薬は一種類減った。

骨折をしたことにより通院がネックだったが
骨がくっついた今は
次回の通院が自力でできるだろう。

 
問題はひたすらに、髪の毛だ。

後ろ姿からは分からないが
髪をかき分けると相変わらずハゲがある。
左手で頭皮を撫でると
ツルツルとした空き地のような肌があるのに嫌でも気づく。

そう、頭部左側を左手で触ると、である。

私はそれにある疑惑が浮かび上がっていたが
あえて言葉にはしなかった。

 
毎朝薬をつける母の話では
皮膚科の医師の話では
私のハゲは上部や下部、右側にあったはずだ。

だが
何日頭を触っても
確かに左側に空き地があるのである。

 
私はついに母に聞いてみることにした。

 
「ねぇ、頭の様子はどう?」

「だいぶ毛が生えてきたよ。襟足は相変わらず生えないね。まぁここは生えない方がうなじがキレイだからいいけど、新しい方がね。」

「新しい方!?新人ハゲ?」

「そう、新しく新人ハゲができたの。」

「何個!?」

「三個。」

「今は合計で?」

「今は五つかな。二つはだいぶよくなったけど、三つ新しくできたから。」

 
やはり、私の予感は的中した。
新しくまたハゲができたのだ。左側に。

 
私が鏡でいちいちチェックできないのをいいことに
いつの間にか新しいものができていた。
二つとも一円玉くらいのサイズらしい。

 
二つ治って三つ増える。残りは現状維持。

ハゲはまるで人生のようだ。

進んだり戻ったりを繰り返す。

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