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婚活パーティー【5歳年上の女】

最近はちょこちょこマッチングアプリをしている。

たまにメッセージをもらったりもする。

 
ある人にデートに誘われた際
「あなたのために有料会員になった。」と言われた。
有料会員にならないとできない機能もあるのだ。

 
だが、結局私からみんな断った。
やりとりをする中でちょこちょこと違和感が増え
やりとりをこれ以上したいと思えなくなったからだ。

 
そんな中
とある婚活パーティーに行った。

 
実はこの前、別の婚活パーティーにも申し込みをしたのだが
そちらは人数が集まらずに中止になってしまった。

 
その婚活パーティーは謎解き婚活らしく 
キャンプ場でやるらしい。
対象は20~30代で 
料金も無料だった。

 
私はミステリー小説が好きだ。
“謎解き”という言葉に惹かれた。
もはや長すぎる婚活人生で
純粋に出会いは探せなかった。
婚活パーティーならば
何かしらの楽しみがほしかった。

 
その婚活パーティーに申し込みをすると
後日、開催されると連絡が来たのでホッとした。

 
誕生日をむかえると
また一つ年を重ねてしまう。
どうせならば、年を重ねる前に婚活で前進したかった。

 
その婚活パーティーは珍しく
事前に誓約書とプロフィールカードを書いていかなければいけない。
誓約書とは、“私は独身である。”というやつだ。

 
さて、プロフィールカードを見る。
名前、住んでいる場所、勤務地、星座、家族構成、休日の過ごし方、趣味や特技を書かなければいけない。

珍しく、年齢を書く欄がなかった。

 
うーん。特技。特技は……なんだ?

私が迷っていると
「手話が得意でしょ?」と母が言った。

 
なるほど、手話か。
職場では手話力は下の方だが
確かに今年は聾者が利用開始したことで
手話力はメキメキ上がっている。
一般の人から見たら特技なはずだ。

 
それに、今回は男女共に参加数が多い。
プロフィールカードは一箇所くらいは共感できる項目、一箇所くらいはインパクトがある項目がある方がいい。

おそらく手話が得意な人はあまりいない…はず。

 
そうして私はプロフィールカードを書き終えた。

 
その日、私は勤務日だった為、早退をして行くことにした。

そそくさと着替えて出掛けた。

 
その日の仕事内容は魅力的だったが
家と職場の往復では新たな出会いはない。

30代独身女性、出会いは積極的に求めなければいけない。

 
さて、その日の婚活場所だが
私は初めて行く場所だったのでカーナビに住所を入力して出掛けた。

 
キャンプ場なだけあり、不安な狭い道を案内され恐る恐る進んだが
誘導の方がいたり、たくさん車が停まっておりでナビは正しかったと言える。

森の中にはキャンプをする場所があり、キャンプらしい明るくもほのかな光が会場の至る所にあった。

既に男女何名かが椅子に座って待機していた。

 
受付後、写真を撮った。
相手と私がお互いに連絡先交換可なら、後日この写真が相手に渡るらしい。
コロナ禍の婚活パーティーのため、お互いの顔はこの写真でしかマジマジ見られないかもしれない。

係の方が処理したため
私がどんな風に写真に写っていたかは謎だ。

 
始まる前にトイレに行こうとしたら、後ろに並んでいた女性に話しかけられ、談笑する。
私の良くも悪くもあるところで、婚活パーティー参加者の男性より女性との方が仲良くなってしまう。

会場が日陰で思ったよりも涼しく、私は慌てて車に上着を取りに戻った。

 
なお、動きやすい格好と指定されたため、私はチュニックにジーンズ、スニーカーを合わせたが
婚活パーティーらしく、ワンピースやスカートの女性も普通にいた。

 
時間になり、婚活パーティーが始まった。
まずは講座が始まった。

要約すると、今ここに集まっている人は恋愛ベタのコミュ障だということや
主催側の方や講座をしている方は結婚して子どもが何人もいるから、私達のアドバイスを元に今日励むようにとのことだった。

一瞬で殺意が沸いた。

 
早くつまらない講座が終わればいいと願ったり
木々に意識を集中したりしている内に
なんとか苦痛の講座は終わった。

 
次はいよいよ、謎解きだ。
近くの人とグループを組むように言われ、グループごとの謎解きとなった。
自己紹介してからの、謎解きとなる。

 
てっきり森の中のキャンプ場を活かし
ヒントを解いて何かを探しに行ったりすると思いきや
普通に紙が配られ
持参したペンで謎を解かされた。

その辺の木の枝で地面に書いて解いてもいいと言われたが
紙とペンとバインダーがある以上、木の枝は無用の長物だ。

 
グループを変え、何問か謎解きをしたが
結局使ったのは紙とペンとバインダーのみで
キャンプ場と森は謎解きに何ら関係なかった。
上に、日陰での謎解きは肌寒く、むしろ室内でのイベントの方がよいのではと思ってしまった。

 
係の方が「もっと男女で協力して謎解きをして!」と喚いていたが
謎解き好きの私達はたまにグループで話したりもしたが、各自配られた謎解きを自分で解こうとしていた。

愛はちっとも深まらない。
参加者のマスク顔をある程度把握し、謎が解けただけに終わる。

 
休憩タイムには再び女性同士で集まって話した。
男性にしても何人かはそうしていた。

そこにまじれない男女は各自スマホをいじったりしていた。

 
謎解きの後はトークタイムだ。
男女で向き合い、プロフィールカードを見せ合いながら回転寿司方式で話していく。

 
今回は珍しく歯科医師が参加していてビックリした。
歯科医師はこんな婚活パーティーに参加しなくても出会いはありそうだが、どうしたのだろうか。

謎解き婚活やキャンプ場での婚活とのことで
ミステリー好きやキャンプが趣味の男性もいた。

 
その後はフリートークだ。

焼きマシュマロやケーキを食べたり、飲み物を飲みながらのフリートークとなる。

 
その際、Aさんという男性が私を誘い、焼きマシュマロを作ってくれた。
それで初めてAさんが私を気に入ってくれていると知った。

 
私は今日参加した方の中ではBさんが気になっていたので、人生とはこんなもんだよなと思った。

Aさんは上手くマシュマロが焼けず、キャンプが趣味のCさんがフォローに入っていた。
Cさんは話し好きで豪快な方で印象に残っていた。

 
ある程度話した後は話す相手を変えなければいけず
私はBさんと目が合い、誘った。

コーヒーを飲みながら話した。
なお、フリートークする前にちゃんとマスクを外して素顔を見せて挨拶してくれたのが個人的に好印象だった。
やはり話してみても今回の参加者の中では一番よかった。

 
時間になり、また話す相手を変えなければいけなかった時、私はCさんに誘われた。

Cさんは交際相手にキャンプ趣味を求めていたが、今回はキャンプ趣味の方がいなく、残念がっていた。

 
「付き合ってキャンプを教えてみたらどうでしょう?今興味がなくても、彼氏の影響でハマる人もいるかもですよ。」

と、私は言った。

 
私は歴代の彼氏に共通する趣味はないし
なんなら私と趣味は違う。
でも波長は合った。

両親も姉と義兄も趣味は違うし
私は彼氏に同じ趣味は特に求めていない。

むしろ同じ趣味だと意見が分かれた時に面倒だなぁと思う方だった。

 
そして婚活パーティーは終わった。
最後に連絡先を交換してもいい人の名前や連絡先を書いて係に渡す。

相手も交換意思があれば伝達が後日くるし
なければ今日で終わりの縁だ。

 
私はBさんとCさんの名前を書いた。
例え上手くいかなくても、その横と繫がれるかもしれないし、手ぶらでは帰れない。

さて、帰ろう。

 
そう思ったらAさんが私を待っていた。

「ちょっとそこでお茶しませんか?」

そう言われたのでビックリした。
何故そこまで私を気に入ったのだろうか。

 
二人で喫茶店に入った。

コーヒーが趣味だと言った参加者Dさんが一人でコーヒーを楽しんでいる中
私達はさも上手くいっているかのように話しながら中に入った。

お客は私達しかいなかった。

 
そのまま閉店まで他愛のない話をしながらお茶をした。
甘いものも奢ってもらった。

閉店になったので二人で店を出た。
もう婚活パーティーの係の人も参加者も誰もいなくなっていた。

 
私はAさんとLINEを交換した。

ドラマならこれがきっかけで上手くいったりするだろう。
でも私達は俳優や女優じゃない。

 
LINEを交換し、多少やり取りをしたが、連絡は一日で途絶えた。

焼きマシュマロを作り、お茶に誘い、閉店まで話しているくらいには私に興味があったろうに
わずか一日のやり取りで終わったのだ。

 
でも婚活はこんなことは日常茶飯事だし
私はBさんやCさんの方が気になっていたので 
相手から連絡が途切れたらそれまでだった。

 
数日後、BさんやCさんの顔写真と共に連絡先が届いた。

二人にメッセージを送ったが
Cさんとはノリが合わず、やはり一日で途絶えた。

 
いいのだ。私はBさん狙いなのだ。
Bさんと連絡先交換をした以上、Bさんに絞ってやり取りをしようと思った。

 
だが。

Bさんからの三通目のメッセージにはこう書かれていた。

 
「大変申し訳ないのですが、中途半端は良くないと思い、伝えることに致しました。

同い年くらいならいいなと思っていたのですが、年の差がありすぎるので、ごめんなさい。」

 
…。

今回の婚活パーティーは年齢を明かさないでやり取りをしていた。
年齢が分かるのは連絡先交換をする後日なのだ。

 
プラスに考えれば、婚活パーティーのあの日、マスクを外して会話した私の顔から察するに同い年くらいに見えたのだろう。
私は若く見られたのだ。

相手は私と5歳差だった。

 
私の価値観なら大人になってからの5歳差は大した問題ではないが
相手からしたら絶対に譲れないのだろう。

子どもが欲しいのだろう。単純に年上の女性が嫌なのもあるだろう。

 
私からしたら、そんなことわざわざ伝えてこなくてよかった。
連絡が途切れたらそれ以上に連絡はしなかった。

AさんやCさんの時のように
片方が連絡を止めたら、大抵がそれで終わりだ。
それが婚活だ。

 
誠意を見せたつもりなのだろうが
年齢という変えようがないことをわざわざ言ってきたことや
5歳差で年の差が「ありすぎる」まで言われたことで
一気に熱は冷めた。

未練は全くなかった。

 
「そうなんですね。言いにくいことを言わせてしまって申し訳ありませんでした。

短いあいだでしたが、ありがとうございました。」

私はそんな風にメッセージを送信した。

いつか五歳年下の女性におじさんは嫌だと言われればいい、と願いながら。

 
 
今回の婚活パーティーはこんな結果だった。

婚活は今日も険しい。

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