髪の毛サーラサラ~
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髪の毛サーラサラ~

真咲ともか

幼稚園の頃、私は服用していた薬の影響で髪の毛が抜けた。

 
私はまだ幼くて、事の重大さがよく分からなかったが
家族が悲しんでいることは伝わったし
家族が望むよう、早く毛を生やさなければとは思っていた。

 
病院で処方された薬のお陰か、生命力の強さか分からないが
私の毛根からは新しい毛が生えた。
お毛毛様だ。ありがたいお毛毛様だ。
お陰様で、卒園する頃には肩下まで髪の毛が伸び
それ以降はロングヘアのともかちゃんであった。

 
 
さて、ロングヘアになったのはいいが、小学校に入り
新たな問題に直面した。

育ちすぎたのである。

何事もほどほどが大切である。
薬の影響か生命力の強さか遺伝のせいか
はたまた全てのせいか分からないが
私の毛量は増え、くせっ毛がひどくなっていった。
おそらく姉も似た状況であったから
遺伝であろう。

  
私は三つ編みが好きだったので、三つ編みにしてもらった。
毛量を抑えられる一番の髪型だから三つ編みが好きというのもあった。
私は男子から三つ編みを揺らされ、拝まれ
インスタント神社のような扱いを受ける。
ありがたいんだか、ありがたくないんだかよく分からない仕打ちだ。

 
 
 
中学校に入り、友達が縮毛矯正をしているという話を聞いた。
ストレートパーマ…通称ストパーの強力版が縮毛矯正である。
なるほど、確かに友達のくせっ毛の髪の毛は劇的に真っ直ぐになっていた。
だが、学校側に呼び出されていた。その友達は優等生なのに、呼び出されていた。

「パーマは学校で禁止だからだよ。」

 
親友がそう私に説明して、衝撃を受けた。
そうか、パーマって、不良女子みたいなクリクリパーマだけじゃないのか。
考えてみれば、ストパーストパー言っているが、ストパーだって正式名はストレートパーマだから禁止になるのか。
だから強力版ストパーの縮毛矯正もダメなんだ。

盲点だった。
パーマと名のつくものはなんでもダメなのだ。

  
でも、私はくせっ毛だから分かる。
くせっ毛は格好悪い。くせっ毛で毛量が多いのは質悪い。梅雨なんか最悪だ。
鏡を見ては憂鬱になるし、男子からだってからかわれる。

茶髪に染めてクリクリパーマにして制服のスカートを改造してすっごく長くしちゃうのはともかく
髪をストレートにするのが、そんなに問題なのだろうか。
髪の毛の悩みは切実なのに。

  
私はルールに従って、中学時代はパーマも縮毛矯正もしなかったけれど
なんとなく腑に落ちなかった。

 
 

 
高校デビューに伴い、私は中学校三年生の春休みにストパーデビューをするが
私の頑固なくせっ毛は、ストパーにあっさり勝った。
なんて強いのだ奴は。
数千円かけても一ヶ月以上経つと、髪の毛は小憎たらしいくらいにクネクネウネウネした。
ストパーの無力さに打ちひしがれた。

 
 
 
そんな中、友人が某お店の縮毛矯正が凄いと教えてくれた。
確かに友人の髪の毛はストレートでサラサラだ。
今なら安いと聞き
私は母親を説得し
街中にあるお洒落なお店の扉を開いた。

 
いつも髪を切りに行く場所よりワンランクも高いそこで
私は田舎娘丸出しでオドオドキョロキョロした。
また店内にいるのがイケメンのお洒落なお兄さんだから困る。
ひどく緊張するではないか。
人生初の縮毛矯正はそれはそれはもう

すごかった。

鏡に映った私の髪は確かにサラサラでツヤツヤで
もはや別物だった。
あまりに嬉しすぎて一人プリクラまで撮った。
まだ携帯にカメラ機能がついていない時代で
一人プリクラも割とポピュラーだった。
少々はしゃぐ私を許してほしい。

  

縮毛矯正は素晴らしかった。
雨にも負けず
風にも負けず
湿気にも負けず  
負けず尽くしだ。

 
髪を乾かしてもサラッとし
朝起きてもサラッとし
日中も歩くだけでサラッとし  
触ってもサラッとし
サラサラ尽くしで最高だ。

  
 
だが、割引制度利用で縮毛矯正とカットは二万円だった。
二万円である。
高い。高すぎる。
私のお小遣いは月五千円だ。
さすがにキツい。
定期的なメンテナンスで二万円はキツ過ぎる。
嗚呼そうだ、私にお店をススメた友達は両親が薬剤師のお嬢様だ。
着ている洋服はブランドだ。
彼女のレベルに合わせてはいかん。破産してしまう。

 
 
そんな話をしていると、別の友達が、私の家の近くのお店が、学生限定で縮毛矯正を7000円(6000円だっけな?)でやっていると教えてくれた。
縮毛矯正は基本的に13000~17000円くらいが相場だ。 
一万円以下は非常に安い。

お友達さまー!!!

持つべきものは友達である。
紹介されたお店は駅前だし、駐車場もたくさんあって立地条件がよかった。
店名も私の本名をもじったような名前なのも運命かもしれない。

 
店内は狭く、薄暗く、独特の匂いと音楽があった。
個性的な女店主がいて、黙々と縮毛矯正をしてくれた。
縮毛矯正デビューした店には出来は勝てないが
この値段で縮毛矯正をしてくれるのは心底ありがたい。
縮毛矯正は半年に一回ぐらいしないと、くせっ毛に戻ってしまう。
お金は大事だ。

 
他に縮毛矯正をしているお店がたくさんあっても
そのお店が一番安い為、学生時代はずっとそこにお世話になった。
私は髪関係は値段で決める。
人によっては、親しみ慣れた人がいいとか、腕前がいい人を求めるし
親友はそのタイプだったが
私は安ければいい。
凝った髪型にせず、毛先の傷んだ場所を切り、量をすくだけだし 
縮毛矯正の持続力が半年ならそれでいい。

私の家族も、特に担当者を決めず、求めず
安い場所を好むので 
おそらく血筋だろう。 
まず、美容師からベラベラ話しかけられるのが嫌いだった。
担当者を作り、話をベラベラするのは勘弁だ。
私は雑誌を読みたいタイプなのだ。

 
 
今まで通っていても、割引券をもらったり、安いお店を見つければ
私はアッサリ鞍替えする。 

だから学生から社会人になった時、割引制度の終わりを機に、私は別のお店に変えることにした。

 
 
 
そこは、私が縮毛矯正デビューをしたお店の支店だった。
たった一度デビューで行ったきりだったが、その後県内で着々と支店を増やし
我が家の近くにもできたのだ。

そこは割引制度を採用していて
私が高校時代にかかった時よりも
縮毛矯正はだいぶ安くなった。

 
 
縮毛矯正は年々進化しているらしい。
以前はラップを使ったり、機械に当てる時間が長く
縮毛矯正&カットで4時間以上かかり、半日は潰れたが
最近は3時間くらいに変わったし、やり方も行くごとに進化や変化を見せる。

 
 
 
私はなんといっても黒髪ストレートロングヘアが好きで
大学時代に少し染めたものの
ほとんど髪を染めずに生きてきた。

 
縮毛矯正をしてからはなるべくクセがつかないように
髪は束ねないし
髪を耳にかけたりはしない。

 
付き合った彼氏がたまたまショート派だったので
リクエストされて二回、ボブにしたことがある。
ボブヘアは好評で、新たな自分の一面を見ることができた。

 
アラサーになると、毛先ゆるふわパーマに憧れて
人生初のデジパーにも挑戦した。
毛先ゆるふわパーマも優しくフワフワして
これはこれで楽しいとも思った。

 
 
だけど基本的には、ストレートロングヘアが私は好きで
人生の大半はその髪型で過ごしている。
アラサーになり、白髪が目立ち出し
しぶしぶ髪を焦げ茶色に染めているが 
やはりストレートロングは落ち着いた。

昔はせっかく切りに行くのだし…と
セミロングになったら肩くらいまでに切ってもらっていたが
ここ数年は長さを変えないようにしている。
昔ほど毛の伸びるスピードは早くないし(老化かしら…)
やっぱり一番好きなのはセミロングなのだ。

 
周りの友人も、染めたり、パーマをかけたり、ショートにしたり、伸ばしたりと
大学時代~社会人にかけて色々遊んでいた人が多いが
やはりほとんどの人がアラサーになり
髪型を変えなくなった。
一番しっくりくる髪型に安心するのだろう。

 
中には、中高時代から全く髪型を変えない強者もいる。
まるでPerfumeのようだ。
様々な髪型で遊ぶ友人はかわいいと思うし
髪型を変えない友人は友人で信念を感じてかっこいい。

 
 
縮毛矯正を始めてから15年以上が経ち
私の髪質は徐々に変わり始めた。
以前より毛量は減り(他の人と比べるとまだ多いが)
以前よりくせ毛ではなくなった。

白髪こそ増えたが
今の自分の髪の毛を愛しく思う。 
もう小中学校時代のような髪の毛のコンプレックスはない。

 
 
 
 
緊急事態宣言によりお店が休業し、再開した初日に私は予約をとった。

店内からは雑誌は消え、飲み物サービスも消え
お客同士の席は間隔が空き
ビニールで席事にしきられていた。
もちろん、マスク着用である。

 
以前はお店の人と話すのは苦手だし、嫌いだったが
私は年と共に図々しくなり
今ではお店の人と話が盛り上がることもある。
お店の人が忙しい時は雑誌を読みふける。
最近の洋服の流行りや芸能人ニュース、料理レシピを見て、へぇ~となる。

 
 
仕事柄できないし、全く似合わないからやらないのだが
実は私は赤い髪が大好きである。
男性も女性も赤髪が大好きで
とにかく見掛けると見つめる。
素敵だなぁとじっと見つめる。

 
生まれ変わったらなりたいものはいくつもあるが
その内の一つが
黒い服と赤髪が似合う細身の女性だ。

赤髪でギターケースを背負い、ちょっとクールだけど話すと気さくな女性で
ピアスやアーマーリングもジャラッとつけたりして
同じような格好のバンドマンの人と同棲し
やがて結婚するのだ。
なんて素敵だろうか。

そこまで妄想しては、一人ニヤリと笑う。

 
 
 
今日も自身の髪をサラッと触ると、それだけで嬉しい。 
私が人生色々あったように、髪の毛も色々あった。

そして今、髪の毛は安定期に突入した。


   

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真咲ともか
「初めての体験」や「いつかなくして、今得たもの」を中心に、エッセイを書いています。 最近は100文字の世界で、「今日の気づき」を書いています。