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萬腹企画『BUGBUG西遊記』レヴュー

この週末、三本の舞台を見た。
それが三本とも、マンガやアニメやゲームなどの影響から生まれてきた作品だったことについて書いてみます。

一本目。
中野ポケットで萬腹企画『BUGBUG西遊記』を見た。
作演出・平康臣

ゲームやるしか取り柄のない女の子が、VRの西遊記のゲーム世界の中に飛びこんで大活躍して、すごく大切なものを見つけるお話。

アイディア自体は、わりと良くある(スピルバーグの『レディプレイヤー1』とか)けど、演劇ならではの工夫があって、ドタバタしてて、エネルギュシュで面白かった。
出演者も多く(舞台が俳優で埋めつくされる感じ)、ギャグ、ダンス、殺陣、歌、てんこ盛りの演劇丼って感じ。

この劇団は数年前の設立時から何本か見ているが、どんどん勢いを増している。
俳優さんたちが出演してみたい劇団に成長して来ていると思います。

ふと昔のスーパーエキセントリックシアターを思い出しました。
おんぼろ時代のシアターグリーンで三宅さんや小倉さんが劇場の外まで出てお客さんをお見送りしてた頃。そんな時代があったのだ。(もう40年近く前になるんじゃないの、ワオッ!)

この萬腹作演出の平さんが、その時代のSETを見ているとは思えないけど。

演劇からの影響というよりは、まさにゲームやアニメやマンガからの影響を受けた作家の作品だと言えるでしょう。

ゲーム、アニメ、マンガ的という言葉は、かつては子供っぽいとか、幼稚だとかという意味を暗に含んでいたと思うのですが、今や日本のゲーム、アニメ、マンガは世界に誇る日本文化の象徴になっています。
かつてオタクと呼ばれて差別されていた物たちが世界を変えました。

ですからこの舞台作品を評して、ゲーム、アニメ、マンガ的というのは、ほめ言葉です。

演劇は、いろんなものを取り込んで生き残り続けるエンターテイメントなのですから。


出演者に何人か知り合いの俳優が出ていたので、彼らについても、ちょっと触れておきます。

孫悟空役の谷沢龍馬は、彼の初舞台から見ています。
いろんな劇団に客演で呼んでもらえるようになり、主役クラスを演じているのは、とても嬉しい。(まるで親の気分です)
順調に俳優としてステップアップしていると思う。もっともっと売れて欲しい。
本来不器用な俳優なので、実直に自分の役と向き合っていけばいいと思う。(やってると思います)

小太郎役の泊太貴は、ここ数年彼の出演舞台を何本も見ている。いつも人懐っこい笑顔の好青年だ。
チンピラ役とかが本当に良く似合う。(ほめてます)
今回もチンピラ的なゲーマー役が似合ってた。かっこつけても、どこか抜けている感を出せるのって、貴重な存在だと思う。
きっとシリアスな役もできるはずなんだけど、今の軽妙さを忘れないでやっていって欲しい。

狼猫役の碧さやかは、美しくしなやかな女優さん。まぁ、主役キャラの人。今回、コスプレ的な衣装で得意なダンスや殺陣もやっていていきいきとしていました。美しいっていうのは、必殺技ですなぁ。
いろんなジャンルの役をやれる女優さんなんだけど、こういう2・5次元的なキャラクターも、どんどんやったらいいと思った。
でも次はシリアスドラマでの彼女を見てみたい。

ミレーヌ役の江村あかりは、昨年、僕の脚本作品に出演してくれた女優さん。素晴らしいコメディエンヌぶりを見せてくれていたので、今回また見ることができると思って楽しみにしていたら、残念ながらダブルキャストだったので僕の行った回には出演してなくて、見ることができませんでした。
次回また江村さんのしなやかな芝居を見ていたいです。


一本目の芝居のレビューを書いていたら、けっこう長くなってしまったので、二本目と三本目は、次のノートで書きますね。

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