台本番長

園田英樹といいます。作家・脚本家・演出家・ときどき脚本を教えたりしています。アニメ、舞…

台本番長

園田英樹といいます。作家・脚本家・演出家・ときどき脚本を教えたりしています。アニメ、舞台の脚本が多いです。

最近の記事

実は映画『PERFECT DAYS』はミステリー!?

 映画『PERFECT DAYS』に感じた違和感の理由を考えていたら、ヴィム・ヴェンダース監督がしかけたかもしれない物が見えてきたので、みなさんにも話したくなりました。  きっとこんな観かたをしている人は、ほとんどいないと思うので、あくまでも個人的な視点だと思って読んでいただければ幸いです。 ○『実は、この映画はミステリーなのかもしれない』  そう思ったのは、映画の途中で違和感を感じるところが所々にあって、あるときそれがふとつながって、『ああっ!』てなったのです。  その

    • 井上ひさし作『夢の泪』を観劇して、長い感想を書きました。

      井上ひさし生誕90周年記念として、紀伊国屋サザンシアターで上演されているこまつ座の公演『夢の泪』を観劇してきました。 夢の泪は、東京裁判三部作と呼ばれている作品の一つです。 僕は井上ひさし作品のファンを公言していましたが、実はその偉大な作品群を網羅しているわけではありません。 東京裁判三部作、全部観たことありませんでした。 というわけで、今回、その一本を観ることができたわけです。 僕が出会った最初の井上作品は、子供の時にテレビで観ていた『ひょっこりひょうたん島』でし

      • 公演が近づいてきました

        劇団帰燕『ミュージカル版・五色ロケットえんぴつ』の公演が近づいてきました。 4月3日に初日を迎えます。 これに向かってこの三ヶ月間、僕としてはハードワークをしてきました。 このことについて、少し書きます。 劇団というものを再開するにあたって、さまざまなことを考えました。 なぜ今、劇団をやるのかということです。 モチベーション、目的です。 『自分がこれまでつちかってきたものを、できるだけ多く若い人たちに伝えたい』 『自分の書いたものを、もっといろんな人に観てもらいたい』

        • 下北沢寄席を観てきました。

          おやじダンサーズのジュテーム中島さんのお誘いで、オオタスセリさん企画の下北沢寄席4を観に行って来ました。 声優のクジラさんがMC。 オオタスセリさんの、OLの内臓が会話するファンタジー落語、秀逸でした。 内臓の擬人化で、OLの生活が描かれていくのには、なんだか深いものも感じました。 続いてアレスさんのマジック。 久しぶりに生でマジック見させてもらいました。 話術も楽しくて、大満足。 さらに、グレート義太夫さんの落語。 義太夫さんて、多才なんですねぇ。 そして、山本光洋

        実は映画『PERFECT DAYS』はミステリー!?

          『恋するマリッジセンター』脚本ができるまで

          『恋するマリッジセンター』の脚本の打ち明け話。  2024年2月13日から18日まで新宿スターフィールドで上演されておりました、恋するマリッジセンターの脚本がどうやって出来上がったかについて少しお話をさせていただきたいと思います。 ○オファー  プロデューサーであり主演女優でもある四宮由佳さんからオファーがあったのは昨年2023年の秋でした。  数年前から何か手伝えることがあったらやりますとお伝えしていたので、四宮さんは声をかけてくれたんだろうと思います。  しかし僕

          『恋するマリッジセンター』脚本ができるまで

          ワレモロWSに参加してきました

          劇団ハイバイの岩井秀人さんがファシリテートする、『ワレワレのモロモロ』の一般向けのワークショップに参加してきました。 見学だけしようと思っていたのですが、急遽、参加することになったのです。 参加者の人たちが輪になって、岩井さんの司会でゆるゆると最近気になったことなどを話していく中から、酷い目にあったエピソードや、酷いことをしてしまったエピソードを語ったりしていきます。 岩井さんが、『じゃぁ、そのシーンをやってみましょうか』という導きで、椅子を片付けたりして、その場に演技

          ワレモロWSに参加してきました

          AIと企画を考えてみました。

          AIにアシストしてもらって、ミステリー物の企画を考えてみました。 最初の僕のアイディアは、主人公についてだけ。 僕。 『17歳の日本人の高校生で、父親は元アメリカ特殊部隊員でCIAの工作員だった。その父親から、あらゆる戦闘訓練を受けて育った。そしてその父親が謎の死を遂げたことで、その犯人を突き止めようと動き出すことになる。』 そうしたら、こんな感じで提案してくれました。 AI。 『その設定は非常に魅力的ですね。主人公の特異なバックグラウンドや父親の死という動機は、読者

          AIと企画を考えてみました。

          四月公演のキャスト募集要項です。

          劇団帰燕旗揚げプレ公演 第一弾 『五色ロケットえんぴつ ~気がつけば恋の話~』 脚本・演出:園田英樹 園田英樹です。 みなさんがご存知の僕はポケモン映画などの脚本を書いている脚本家だと思います。 それ以外にも演出家や小説家としても今まで活動してきました。 二十代は劇団を主宰して活動していました。 その後フリーとしての活動が主になっていたのですが、人生が終わりに向かっていくのを意識す るようになった今、自分を作ってくれた演劇に恩返しをしたいと思ったのです。 僕がさま

          四月公演のキャスト募集要項です。

          ワレワレのモロモロ名古屋編の感想

           メニコンシアターAoiで『ワレワレのモロモロ名古屋編』を観てきました。 構成・演出・岩井秀人(ハイバイ) 台本と出演、宮璃アリ、寺田華佳、野崎詩乃、水谷悟子。 出演・板垣雄亮、川面千晶、朝倉真琴、飯嶋光春、重美紗果、土屋康平、中川大喜、みきを、森夏音。  なぜ僕はわざわざ名古屋まで行ったのか?  メニコンシアターAoiという素晴らしい劇場で芝居が上演されているのを観たかったからです。  今年2023年にオープンされたこの劇場は、客席は300ほどの小劇場にもかかわらず

          ワレワレのモロモロ名古屋編の感想

          『舞台アクセル!!』の上演を終えて。

          『舞台アクセル!!』の上演を終えて。 2023年8月27日に、『舞台アクセル!!』は無事に終演しました。 キャストが一人も欠けることなく、10ステージを走り抜けられました。 作者としては、すべてのスタッフキャストに感謝しかありません。 僕にとってもバイクレースを題材に物語を作るのは、初めてのことでした。 脚本家としてさまざまなジャンルの物語を作って来ましたが、バイクレース物は書いたことがありませんでした。 書き上げることができて、本当に幸せです。 バイクレースのドラマを書

          『舞台アクセル!!』の上演を終えて。

          舞台アクセル!! 脚本ができるまで

          『舞台アクセル‼︎』のストーリー脚本ができるまで。その1。 2023年8月23日から新宿サンモールスタジオではじまる『舞台アクセル‼︎』の脚本を書いた園田英樹です。 公演の成功を祈願するとともに、この脚本ができるまでのことを忘れないように書き残しておきたいと思います。 今回プロデューサーであり、演出も担当している齋藤康嘉さんからは、以前から何か一緒にやりましょうという話をしていました。 でもこういう話はなかなか具体的にはなりません。 エンジンを動かすためのきっかけが必

          舞台アクセル!! 脚本ができるまで

          ランナー(未発表作品)

          母の初盆で帰った実家で、中学生のころの日記帳とともに、高校生の時に書いた創作の原稿が出て来ました。 この家には僕は住んだことがなかったので、僕のものを母が残してくれていたものだと思います。 園田英樹作品に興味がある人なら、読んでみたいと思う人もいるかもしれないと思ったので、恥ずかしげも無く公開してしまいます。 僕の創作の原点とも言うべきものかもしれません。 17歳の時の作品『ランナー』です。

          ランナー(未発表作品)

          俳優のための台本の読み方講座

          こないだリモートでやった台本の読み方講座を、ノートにも共有しておきます。 俳優の人、もしくは俳優を目指している人には、参考になると思います。 このやり方は、絶対ではありません。 人それぞれ、いろんなやり方があっていいです。 まずは第一段階。 伝えたいことがあるから、脚本家は作品を書くわけです。 それはテーマなどと呼ばれることもあります。 お客さんと、演劇や映画など作品を共有することで、心を動かしたいと思うから、創作活動をしています。 伝えたいことをキャッチしたら、それをメ

          俳優のための台本の読み方講座

          映画館でレオポルシュタット

          『レオポルシュタット』 脚本トム・ストッパード  尊敬する脚本家トム・ストッパードの作品「レオポルシュタット」を、ナショナルシアターライブで見てきました。  ストッパードは多くの舞台劇や映画の脚本を書いた作家。 「恋に落ちたシェイクスピア」とか有名。  内容も良かったけど、自分的には脚本の構造の方が興味深かった。  需要ないと思うけど、語りたくなりました。  トム・ストッパードは初期作品では「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」が有名。  1966年に初演さ

          映画館でレオポルシュタット

          ワンラインとラフストーリーについて

           前回のノートでは、ストーリーを作る時の(脚本家)の意識の動きに焦点をあてて、実際に即興でストーリーを作りながら意識の流れをドキュメンタリー的に記録していくというものを書いてみました。  しかし、作り上げたストーリーを映像制作者のみなさんにプレゼンテーションするためには、これをそのまま相手に見せても読んではもらえません。 (どう考えても長過ぎます)  もっとわかりやすいものを書く必要があります。  今回は、それを書いて行きたいと思います。 ○監督、プロデューサーなどに、

          ワンラインとラフストーリーについて

          即興的にストーリーを作っていく方法

          シナリオコンクールなどに応募しようとしている人を指導していて、ストーリーの作り方をわかりやすく教える方法はないかと思って、自分のやりかたの一つを書いてみることにしました。 参考になれば、幸いです。 ○即興的ストーリー創作方法あくまでもこれは一つのやりかたにすぎません。 僕自身も違うやり方をすることもあります。 ただ発想の起点としては、このやりかたをすることが多いです。 参考にしてください。 ○脚本を書こうと思った時 ★まず何をするのか。 自分がこれから書こうと

          即興的にストーリーを作っていく方法