第一章「泡沫」峰橋志夏
初めて咲子が僕の家に来たのは、小学校2年生の夏だった。玄関を開けると、薄手のワンピースに麦わら帽子を被った君が柔らかな笑みを浮かべ立っていた。「遊ぼう」そう言って君は真っ白な歯を見せて笑った。君はまるで天使そのもので、僕は導かれる様に、極自然に君に恋をした。
僕等は同じ小学校のクラスメイトで、登下校の方向が同じだった事もあり、よく行動を共にした。咲子は幼い頃からとても美しい容姿をしていて、髪は長く肌の色は透き通る様な白さで、目は大きくくっきりとした二重瞼、唇は薄く、シャー