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2021/10/22【バイテン政権】アメリカ国内が原油価格高騰でピンチ【世界情勢】#26

今回は、アメリカ国内の原油高騰に関わる問題について、お話をしたいと思います。

世界一の産油国アメリカで起きている変化

今、世界中で経済活動再開の妨げと懸念されている原油価格高騰の問題ですが、アメリカに於ける影響はどうかと言いますと、実はシェール革命以降、アメリカがサウジやロシアを抑え、現在世界一の産油国です。そして、アメリカが天然ガスの価格も先進国で最も安く、今までは、エネルギー市況の変化に最も強い国と認識されてきました。それが、最近大きく事情が異なってきています。その理由が、前回も述べた、気候変動問題、地球温暖化ガス排出削減の波です。

バイデン政権が石油産業へ与えた影響

トランプ前政権時代は、所属していた共和党にとっては、オイルメジャーをはじめとする石油関連企業が重要なパトロンであったことや、また、国内の石油開発事業の雇用を守るためにも環境問題には消極的でしたが、バイデン民主党政権は、急進左派を始めとした環境問題意識が極めて高く、対策に積極的で、トランプが脱退したパリ協定に就任早々に復帰し、4月に気候サミットを主催したことは皆さんも良く御存じと思います。そして、様々な環境規制や不利な税制は勿論ですが、何よりも、ESG投資の波が押し寄せる中で、このバイデン政権の姿勢が完全に石油産業への投資抑制の原因となっています。

石油会社の方針

こういった変化の中で、過去は、原油価格が上昇し供給が限られると、アメリカの石油会社はすぐさま増産に動いていましたが、今は、株主の了解が得られずに増産に踏み切ることが出来なくなっています。今アメリカで石油産業に投資している方は配当目的だけで、増産投資は望んでいないと言われており、株主が、足元の利益だけで将来的に利益が見込めないと考えるなら、企業は、生産量を増やす方向には動けません。

車社会であるアメリカでは深刻な問題

バイデン政権は、自国の状況は棚に上げ、OPECプラスの減産縮小状況を非難し、増産方向へと政治的に懸命に動いていますが、中々直ぐに増産方向に向かわせるのは難しいでしょう。
一方で、この流れが続くと、アメリカ国内のガソリン価格は益々上昇し、車社会のアメリカでは、有権者の不満に直結します。また、ある調査会社の分析では、エネルギー価格高騰が原因で、年間インフレ率は年内に5.1%まで上昇するという予想も出て来ており、この原油高騰でバイデン政権の支持率は益々さがる、という方向に向かいかねません。

個人的には、温暖化ガス排出削減は、非常に重要な世界的課題であることは重々承知していますが、環境問題への対応を急ぎ過ぎる結果、エネルギー不足の問題などを引き起こし、経済を悪化させ、国民の生活を不必要に圧迫させることは、逆にマイナスでは、と思います。
寧ろ、政治的なアピールで以て、削減目標などに於いて過度な競争状態に陥っていないどうか、良く見定めていくことが重要ではないか、と思います。


今回の内容を動画で見たい方はこちら↓


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