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「地域自治」と「医療や介護」のあり方について思うこと。

自治体が医療(病院など)を持っていることには意味がある。

以前、ある勉強会で地域包括ケアの先進的な方(医師)が言っていた。

当時は、あまり意味が分からなかった。

自治体の医療(病院など)には、外から見ても問題点がある。

例えば、
・慢性的な赤字経営
・相場からかけ離れた人件費
・保守的で柔軟性が低い
・医療機関と住民の相互依存など

最近になって、冒頭の石の言葉が、少しだけ理解できるようになってきた。

医療は経済合理性だけで語るべきではない

「こんなこと言われなくてもわかっている」と言われると思うが、いや分かっていない人、とりわけ従事者は多いと思っている。

経済合理性を考えるのであれば、赤字より黒字、少ないスタッフより多いスタッフ、診療報酬が高くなる組織体制、効率性を求めるようになっていく。

昨今の、厚生労働省の施策を見てもその傾向はますます顕著になってきている。

しかし、医療や介護保険制度を考えた場合に、もう一つの危険性を僕たちは認識しておくべきだ。

医療や介護保険は、僕らの税金がその財源の一つであり、地域包括ケアで言う共助である。

公助ではない。板橋区では、共助を「制度化された相互扶助※1」と言っている。
※1〜3年目あたりでよく分からない方は、自助・互助・共助・互助は要チェック。

参考資料
※1 東京都板橋区
  H25地域包括ケア研究会

ここで大事なのは、相互扶助であるということ。
一方的にお金だけ払っているにも関わらず、必要な医療や介護が受けられない」ということが、至る所で起こっている。

(僕が、埼玉から移住してきたことの一つは、この辺りにもある。)

当たり前だが、経済合理性を軸に考えるのであれば、患者・利用者が多い大都市や人口密度が高いエリアでサービスを提供するのが効率的である。

まして、民間である場合、赤字では事業の持続可能性が難しくなるので、その傾向は高くなる。

しかし、現実的にそうではない場所や、撤退した場所に住んでいる人は沢山いる。

もちろん、そのようなリスクを承知の上で住んでいる人もいるが、そうではない方もいる。

医療や介護は地域自治の一つである

僕は、地域の枠を超えた大規模病院や組織に対して、大きな違和感を感じている。

・地方で生まれた収益を東京(都市部や他県)に。
・拠点は効率性や商圏人口をから都市部へ。
・地域に関係ない人が経営を。
・働く人は、効率性や短期視点へ。

その結果、組織の持続可能性が中心となり、格差が広がり、地域自治がどんどん失われていく。

社会保障で仕事をする私たちは、この点も認識しておいた方が良いし、教育として必須にした方が良いと思っている。

本来、地域の持続可能性を考えるべき人は、一人の市民である。
もちろん、僕たち従事者も、従事者である前に一人の市民である。

そういう意味で、自治体に医療があるということは、経済合理性の枠を超え、市民の総意としての結果であり、経済を理由とした命の選択が行われにくいことにつながると思う。

だからこそ、たとえ赤字でも地域に医療や介護が必要であれば、僕はあった方が良いと思う。(ただ、放漫経営だったり、経営努力をしないのであれば、解体された方が良いが。)

まさに、それは民間では不可能で、自治体にしか行えないことだから。

終わりに

ようやくこんな事を言語化できるようになったと思ったら、こんなのは昔から言われている事だった。

それにしても、医師の養成は「目的に応じてなるほど」と思う。
地域自治は自治医大、産業保険は産業医大、国防は防衛医大など。

参考資料

自治体病院経営の問題点
自治体病院が破綻する日
病院再編 「石巻・登米・気仙沼」「仙南」を国が支援

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