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若者の孤立感について考える

マネーフォワードを見たら3月は交際費が多かった。。。

春は別れの季節ですね。

少し前のニュースですが、文部科学省が12月に行った調査によると、新型コロナウイルス感染症によって、退学した学生は2万5,008人、休学した学生は6万3,463人もいたそうです。

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ただ全体としては、前の年の同じ時期と比べ、退学3万1,841人、休学7万325人を下回っていました。つまり、前年比で中退者は2割ほど、休学者は1割近く減っていたようです。

ですが、減少したからよかった、というわけではありません。

事実、毎年これだけ多くの学生が高等教育機関を離れていること、もちろん中には転学もあるでしょうけど、教育機関からすれば経営逼迫を招く原因にもなります。

ちなみに、大学等を去ってしまったからといって繋がりがなくなるわけではなく、むしろ学生時代の友人との交流は、卒後も緊密な関係であると調査で判明しています。

他方で、コロナウイルス感染症によって大学に行けていない学生も存在し、十分な友人コミュニティが出来ていないといった現状もあります。

今回の調査は、今の世の中は若者にとって生きずらい社会であると同時に、若者の孤立感の本質をテーマとして探ってみました。

▢若者の接触種別割合

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若者15歳~29歳までの男女を対象に、内閣府が平成28年度に行った調査『子供・若者の意識に関する調査』にて、

「普段の生活でどのような人と会話やメール等でよくやりとりするか?」(複数回答可)という質問に対し、日常生活の接触種別の割合は下図の結果となっています。

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家族が69.5%という数値はもちろんですが、次いで「高校・大学の友人」が51.8%、「地元の友人(大概が中学時代)」が39.5%と続きます。

つまり、大半の方が学生時代に知り合った友人と20代後半までよく交流を図っていることになります。

その後は、ライフイベント等があり疎遠になることもあるかと思いますが、私もこれは経験上でその通りだなと思いました。

当調査に関わった中央大学の古賀正義教授は、この調査で関係が強い種別の人々を若者にとっての「コアな他者」と呼んでいます。

これらについて、【文化放送】ロンドンブーツ1号2号田村淳のNewsCLUBで詳しく説明がなされています。

一方で、「職場の人」の数値が13.9%と低いです。

以下のグラフは、2019年に適性検査を受検した46,000人以上のデータを対象に「年齢別の性格・価値観分析」ですが、19歳~29歳の若者は、仕事よりもプライベートを重視していることが分かります。

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30代以降は、徐々にプライベートと仕事の差は縮小していきますが、これだけ多くの若者が双方の切り分けを望む傾向にあります。

▢でも若者にとって生きずらい社会

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プライベートを大事にしつつも、日常生活の接触種別では、家族以外でいえばそのほとんどが「学生時代の友人」であり、その関係性が崩れると孤立化が進んでしまうといった懸念があります。

古賀教授は、若者における「社会的孤立」という観点から、例えば学生時代に上手く友人関係を築けなかった人たちが社会人になった後、悩みを家族以外に相談できず、社会と十分な繋がりを感じずらい構造になっていると指摘しています。

(▼古賀正義教授による文献等)

≪論文≫
若者における「社会的孤立」の偏位-ネットワーク分析の調査視点から-利用統計
≪書籍≫
ひきこもりと家族の社会学

一度そのループに入ってしまうと、抜け出すきっかけをつくりだすことも容易ではありません。

今は、SNS等で簡単に人と繋がれますが、大半の若者はリアルな人間関係の延長線上でオンラインコミュニティを形成していることから、結局は「コアな他者」との接触になります。

すでに社会人である我々は、そういった現状の他、職場との切り分けを望む若者の心理を理解し、本質を捉え、向き合う必要があるのではないか、と考えるようになりました。

文部科学省は、対面授業の実施を各大学に求めていますが、学生内でのクラスター(感染者集団)発生も考慮すると、都市部を中心にですが大学の対応は慎重にならざるをえません。

ですが、今回のコロナウイルス感染症によって大学に行けず、孤立感を感じている大学生も大勢います。

それに学生時代に十分に友人関係を築けず社会人になった場合、もしかすると孤立化を助長させる可能性も高まるかもしれません。

そういった意味で、大学は「少なくとも20代後半まで良好な関係性を築く友人との出会いの場」をしっかりと整える責務があると感じました。

▢若者の孤立感を解消させるには

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友人関係の構築について、これまでは偶発性による出会いを期待できましたが、しばらくはそうはいきません。

一方で、多くの大学で出会いの場の提供やオンラインコミュニティによる交流といった動きも活発化しています。

ちなみに、2021年3月には、コロナ禍の影響で友達作りに悩みを抱える大学生や、新生活を迎える大学生に向けて、オンラインゲームによるチームビルディングやコミュニケーション活性を促す価値感カード「カラバリューカードオンライン」が期間限定で無償提供されています。

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大学は、学生同士のエンゲージメント向上を目的に、こういったオンラインサービスも駆使しながら学生支援を行うことも必要なのかもしれません。

他方で、これは新社会人の若者にも同じ事が言えます。

採用した人材が活躍できる環境を作り、いかに組織に定着させるかは組織にとって重要なテーマの一つです。

それらを解決する手法の一つに、『オンボーディング』というものがあります。

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これは、新しく組織に参加したメンバーが早期に活躍できるよう、組織としてサポートする仕組みです。

我々のチームでも、新入学生・新社会人を迎えるにあたって色々考えています。未来ある若者の可能性を広げるために、大学はこれからも学生さん達を支えていきたいと思います💪

最後に

センチメンタルになっていた私へ卒業生が教えてくれたナイスな曲をご紹介します。

藤井風さんの『旅路』という曲です。

歌詞の一説に

「この宇宙が教室なら 隣同士 学びは続く」

というフレーズがあります。

別れがあれば、出会いがある。

でも、別れたとしても繋がりは続きますように。

今日から4月。

今度は、出会いの季節ですね🌸

最後までお付き合いいただき
ありがとうございました。
Twitterもやっています。@tsubuman8

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