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キネマ備忘録

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映画を観て、広がった世界のこと
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#習慣にしていること

休みの最後、クラシック

 4連休の最終日は、家で静かに映画を見たり本を読んだり時々気まぐれで簿記の勉強をしたりしていた。簿記については正直細く長く勉強しているので、もはや自分でも受かりたい気持ちがあるのか甚だ疑問だ。そもそも人は勉強するにしてもその先に何かないとやる気が上がらない生き物なのだろう(それは私だけかもしれないが)。  久しぶりにクラシック映画を見た。1927年にドイツで製作された『メトロポリス』。Amazon Primeとかでも見られなくて、仕方なしにTSUTAYAで借りた。こうした昔

この世はかくも素晴らしく、かくも酷い

 なんとなくこの社会に身を置いていると、客観的に見た時に人は割とその人の正しい内面を知ろうともせず、世間一般のイメージばかりに囚われているような感じがする。そうした勝手な先入観や偏見によって、間違いなく生きづらいと感じてしまう人間がいる。  西川美和監督と役所広司がタッグを組んだ『すばらしき世界』。公開当初から非常に気になっていて、ようやく時間ができて劇場に足を運ぶことができた。直木賞作家・佐木隆三氏の小説『身分帳』が原案となっている。 ■ あらすじ殺人を犯し13年の刑期

時間を旅する人たち

水の上に石を落とすと、静かに波紋が揺れる。 ちょうど日常のちょっとした変化に対して、それがまるで波紋のようにだんだんと異なる影響をもたらすことをバタフライエフェクトというそうだ。 そういえば昔『時をかける少女』というアニメ映画を見たことがあるけれど、主人公が過去に起こした出来事によって未来が大きく変わってしまうという、そんな道筋だったように思う。3作品にわたって制作された『Back to the future』もそうだ。 タイムスリップをネタにした話なんてものはこの世の

さよなら、ドビュッシー

休みの日、なかなか表立って外に出づらくなってしまったので、とりあえず映画を見よう!と思い立ち、契約しているネットサービスを漁っていたらなんとも懐かしいタイトルを見つけた。 『さよなら、ドビュッシー』<あらすじ> ピアニストを目指す16歳の遥は、両親や祖父、従姉妹らに囲まれ幸せに暮らしていたが、ある日火事に巻き込まれ、ひとりだけ生き残る。全身に火傷を負い、心にも大きな傷を抱えた遥は、それでもピアニストになることをあきらめず、音大生・岬洋介の指導の下、コンクール優勝を目指してレ

海の上で生きるピアニスト

他の記事でも不慣れな短編で題材にするほど、海という存在はわたしの中でとても大きい。今住んでいる場所は、海からそれなりに距離のあるところなので、おいそれと海のある街へ行こうにも時間をかけて電車に揺られながらその場所へ向かうことになる。 個人的には家にいるよりも、比較的移動する方が好きなので電車に揺られている時間はわたしからしたら全く苦ではない。そのため、好きな音楽を聴きながらのんびりと自分だけの時間を過ごしている。そして海が近づくに連れて開け放たれた窓から潮風が舞い込んできて

真夜中の五分前

大好きなバラエティのひとつに日テレ系でやっているAnother Skyという番組がある。もう誰もが知る長老番組になりつつあるが、わたしは普段あまりテレビを見ないのだけどこの番組だけずっと見続けている。 とは言いつつも、ここ2年くらいずーっと撮り溜めしていてなんだかんだ忙しいことを理由に全然見られていなかった。ところが家に籠るようになって、これまで過去の分をひたすら見続けている。 その中で行定勲監督が出演された番組があって、彼が撮影した『真夜中の五分前』という映画が気になっ

『男はつらいよ』の生き方に寄せて

頭の上には印象的な帽子、帽子の下は四角い顔、そして帽子と同じ色をした背広、手には四角い形をした昔ながらの硬そうなカバン…こうした特徴を挙げていくと、頭の中に広がるイメージ。そう、フーテンの寅さんです。 今日は火曜日ということで、コロナ禍で見るようになった『男はつらいよ』シリーズについて語っていきます。数ある映画作品の中でも、特に思い入れが深いです。第1作が制作されたのが1969年なので、なんと今から約50年前!だいぶ昔のことのようですが、その良さは色あせないと思っています。