マガジンのカバー画像

思わず引き込まれた話のまとめ

152
ついつい語り口に引き込まれて最後まで読んで感服した話のまとめ。
運営しているクリエイター

2023年12月の記事一覧

大人になった私が、子供の頃の私を救いに行く

つい最近、嬉し泣きをした。 止めようとしても止まらない。嗚咽するくらい泣いた。きっとこの涙は、子供の頃の私の涙だと思う。 個人的に2023年は奇跡の一年だった。 ずっと蓋をしてきた自分の過去と、自然に向き合う流れが次々と起こった感じ。 大人になってから出会った人達には、ほぼ誰にも話したことがないし、 話すつもりもなかったことなんだけど 私は4歳くらいから12年間くらい、 家族以外の人の前では声が出せなかった。 「場面緘黙症」という精神疾患(不安症の一種)で、 ひとことで

かすかな光と、日々の言葉

冬になると、すこし写真のトーンが変わる。 弱まる光にそっと抱かれたような感じになる。 冬の光は、とてもやさしい。 弱さ、というやさしさを思う。 ◯ 変わろうと思った今年だった。 ちがう仕事をはじめ、新しい人たちと出逢い、いままで読まなかった本もたくさん読んだ。 何かに近づき、そのぶん何かから離れ、でもおだやかに、つつましく生活ができて、よかったと思う。 別れも、失ったものもたくさんあったけれど、距離や不在が培ってくれるものもたくさんあった。大切に愛しさを育んでいる気

旅とブンガク|津軽鉄道に飛び乗って太宰治のふるさと金木町へ

「来ちゃった」 恋しい人のもとへ押しかけて来たヒロインのような気持ちで、わたしは朝早く金木駅にいた。 「ほんとに来ちゃったよ」 わたしは宿泊先の五所川原から津軽鉄道の始発に飛び乗って、太宰治のふるさと金木町に来たのだった。 わたしが五所川原に来た理由青森県の五所川原市に来たのは、仕事のためだった。「フジドリームエアラインズ青森ー神戸便の利便性を活かした青森・神戸のビジネス交流」という事業の一環で、青森県の五所川原市と青森市をめぐるビジネスツアーにご招待いただいたのだ。