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贅肉で風を切れ

「なにこれ…」
右手の人差し指と親指でベルトの上に乗っかった贅肉をつまんでみると、2ヶ月前よりもあきらかに分厚くなっている。

左手の人差し指と親指も使って、なんとなく両手で贅肉を揺らしてみたのだけれど、思ったよりもぷるぷるしなかった。少し硬い。

これがもっとぷにぷにふわふわしていて、誰が見ても「可愛らしいフォルム」であれば、ぼくはもしかすると、自分の体を愛せたのかもしれない。
けれど、現実は残酷なことに、自分が見てもあなたが見ても、この無駄に贅肉がついた体は「汚なさ」しかないのだ。
どういうわけか腹がたってくる。

まだぎりぎり、体のラインが目立つTシャツ1枚の姿でも太ってるようには見えない。
でも、向かい風がこれでもかとこの体に吹きつけたらどうだろうか。
ピチィィィ!とTシャツが体にはりついて、きったねぇ体のラインが浮き彫りになってしまう。

そういった事態はできるだけ避けたい。恥ずかしいから見られたくない。
なんとかせねば、この体は恥ずかしいことになっているのだから。

そんなふうに恥じている自分を客観的に見て思ったのだけれど、自分を恥じてばかりいるのってあまり良くないよね。

恥ずかしい、情けない、バレたくない、そんなことばっかり考えていると、どんどん弱気になって自信なんて無くなってしまう。
そうなると、余計に自分が「ダメな奴」に思えてくる。

恥ずかしいことでも、堂々として笑いとばすほうがよっぽど魅力的なんじゃなかろうか?
そう自問してみたら、豪快に笑ってこっちまで楽しい気分にさせてくれるあの人を思い出した。

自分もそんな人間になれるように、これからはこう自分に言い聞かせることにしよう。

堂々としてろぽんこつ。どんなことも笑いとばせば、それは全て笑いごとで終わるんだ。
向かい風がきたって負けるんじゃない。恥じるんじゃない。
その贅肉で、風を切れ。


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