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『山崎怜奈の歴史のじかん』が凄い

僕は、仲間と共に「引き出すこと」にフォーカスしたコミュニケーションのワークショップを開催しています。そこでは、相手から話や考え、価値観などを引き出すコミュニケーションを『対話力』と呼んでいます。

少し前のこと。このワークショップ仲間の間で、山崎怜奈が話題になりました。
「この子、23歳で乃木坂のメンバーなの?」
「この子の対話力凄い!」
と。

きっかけは、仲間の一人がたまたま彼女のラジオ番組『山崎怜奈の誰かに話したかったこと。』(東京FM)で名前を読まれたというので、みんなでそのラジオを聴いてみたこと。僕以外は乃木坂46に詳しくないので、山崎怜奈が何者なのかわからないまま聴いた反応でした。

僕もこのラジオを聴いたし、仲間同様凄いと思いました。話を聞く事、理解しようとする事、理解を相槌などで表現する事。それらも上手だけれど、彼女の「視点」と「言葉」に驚きました。相手の話を受けての感想や質問に表れる彼女ならではの視点と、それを的確に伝える言葉選びが本当に素敵で。

そんなことがあり気になっていた「れなち」が本を出したので、読んでみました。彼女が一年間MCを務めた番組「乃木坂46山崎怜奈 歴史のじかん」から厳選した内容を座談形式にした本編と、出版にあたって彼女が新たに執筆したコラムの2本立てであるこの本は、楽しく読める歴史本である以上に、彼女の高い対話力の源が学べる、価値ある一冊。それがあっという間に読み切ってしまった僕の感想です。

山崎怜奈の対話力の源は、「自分自身への関心」だと僕は思う。それは、自分大好き的な前向きなニュアンスではなく、弱さや狡さも含めた嘘のなく、どこか客観的な自己理解の姿勢だ。もちろん、一般的な「人」や「社会」にも関心を向けているだろうけれど、それらをきちんと自分の目で見ることができるのが、彼女の強みなのだと、この本を通して強く感じました。

山崎怜奈は、多分不器用だ。そして、彼女の歩んできた「乃木坂での8年間」は、どこか哲学的な自問自答の機会を彼女に与え続けたのではないか。十分すぎるくらいに。
誰だって何かに悩むものだけれど、スポットライトの当たらない環境にい続けるというのは、中々に辛く、自分の価値を考えさせられるものだと思う。それと向き合い続けることは、容易ではないだろう。

コミュニケーションにおいて、相手に関心を持つことが大事だ、と良く言われる。冒頭に書かせていただいたワークショップでも、「対話=100%相手のための時間」とお伝えしている。だけど、良き対話者となるには、自分自身への関心も重要だと、山崎怜奈さんに気付かされました。相手への理解や、面白い視点での質問力を磨くには、日頃からの自問自答の積み重ねが欠かせない。

こうした学びが得られたことに感謝すると共に、山崎さんと話せたらすごく面白い時間が過ごせそうだな、なんて思わせてくれる一冊でした。

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