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親族間で土地を売買するときの価格について

皆さん、こんにちは。
ダイエパートナーズの辻本です。

今回は親族間で土地を売買するときの価格についてお話をします。
親族間では土地を売買するときの価格によって余計な税金が生じてしまう可能性があります。
この余計な税金が生じてしまうという点において、売買価格をいくらにするのかは非常に重要な論点だと思います。

今回はその売買価格について、私の考え方を交えながら解説していこうと思います。
テーマ上、親族間というふうな書き方をしておりますが、社長と会社であったり、親会社と子会社との間で売買する際も同様ですので、是非そのようなケースも想定しながらご覧いただければと思います。
それでは始めていきましょう。

売買価格について

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売買価格を考える際には、この5つを使って考えていると思います。

①固定資産税評価額
固定資産税を計算する時の評価額です。
この固定資産税評価額は、公示地価の70%程度で評価されていると言われています。

この公示地価とは、国土交通省が公表している土地の目安となる金額で、国土交通省がこのエリアの土地はこれぐらいの金額ですよというのを公表してくれています。

さて、固定資産税評価額をどこで確認できるかと言いますと、固定資産税の課税明細書から確認することができます。
写真の赤枠で囲ったところなんですが、価格(評価額)と記載されているところが固定資産税評価額です。

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②相続税評価額
相続税評価額は、相続税を計算する時の評価額をいいます。
この評価額は路線価をベースに評価され、先程ご説明させていただいた公示地価の8割程度で評価されることになっています。
この路線価は、国税庁のHPに掲載されている路線価図から確認できます。
路線価図が何を表しているかと言いますと、この道路に接している土地については、1㎡あたりこの金額ですよ、というのを表しているのものが路線価図なんですね。

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もう少し相続税評価額を算定する際の計算の仕方を見ていこうと思います。赤色で300㎡と記載された土地を評価するとします。
この土地が接している道路は赤枠で囲った1,400B という記載された道路です。
この1,400というのが、1㎡あたりの価格を表しているんですが、1,000円単位で記載がされていますので、1㎡あたり140万円ということを表しています。
この300㎡の土地は、300㎡×1,400,000円=420,000,000円が相続税評価額となります。これが相続税評価額の簡単な計算の仕方です。

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③公示地価ベースです。
相続税評価額を公示地価水準に置き換えた評価額です。
相続税評価額というのは公示地価の80%で評価されていると先程記載致しました。
相続税評価額を80%で割り戻すことで、国が定めている評価水準(=公示地価)に戻した評価額を計算します。

④不動産鑑定評価
不動産鑑定士さんが評価した評価額です。
不動産鑑定士は、不動産を評価するプロフェッショナルですので、その資格を持つ不動産鑑定士さんが評価した金額が不動産鑑定評価額です。

⑤取引事例価格
近隣の取引事例による評価額です。
取引事例は、国土交通省の不動産取引価格情報検索で検索することができますし、直接不動産屋さんからの情報としてヒヤリングすることも実務上考えられるかと思います。
国土交通省の不動産取引価格情報検索がどんなものかと言いますと、こちらです。

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これは大阪市港区の取引事例を引っ張ってきたものを貼り付けておきました。
このような形で地域を検索していただくと、こんな感じでずらっと取引事例を確認することができます。

以上、売買価格の候補としてこの5つをあげてました。この5つのうち、どれを採用するのかという具体的なルールが税法にはないんですね。
なので、実務上何を選ぶのかというのがとても難しいんだと思います。
そこで私がどういう基準で、この5つの中から選んでいるのかというのをご説明させて頂こうかと思います。

何を使えばいいの?

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これから記載する内容は、あくまで私個人の考え方なので、他の税理士さんと意見が異なるかもしれません。この点ご了承いただければと思います。

まず、私は固定資産税評価額と相続税評価額は使いません。
なぜかと言いますと、固定資産税評価額も相続税評価額もあくまで税金を計算するための評価額ですので、売買という取引から見ると評価の仕方がなじまないと思います。したがって、固定資産税評価額と相続税評価額を私はオススメしておりません。

一番望ましいのは、取引事例価格です。
実際に売買されている金額を基にしているので、評価の性質とも1番合うと思います。
ただし、実務上、評価の対象となる土地と同じような条件の取引はなかなかないと思います。

そこで、私が実務上どのようにしているかと言うと、不動産業者さんへヒヤリングした金額と相続税評価額を80%で割り戻した公示地価ベース評価額の2つをベースに考えることが多いです。

もう少し具体的にお話しすると、不動産業者さんへヒヤリングした金額と公示地価ベースで置き換えた金額、この2つ間で価格を考えることが多いです。これが実務上コストもかからず、合理的な方法だと私は考えています。そして、売買価格について強い根拠書類を準備したい場合は、不動産鑑定評価を検討する。このような形のプロセスで私は考えています。不動産鑑定評価のよる鑑定書があれば、取引金額の範囲の妥当性を根拠づける強い書類になると考えています。ですが、鑑定費用がかかってしまいますので、そこはお客様と相談をして対応をしている。といった感じです。

最後に


今回は親族間で土地を売買するときの価格というテーマでお話をしてきました。
土地の売買価格をいくらにするかという明確なルールがありません。なので、とても悩ましく、難しい論点だと思います。
ですので、実際に売買を実行する際には、顧問税理士さんであったり、懇意にされている税理士さんにご相談されることをおすすめ致します。
今回は土地の売買価格の決め方について私なりの考えを交えながら解説をしてきました。売買価格を決定する参考にしていただければ嬉しく思います。

今回の内容は、YouTubeで配信しています。ご興味がありましたら、ぜひご覧ください。


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