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親族間で建物を売買するときの価格について

皆さん、こんにちは。
ダイヱパートナーズの辻本です。
今回は親子間で建物を売買するときの価格というテーマでお話をさせて頂きます。

親子間や会社と社長との間で建物を売買する際には、その売買価格によって余計な税金が発生することもあります。
この点において、売買価格は非常に重要な論点と言えます。
ですので、建物を売買するときの価格をどのように決めていくのがいいのか、その考え方をお伝えしていきます。


売買価格の選択肢


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実際に売買の価格の選択肢としては4つあると考えています。

① 固定資産税の評価額
固定資産税を計算する時の評価額です。
これは、建築価格のだいたい50~70%ぐらいで評価をされるというふうに言われておりまして、毎年市区町村が計算をして通知を送ってきてくれます。
固定資産税評価額は、固定資産税の課税明細書から確認できます。

② 帳簿価額
過去の取得価額から減価償却費を差し引いた金額になっています。
収益物件をお持ちになっている方で、毎年確定申告をされている方は、この所得税の確定申告書から確認することができます。
具体的には、確定申告書の書類の中の減価償却費の計算という書類で確認をすることができ、未償却残高というところが、帳簿価額です。

③ 再建築価額
再建築価額というのは、もう一度建て直す際にかかる建築費用のことです。
この再建築費用から減価償却費を差し引いた金額が再建築価額です。
具体的には、建物の標準的な建築価額表にそって計算していきます。国税庁のHPから取得することが可能です。

④ 不動産鑑定評価
不動産関鑑定士さんという不動産を評価するプロフェッショナルがいます。
この方に鑑定してもらった評価額が、不動産鑑定評価です。

この4つある価額のうち、どれを選ぶかが難しいところだと思います。
ですので、私なりの選び方を理由と合わせてお伝え致します。

何を使えばいいか?

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これ以後の話は私見なので、税理士さんによって意見が異なるところだと思います。この点ご了承ください。


まず、固定資産税評価額を私は使いません。固定資産税評価額は、あくまで固定資産税という税金を計算するための評価額なので、売買とは性質が違うと考えています。
ですので、固定資産税評価額を売買の価格として使うことは私はやっていないですし、おすすめもしておりません。

最初に私が考えるのは、帳簿価額での売買です。
理由は2つです。
1つ目は、所得税では減価償却が強制されているので、帳簿価額を税務上の時価として差し支えないと考えているからです。
2つ目は、実務上の慣習です。
私もこれまで帳簿価額を採用してきましたし、実務上、帳簿価額で売買するケースというのが非常に多いと思われるからです。

そして、帳簿価額がない場合や、帳簿価額を使うことが望ましくない場合に、不動産鑑定評価の採用を検討しています。
具体的にどのような物件かと言うと、帳簿価額がほとんど残っていないが収益力のある物件です。例えば減価償却が終わっていて、帳簿価額が1円なんだけど、年間500万円の収入を上げてくるような物件を、1円で売買することってないと思うんです。なのでそういったケースは不動産鑑定評価を検討します。
あるいは、すごく収益力の高い商業ビルのような物件で、第三者に売る際の金額と帳簿価額にかなりの乖離が予想されるような物件は、不動産鑑定評価の採用を検討しています。

最後に、帳簿価額を使うことが望ましくなく、かつ、不動産鑑定評価を依頼できないような場合には、再建築価額の採用を検討しています。この再建築価額は帳簿価額で取引する際の参考として使用することもあります。


まとめると、固定資産税評価額は使わず、帳簿価額をベースとしながら、物件の特性によって鑑定評価を考え、補完的に再建築価額を考える。このようなプロセスで売買価格を決定しています。

以上です。
いくらで売買をするのはとても難しい論点で、間違うと変な税金が取られてしまうということが起こってしまいます。売買を実行する際は、懇意にされている税理士さんにご相談ください。

今回の内容は、YouTubeで配信しています。ご興味がありましたら、ぜひご覧ください。


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