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基礎のきそ:金融リテレシークイズ(4)回答編

問16 A社が発行する社債と、株式があります。景気がよくなり、A社の収益が前の決算期より改善しました。その時、既発*の社債の利金と株式の配当金は?

A. 変わらない
B. 両方増える
C. 社債の利金はそのまま、株式の配当金は増える
D. 社債の利金は減り、株式の配当金は増える

*既発とは、発行済という意味で、新たに発行される「新発」と対比させた言葉です。
正解はC. 社債の利金はそのまま、株式の配当金は増える です。会社によっては収益が増えても直ちに増配(株式の配当金を増やす)しない場合もありますが、社債の利金は発行体(この場合はA社)の業績によって増減することはありません。この質問は「債券と株式の性質の違い」を理解しているかを問うものです。理解できない場合は、下記を見てみましょう。

社債と株式の性質の違いも、上記のサイトで説明されています。

問17 景気が悪くなり、A社の収益が悪化しました。市中金利は下がっています。その時、既発の社債の利金と株式の配当金は?

A.  変わらない
B. 両方減る
C. 社債の利金はそのまま、株式の配当金は減る可能性がある
D. 社債の利金は増えるが、株式の配当金は減る可能性がある

正解はC. 社債の利金はそのまま、株式の配当金は減る可能性がある です。理由は上記問16と同じです。なお「市中の金利が下がった」時に影響を受けるのは債券の「利回り」であって「利金」ではありません。わからなくなった場合は、リテレシークイズの「その1」に戻って復習しましょう。

問18 A社の収益はさらに悪化し、資金繰り難に直面して倒産(解散)することとなりました。A社には売却可能な在庫や施設があります。その後、既発の社債と株式の保有者への返金は?

A. 会社が清算した後の金額が公平に保有者に分配される
B. 社債の保有者にはある程度の返金が期待されるが株式の保有者には期待できない
C. 社債の保有者にも、株式の保有者にも全く返金されない
D. 社債の利金と株式の配当金のみが支払われる

正解はB. 社債の保有者にはある程度の返金が期待されるが株式の保有者には期待できない です。これも、問16で学んだ株式の性質を理解していれば即答できるでしょう。会社が解散する場合、株式発行で得た資本金はまず、融資をしている銀行や社債の保有者など、債権者への債務の弁済にあてられます。それでも足りない分を在庫や施設の売却代金で賄うのです。解散時に先に弁済が受けられることを「弁済順位が高い」といいます。複数の社債が発行されている場合「弁済順位が高い」順に支払われます。

問19 日本の長期国債と同じ信用格付けで同じ年限、同じ発行日の社債があったとします。その場合、国債と社債の利回りは?

A. 同じ
B. 国債の方が高い
C. 社債の方が高い
D. 金利環境によって国債が高い場合も、社債が高い場合もある

正解は C. 社債の方が高い です!

日本の国債は信用格付けがA以上の「ソブリン債」です。ソブリン債と同じ信用格付け、年限の社債があれば、社債の方がリスクが高いとされ、やや高い利回りを要求されるのが普通です。

問20 A社のように、経営が上手くいっていた時に発行した社債が、のちに経営悪化となった場合、その社債の利回りは同じ年限の国債に比べて、どう変化しますか?

A. 経営状態によって変わることはない
B. より利回りの違いが大きくなる
C. より利回りの違いが小さくなる
D. もともと利回りの違いはないので、同じ

正解はB. より利回りの違いが大きくなる です。これを「スプレッドが開く」「スプレッドが拡大する」といいます。A社の場合は、経営が上手く行っていた時には信用リスクが低く、のちに経営が悪化して信用リスクが高くなったので、信用格付けもそれに伴って下がったと考えられます。仮に信用格付けが正式に下がっていなくても、経営悪化の事実が市場に伝われば、市場はそれを織り込んで債券に値段をつけるため、価格は下がり、利回りは上上昇します。詳しくは下記を見てください。

いかがでしたか?もし「難しい!」と感じた場合は、その1と2に戻って復習してみましょう。基本が理解できていれば、その4も簡単になります。(続く)

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