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私の短歌:「海」を詠んでみた

渚へと軽トラックを走らせて日が沈むまで海のヴォカリーズ

7月24日放送のNHKラジオ「文芸選評」お題は「海」でした。たしか、この日の放映は、大雨で延期になったものではなかったでしょうか?そのせいか、リアルタイムでこの自作の歌が読まれたことを最近まで知らずにいました。おりしも東京五輪の開幕で、スポーツ好きな私が完全に気をとられていたこともあるでしょう。

この短歌を取っていただいたのは嬉しかったです。他の入選歌は、どちらかというとネガティブな事象を詠んだものなので、これがいまのところ唯一のポジティブトーンの入選歌です。ちなみに私は運転免許も軽トラックも持っていません。なのでこれは完全に「創作」なのです。

ヴォカリーズは、やはりラフマニノフの「あれ」を念頭に置いていました。なぜ軽トラックかというと、その日たまたま軽トラックを見かけたことと、もしこれが普通の乗用車だったら二枚目過ぎること、そして軽トラックは日本に特有の日本らしい車だからです。日本の海がヴォカリーズを奏でる、という点を軽トラックを通じて詠みたかったのです。

「いっせーのせ」で海の塗り絵を始めたら水面を黒に塗った子がいて

震災後の津波の影響からまだ立ち直っていない子供を思って詠みました。あれから10年、ほとんどの子供は成人しているでしょう。でもあの衝撃や、失われた友人や親類のことは、まだ傷となって残っているのではないかと思いました。

台風で飛んだトタン屋根も白いビキニも海に漂う

これも災害の後の話ですが、救いがある話として詠んでみました。

海の子はかるく一キロ泳ぎ切る雪の子はスキーで買い物に行く

これは、詩になっていなかったかな。反省です。単に海の子と雪の子を対比させただけです。もう少し練ってから出さないといけないですね。

最後に、冒頭の短歌を採用してくださった梅内美華子先生、ありがとうございました。

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