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消費減税のウソを図にしてみました。

「消費減税はできない」そして「無理にやればかえって逆効果」を図でまとめてみました。

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やや小さいのですが、お許しを。

「消費税10%がなくなれば物価が10%安くなる!」と思うだろう、という国民を舐め切った複数の野党の提案ですが、この日本で(外国ではなく)、いま(コストプッシュインフレがすでに起きている状態で)それを行うことは、むしろ愚かな行為です。

もし、日本に財政赤字などほとんどなく、歳入に占める公債の割合も10%程度であれば、時限的な消費減税は「あり」かもしれません。しかし現実は、過去30年間プライマリーバランスが一度も黒字化したことのない、債務残高のGDP比が先進国トップの国なのです。減税をアナウンスした時点で国債は売られ、長期金利は上昇するでしょう。円安も同時進行すると思われます。

長く続く景気低迷の原因はそもそもが「消費税が10%であること」ではないので、減税をしたところで、景気低迷の根本原因はなくなりません。消費減税が魔法の杖であるかのような宣伝は、国民が経済・金融の知識を持っていないことを大前提にしています。

まともな政党であれば、日本がいま直面している困難を真正面から国民に説明して、協力を求めようとするでしょう。しかし消費減税を唱える人たちは、いわば「大ウソつき」なのです。

彼らは、支持者に以下のような説明をしているようです。

「日本が不景気なのは需給ギャップがあるから。消費減税をすれば消費を刺激し、この需給ギャップを解消することによって好景気となる」と。

需給ギャップとは需要と供給の差のことをいいます。不景気の時はいっぱんにモノやサービスの供給が需要を上回るので、これを埋めることが大事だと考えられています。しかしいまの経済状況は、ロシアの軍事進攻や、欧米での景気回復を受けて世界的に原材料等が値上がりしている状態です。日本ではともかく世界的に需給はタイト(ギャップはないか、需要が供給を上回る)状態なのです。

そのため物価が日本でも上がっている(コストプッシュインフレの状態)わけですが、ここでさらに「需給ギャップを埋める」ような政策をとれば、日本ではいま弱い需要が強くなると彼らは見ているわけですから、物価上昇をさらに加速化させることになります。(上記に追加してデマンドプルインフレが起きます)彼らは今より物価が上昇して欲しいのでしょうか?

だとしたら消費減税は絶好の政策でしょう。景気(消費)を回復させても、させなくても、結果的にはインフレが起きることになるからです。消費が回復すれば上記のデマンドプルインフレにより物価が上昇します。回復しなくても、国債の発行が増えることによって国債には売り圧力が強まり(国債の共有が需要を上回るため)、それによって国債の利回り、新発国債の利率などは上昇します。日本の信用力が落ちるため、同時に円安も進み、円ベースの商品価格は上昇します。

長期国債の利回りは住宅ローン金利や、企業が銀行から借り入れをする際の金利に連動しますので、お金を借りて住宅を買う人、事業を営む人にはマイナスになります。結果として、景気はさらに冷え込み、物価が上がるという、スタグフレーションの状態になってしまいます。

ここで問題なのが、日銀の金融政策ですが、日銀はバランスシートを過去10年で長期国債の買い入れ等で膨らませてきたため、金融引き締めを行うと自らが損をするという構造になっています。2022年7月6日の日経新聞朝刊によると、日銀は金融引き締めを行うことで債務超過に陥る可能性が高く、そうなれば円安は加速度的に進むとされています。仮に日銀が方針を変えて政策金利を上げるとしても、円安によるインフレとの追いかけっこになるリスクがあるのです。

あなたはそれでも消費減税を信じますか?(終わり)


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