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退職の日(短歌5首)

2024年7月発行「西瓜」第13号に掲載された私の短歌です。

通勤着をメルカリに出す私のわたしを置いていくような顔
クリスティの最終回を待てなくて途中で消える脇役かもね
ひと様の金を扱いキーボードのNがすり減る生活だった
同僚の名前を呼べば呼ぶたびにたわわに実る我の両手は
すてるべきことをすてゆく道のりのあおぞらだけはふんだんにもつ

今年の4月に長年勤務した外資系金融機関での勤務を終了しました。少し前から生活のために働く必要はなくなっており、フルタイムの仕事をいつ切り上げるかというタイミングをうかがう感じになっていました。

勤務先の組織が過去1年半ほどいろいろと変動の多い時期だったのですが、自分の責務はちょうど終わりに近づいていると判断したので、惜しんでくれる方もいましたが退職を決めて故郷の大阪に戻ってきました。

退職直後は「ほんとうに仕事を辞めて大丈夫か、私?」的な不安を感じましたが、3か月経ってみると「うーん、よくやってたよなあ」と思います。好きなことだけしてのんびり生きるのは、これまでがんばった自分へのご褒美だと素直に楽しめるようになりつつあります。(終わり)


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