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私の短歌:「漫画」を詠んでみた

これ買ってフィギュアが付いてきたんだ、と隠れ蓑にもなりし漫画は

2021年12月4日、NHKラジオ「文芸選評」のお題は「漫画」。私の投稿歌を紹介します。

最近、スマホやkindleで漫画を読む人も増えていると思いますが、私は漫画だけは紙の本がいいと思っています。テキストだけの本と違って、漫画はページを開いた時の画面構成なども魅力ですし、紙の本でないと味わえない良さがあると思うんですよね。
マニアな人にとっては、紙のコミックスについてくるフィギュアなどの「おまけ」も魅力でしょう。ストーリーは熟知していても、コミックスを買うという人の中にはおまけ目当ての人もいるのでは?

即興が好きならむしろジャズであり上原ひろみでありき のだめは

ずいぶん前に流行った「のだめカンタービレ」はクラシックピアニストを目指す音大生、のだめが主人公でした。即興演奏を得意とするのだめは、どっちかというとジャズ向きなんじゃないかな、と突っ込みを入れながら読んだことを思い出します。

この本に限らず、私が漫画を読むのは妹の家が多いです。コミックスをたくさん買うのはためらわれるので、その時々で流行っている漫画は、年末に妹の家に泊まりに行った時にまとめて読む。これで世の中のトレンドにもついていけるし、安上がりです。

美しき器の中のふしあわせ蜜の味する望都の少年

とはいえ、自分で買って読む漫画もいくつかあります。萩尾望都の「残酷な神が支配する」は私が全巻を大人買いした作品。萩尾望都の世界は現実を描きながら現実とはかけ離れた前提が必ずあるのが特徴です。主人公は男女を問わず外見に恵まれており、基本はお金に不自由しません。美貌に恵まれていない主人公が出てくる場合は、必ずその対局として美人の妹や友人がいるのです。だけど基本はどこか不幸せ。

「残酷な~」では母親の再婚相手であるグレッグとの関係、そして主人公のジェルミが犯してしまう罪という不幸がジェルミを苦しめます。しかしジェルミも、ジェルミに寄り添う血のつながらない兄のイアンも、ものすごい美形。美形でお金持ちなのに、とんでもない不幸、という取り合わせは読んでいる私たちに不幸を甘く味わう快楽を与えてくれます。

悪趣味かもしれませんが、人が何を求めているかを萩尾さんはよく知っておられるように思います。きっと、人は他人の不幸を、自分が傷つかない方法で、見たいのでしょう。(終わり)

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