フルタイムで働く社会人&国内独学&あがり症の方向け英検1級合格対策(前半)

はじめに
この記事で想定している受験者(読者)の方はフルタイムで働いている真面目な社会人で、30〜40代以上の男女の方です。自分が30代から本格的に英語学習を再開し、留学なし、英会話学校通学なし、オンライン英会話なしで英検1級を独学で合格するまでに至った経緯、学習法、生活習慣等、フルタイムで働く社会人としてやってきた工夫などを書いていきたいと思います。レベルとしては英検2級〜準1級辺りの実力の方で、なるべくお金をかけないで英検1級合格を独学で達成したいと考えている方向けです。準1級のレベルに到達している方でしたら最短で4〜8ヶ月、2級レベルの方でしたら1年〜2年で1級合格を目指す前提で記事を書いていきます。普段仕事などで英語を使うことのない、自分のような記憶力に自信のない凡人でも合格できたので、他の真面目な社会人の方も必ず合格できると確信しています。前半は英検1級一次試験を突破するまでの流れと、失敗した1回目の大惨敗の面接のこと、長文読解の裏技。後半では面接試験のより詳しい対策、失敗克服法、モデルスピーチ、おまけ(段々増やしていく予定です。TIMEを購読しているので、使えそうな表現や語彙を随時加えていきます)を用意しています。後半のみ200円です。それでは始めます。

①英検1級 大問1
まずは英検1級大問1、語彙問題25問について書きたいと思います。自分がこのパートのために費やした1日の時間は10〜30分ほどです。フルタイムで働く社会人なので、1日の語彙にさける時間はこれでも精一杯でした。使った教材は旺文社の「英検1級 パス単」とジャパンタイムズの「語彙問題完全制覇」です。単語や熟語を機械的に覚えるのは大変しんどい作業で、単語集を途中で挫折する人も多いようですが、自分の場合は挫折防止用に一工夫しました。職場に車で到着してからすぐに会社には入らず、車の中で10〜12分ほどひたすらパス単の暗記に励みました。車の中でやる最大のメリットは周りに誘惑するものがないことです。集中してやれるので、効率性は抜群です。1日わずか10分ほどの作業だけですので、挫折防止につながりました。短期間のうちに無理して多くを覚えようしていたら「こんなことやってらんねー!」と途中で投げ出すことになるのは明らかだったので、あまり無茶はしませんでした。自分の場合は誘惑に弱いので、勉強を確実にする工夫が不可欠です。覚えられる単語数は1日あたり30前後ほどです。10日で300個、1ヶ月で900個、半年で5000個以上です。自分の場合は途中で嫌になるのを防ぐためにその程度にしてましたが、時間に余裕がある人やガッツのある人は1日50〜100個以上覚えようとしても問題ないかもしれません。ただ語彙パートの場合はどの受験者もなかなか短期間では伸びないセクションなので、総合で高得点を狙う人以外はこのパートに時間をかけすぎるのはあまり効率的とは言えません。英検1級の合格には13000〜15000語レベルの語彙が必要だと見聞きした方もおられるかとは思いますが、合格点を超えるだけなら、必ずしもそんなに必要はありません。もちろん語彙力があればスムーズに読解やライティング、リスニングに有利なのは間違いありません。ただ語彙習得にハマっていいのは暇な学生や無職の人などで、期限を切って合格を目指す社会人が語彙にかけすぎては合格が遠のきます。語彙のパートでは25問中14〜15問の正解数を目指してもらえれば合格圏内です。自分の場合は語彙や文法が好きで得意な方だったので、どの年度の過去問でも語彙問題は20〜22問正解、合格した時も25分の22正解でしたが、18問ほどの正解でも合格者平均は超えるはずです。リスニングやライティングが得意な人なら15問以下の正解数でも問題はありません。私の知る限り、8問しか正解できなくても1次合格した人は1人知っているのですが、これはかなり極端なケースです。戦略としてはギャンブルすぎるので、是非14〜15問の正解数は目指して下さい。自分の場合はリスニングに不安があったので、家に帰ってから20〜30分を「語彙問題完全制覇」のやり込みに時間を当てました。リスニングが得意な方ならこの20〜30分は要りません。本番でこのパートにかける時間は15分以内を目指して下さい。知識問題なので、記憶に定着しなかったものは何時間考えても出てきません。大問3の長文とエッセイに何より時間をかけるのが必須です。分からないものはサッサと2択まで絞って適当にマークして終わらせて下さい。自分は過去問で最短9分、本番は緊張してたせいもあり12分かかりました。

②英検1級 大問2
次に大問2の穴埋め問題についてです。私の場合、1次のこのセクションが鬼門でありました。どうしても取りこぼしが出てしまい、失点してしまいます。酷い時は6問中3問しか正解できないこともありました。対策としてはとにかく過去問をそのパートだけやるのを繰り返し、正解率を高めていきました。ただこのパートは問題数もそれほど多くはないのと後の大問3やエッセイで挽回可能なので、自分は長くても15分以内で終わらせました。本番は6問中4問正解だったので、自分としては御の字です。エッセイやリスニングが得意な方なら、このセクションはサッサと終わらせて次に進んでも全く問題はありません。

③英検1級 大問3
次に大問3の長文問題です。大問1の語彙問題は14〜18問正解でも全く問題ありませんが、ここは1級クラスの1次を合格していく受験生なら、大抵の方は10問中7〜8問は正解してきます。正解数が5〜6問程度だとかなりスコアに響き、僅差での不合格に繋がりかねません。大問3はそれなりに時間をかけて下さい。自分は大問3(1)と(2)の6問をそれぞれ10分、大問3(3)の4問を15分で仕上げていました。大問1の語彙に10分、大問2の穴埋めに15分、大問3の長文に35分、計60分の配分を常に心がけていました。多少時間が押しても、最低35分は時間を残すようにしていました。兎にも角にも、考えればアイディアや表現が出てくるエッセイに多くの時間をかけるためです。エッセイを最初にこなし、長文を最後に解くのを薦める合格者もいるのですが、これははっきり言って上級者用のやり方だと思います。新形式の英検1級はエッセイがとにかく大事です。エッセイのテーマと相性が悪いとなかなか文章が思い浮かばず、時間がどうしてもかかってしまいます。200〜240字が目安なので、最低限の字数を書いてまとめるにはどんなに短くても25分は必要です。ためしにエッセイの模範解答を丸写しして時間を測ってみたら分かると思いますが、見ながら書いたとしても最低15〜20分くらいはかかると思います。それをその場で自分の考え、表現で書かなければならないので、私が最低35分は確保したいと言ったのはそのためです。

④英検1級 エッセイ
次にエッセイについてです。近年の英検1級では最重要セクションだと思います。他のセクションでは英検最高難易度の語彙や文章を解読して正解を導かなければなりませんが、ここは自分の意見を書くのが主目的です。自分の知っている範囲の表現で全く問題ありませんので、過去問等の模範解答にあるような解答の仕方でなんとか書ききって下さい(ただし、ボキャブラリーで高評価を得たい場合はビッグワードを多少散りばめる必要はあると思います)。自分はオーソドックスなスタイルで①トピに対する自分の意見、②利点 or 欠点からの具体例その1、③利点 or 欠点からの具体例その2、④利点 or 欠点からの具体例その3、⑤まとめ…でまとめました。使った教材は旺文社の「過去6回 全問題集」4冊と、ジャパンタイムズの「英作文問題完全制覇」です。ここから傾向を分析して対策を練るのですが、エッセイに限っては「自分の意見を最低限テーマに沿って適切に書ければそれでよい」レベルですので、これらの模範解答の丸パクリでも全く問題はありません。面接と違って聞き返されることは絶対にありませんから。質問の内容によって個別に文章の表現を変えるだけです。ただ面接のように5つのトピック中から自分の得意な or 好きなものを選ぶのとは違って、与えられる選択肢は一つです。自分では選べません。ですから覚えるべき模範解答の数はかなりの数にのぼります。ただし、ある程度数は絞ることはできます。例えば宇宙関連、コストをかけるべきか否かといった問題において、賛成だったら賛成側のモデルエッセイのみ覚えるというやり方です。自分もそうでしたが、フルタイムで働く社会人にはとにかく時間がありません。選択と集中がとにかく大事です。ジャパンタイムズの「英作文問題完全制覇」には30のテーマのモデルエッセイがあり、賛成用と反対用合わせて60ものエッセイがあります。フルタイムで働く忙しい社会人には全部覚えるのはほぼ不可能です。自分ならこのテーマについては賛成、これは反対と決めて、決めたものは全てカードにまとめて持ち歩いていました。ちょっとした時間ができた時に常に見返せるようにです。仕事帰りのスーパーで車から出る前に1〜2テーマ暗記、仕事の昼休みの最低30分をカードの音読に充てていました。これを月曜〜金曜日まで1年以上毎日です。もちろん用意しておいたトピックからそのまんま出る確率は低いのですが、長期間やっているとかなり応用ができるようになります。自分の考えを加味しながら、覚えたモデルエッセイから使える部分を抽出して書いていけばいいので、かなりの訓練にはなり、200〜240字書ける能力が身についてきます。面接の場合はQ&Aもあるので範囲はより膨大になります。面接官からは容赦なく反論や質問が飛んできます。エッセイは一方的に書いて終わりなので、模範解答をそのまま書いたところで問題はありません。それでも普通にスコアは貰えます。自分は上記の問題集の模範解答をひたすら毎日音読したり、黙読していました。フルタイムで働く社会人ですので、書いて覚えるのは時間がかかりすぎて時間の無駄だと判断していたからです。語彙の暗記もひたすら黙読です(たまに音読もしますが)。時短の一方で確実に記憶に残して合格に結び付けるのにはやはり繰り返しが一番大事なので、忙しい社会人には書いて書いて書きまくるというのはあまり賢い選択だとは思いません。最短で4〜8ヶ月での合格を考えると自然とそういう発想になります。やるとしたら、休みの日の1〜2時間以内で十分です。最後にこういう裏技があるよというのも紹介したいと思います。エッセイで使える文章を長文問題の文章の中から借用するのです。1〜2行程度ではありますけど、自分はこれを使ってエッセイをまとめました。スコアは32点中27点でCSEスコアが764。合格者平均を大きく上回り、1次合格に導いてくれました。リスニングに不安があった自分には最高の結果でした。

⑤英検1級 リスニング
次にリスニングについてです。他の受験者の方は得意な方が多いようですが、自分は苦手意識がありました。なのでこちらは、最低でも足を引っ張らないレベルにするまで毎日過去問を繰り返しました。これも当然時短です。行き帰りの車の中で計40分毎日過去問のCDを流してました。後でスクリプトを確認するだけでも効果はあります。これでも不安はあったのですが、本番では27問中19問正解できたので、なんとか合格に結び付けることができました。リスニングに関しては2回目の英検1級合格のカギを握っていると思っているので(英検1級は卒業しません。2回目の合格を狙っています)、現在は精読・清聴・音読に重点的に取り組んでいます。リスニング力は面接のQ&Aとその合格に大きな影響を及ぼすので、リスニングが極度に苦手な人は必ず克服するための努力を必ずして下さい。そうしないと、面接でまともなやり取りができません。ちなみに英語の聞き流しオンリーの勉強法はほぼ効果がありません。必ずスクリプトを確認し、何度も何度も繰り返し音読・暗唱して下さい。聞き流しの勉強した気になっただけでは絶対に合格に近づけません。繰り返しの音読と多聴はリスニング力アップに絶大な効果があります。語彙やエッセイで満点近いスコアが狙える人以外でリスニングが弱点の人は、必ずリスニング問題の音声やスピードに慣れておいて下さい。

⑥英検1級 面接&長文読解正答率アップのための裏技

面接の話に入る前に英文読解の正答率を上げるための簡単な裏技を紹介します。極々簡単なことなんですが、まずは音声付きの教材を用意して下さい。オススメはZ会の「Business 1200」や「Advanced 900」「Opinion 1400」などです。英文を読む際、どれが本体の動詞かが分かれば上級者への道はグッと近くなります。音声付きの教材だと、必ず読み上げるネイティブの方が本体の動詞の前でわずかにポーズを取ります。等置など一部の例外を除けば、左側が主部で、右側が結論部分です。本体の動詞が分かりさえすれば、容易に文意を読み取れて筆者の言いたいことが楽に分かるようになります。自分はこれに気付いたおかげで長文の正解率がグンと上がり、準1級、1級と独学で合格することができました。読解が苦手だという方は是非試して下さい。

最後に面接のスピーキングについてです。これが筆舌に尽くし難いほどの挫折と努力の繰り返しで、何とか2回目で合格することができました。はい、初回の面接では木っ端微塵に砕け散り、盛大に自爆してしまいました。普通に考えてみれば当たり前なのですが、中1〜大学生くらいまでやったのはほぼリーディングのみ。たまに大学の課題でエッセイは書いたりしていた程度のレベル。本格的なスピーキングの経験ゼロ。留学も英会話学校もオンライン英会話も全部経験ゼロ。そんな人間が3週間程度の付け焼き刃程度の対策で英検1級の面接を突破できるほど甘くはありませんでした。全くの実力不足に加えて、スピーチ用のトピを環境問題と子供のスマートフォンの使用、オリンピックや移民政策の是非について、多少喋れる程度にしただけでした。覚えようとしたトピは20〜30はありましたが、所詮付け焼き刃、一生懸命暗記しよとしたところで頭に定着してくれません。仮にB日程であったとしても不合格になっていたと思います。1級面接の不合格を奈落の底に落とされたようなものだと表現した方がいましたが、まさにそんな感じでした。これは大袈裟でも何でもありません。目の前の2人の面接官と脇のタイムキーパーの前で頭真っ白になりながら、シドロモドロ英語を繰り返し、なんとか沈黙だけは避けようとした上での試みだったのですが、完全に裏目。質問に関連のない的外れな事をいくら喋り続けたとしても、良く考えたら評価されるはずもありません。他の不合格者の失敗の大きな原因(減点の原因)が沈黙であると考えて精一杯喋ったのですが、発音以外全ての項目で2点×面接官2人。ネイティブの面接官からなんとか発音に3点いただけた程度でした。トータルで17点。面接で信じ難いほどの大恥と惨めさを味わい、面接のスコアでも素点マイナス10届かずの大惨敗。そりゃ地獄に決まってます。これをキッカケに英語学習への姿勢がガラッと変わり、覚悟が芽生えました。

続く

※ 面接で同じように大失敗してしまった方、同じ独学で合格を目指す方はご購入の検討をお願いします。もうしばらくお付きあいして頂ければ幸いです。



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