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迷ウンです

奥さんに決定的に負けているのは迷う力だ。

昼休みに唐突に赤ちゃん用のゲージが3種類ぐらい送られてきた時は、目を背けた。
結局後で選ばなければならないのに、いつも後ろ倒しにしてしまう。
奥さんは僕だけを迷わせたくて送っているわけでは無い。
もう既に迷ってある程度絞ってから送ってきているのだ。
どれも悪くない、どれでも大丈夫。
もちろん状況によって本腰入れて選ばなきゃならない時はあるが、大体はそう思ってしまう。
迷うのって本当に疲れる。
アカチャンホンポで奥さんが棚の前に立ってずっと迷っていて、僕がふらっと別の場所に行って帰ってきた時に同じ体勢でいるのを見た時は、本当にすごいなと思ったのと同時にこの場から逃げてしまったことを反省した。
一緒になって立ち向かい迷う必要がこの時はあったように思う。

そういえばこの業界に入った時は最初しんどかった。
この業界とは、オフィスの内装設計である。
設計業は選択の連続だ。
カーペットの品番、サインの高さ、ダウライトと壁の距離、ルーバーの太さと間隔、オフィスチェアの肘の有無、塗装の艶感、あとは金額。
細かくあげたら切りがない。
迷い出したら終わらない。
この選択の連続を一つずつちゃんと迷うと大変だ。
経験がついてくれば「マスター、いつもの」で済むようになってくるのだが、最初は初見のサブウェイの注文のようにテンパりがちである。
この選択をしんどいと感じるかそうじゃないかは、この職業にたどり着くまでの道のりによるのではないかというのが僕の考えだ。
笹舟を浮かして漂流した先がここだったのか、オールで漕ぎ続けた先がここだったのか。
これは0か100かの話ではない。
基本は漂って、明らかに嫌に感じる分岐のところだけ漕ぐみたいな50前後の人もいるだろう。
僕はきっとほとんど漕がなかった笹舟タイプに違いない。
一生懸命迷うことなんてこの職業に就いて働くまで一度だってなかった。
そもそもこの業界にきたのは親が大工さんで図工が好きだったから、建築系に進んだだけ。
設計、設備、施工、どれにするかなんて迷う必要なかった。
作るの好きだったらそりゃ設計でしょうと、それで設計だ。
何故、住宅ではなく店舗でもなくオフィスの内装にしたのかは、そこそこ就活して自分を選んでくれた先がここだったからだ。
いくつも内定をもらって迷って迷って選んだ訳ではない。
2択しかなくて面接官の人柄と会社が綺麗な方、まぁほぼ直感だ。
そして入社して苦しんだ。
選択の毎日、迷わず手を動かし続ける作業が本当に楽。
なんでこんなに迷わなきゃならないのかって言うと、迷った上で決めてしまったら実際に人の手が動いて作業が進んでしまうからだ。
その選択が取り返しがつくかつかないか、当時は冷静に考えられなかったな。

メンタリストの人の本に書いてあった気がするんだけど、迷い続ける力は鍛えることができ、奥さんはきっとずっと前からこの力をつけていたのだろうと思う。
ファッションが好きだから、制服卒業後は毎日洋服が並んだハンガーラックの前に立って迷い続けてきたのだろう。
しかもそれを楽しみながらやってた訳だから、迷い続ける力はぐんぐん育っていったのだろう。

なんだか迷うことについて書いてたら、全然着地ができなくて、気付いたらうだうだ書き続けてしまった。
実はこの内容、一日で9割近く書けたのだが、そこから加筆したり消したり添削したりなんなりで着地が一週間以上できていない。
下書き保存を何度も繰り返して、ゲージを選ぶのも、この投稿も後ろ倒し。
書いてても全然面白くなくなってきちゃった。
迷うことを題材に書くべきなんかじゃない。
解決する方法なんて本を探せばいっぱい出てるから、本を読めばいい。
一個だけ思いついたのだけ言えば、問題そのものを問うこと、これだけはやった方がいい。
そもそも迷うべき問題じゃないかもしれないからだ。
そして迷うべき問題だったとしても大した問題じゃなきゃもう行動しちゃえばいいじゃん。
失敗したとしても次同じ失敗をしなきゃいいじゃん。
問題そのものを問う。
もう行動しちゃう。
この2つが答えということで、もう勘弁して下さい。

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