1回目の結婚

1回目の結婚は、失敗というか自分の思い上がりというか、まあ普通に考えたらおかしな考え方で結婚した。その頃は、だいぶ自分に意味不明な自信があった。その頃偶然知り合った女の子と対面当日に体の関係まで行ってしまった。まあ美人だったし巨乳だったし、ラッキー!と思ったら、その後とんでもない人生のお荷物になってしまった。

今でいうメンヘラとはなんかちょっと雰囲気が違うが、いわゆるAC(アダルトチルドレン)だというのがわかったのは、当時彼女が付き合っていた彼氏と別れて僕と同棲して間もない時だった。今となっては具体的なエピソードは思い出せないが、ACに典型的な強烈な二面性を剥き出しにされた。ACって言葉も知らなかったのだが、その子と付き合ってだんだんそういう知識を得ることができた。とんでもない人と付き合うことになってしまったと思った。

それなのに、これもまたACの典型のようだが、結婚をせがまれた。フィジカルな暴力は無かったものの、僕の人格を根底から揺さぶるような言葉責めはひどいものだった。ひとしきり暴言を吐いて落ち着いた後、反省モードのようなことになるのだが、その流れで「結婚したら変わるから」的な懇願をされた。もちろんにわかには信じられなかったし、全くその気にもなれなかった。

結局根負けというか、親の心ない一言「ダメならダメでいいじゃない」という言葉を素直に受け止めた僕は、結婚してしまうのであった。それでも決断には2年くらいかかっただろうか。ただ、それも普通の「結婚」の感覚では無かった。僕は彼女との付き合いを始めて彼女のおかしな精神状態に遭遇し、彼女の人生を変えたいと思ってしまったのだ。それも彼女の為というよりも、自分の人生をレベルアップするために。僕はその頃、自分の人生を変えることはもちろん、人の人生も変える力があると信じていたので、彼女の人生を変える力を発揮してみたいと考えたのだ。なんと思い上がっていたことだろうか。

自分に自信があったわけだが、「自分という人間」というより「人間の能力」を信じていた。全ての人には本来人間に備わっている計り知れない能力があるのだが、ほとんどの人はそれに気付いていなかったり、発揮する方法がわからないだけ、という考え方だ。それを証明してみたかったし、できると信じていた。だから彼女にも「僕は君を変えて、そしたら多分君は僕を必要としなくなるから、そしたら別れよう」という話をして結婚に踏み切った。きっと彼女にとっては意味不明な発言だったのだろうけど、僕はマジだった。

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