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第四十四話 ギャンブル依存症。

こんにちワイパー。
32歳男性です。
今日から1週間入院です。

ギャンブル依存症について


ちょうど体調不良で入院するというタイミングもあり、
ギャンブル依存によって入院していた経験を思い出したのもあり
大谷の通訳(以下いっぺー)の問題が世間を騒がしているので個人的な見解を述べようと思う。


まず前提として。



ワイパーはギャンブル依存症で入院経験がある。
過去に書いたか別のところで書いたかは忘れたが、お縄になり、
ポリスメンと弁護士にお父さんのいうことを聞いてみたら…と諭され


ギャンブル依存の専門外来がある
『さいがた医療センター』を受診した。


受診結果は
DSM-5(精神障害の診断マニュアル)
衝動制御障害(病的賭博)



即時入院を勧められ、ごねにごねて1週間後に入院をした。
3ヶ月の入院期間を経て退院し現在3年ほど経過する。



ギャンブルは孤独の病


ギャンブルは孤独の病だと言われている。
誰にも借金の話もできず、かといってギャンブルも楽しんでしまう自分がいて、
お金があればギャンブルに執着し依存する。


当然金銭問題が発生し、友人や家族に嘘をついてでもお金を借り、嘘をさらに上塗りし続ける。


自ずと人間関係は破綻していく。
でもお金がないから仕事をする。
その上で社会生活を送らなければならないから何も問題を抱えていない人間を演じる。


その行為の空虚さに、あるいは社会生活のストレスに、あるいは金銭問題のストレスのために、さらにギャンブルへ走っていく。


ドツボにハマり続けていって、本当は苦しいのに苦しさを周りに見せることもできず、誰にも話せず、挙句またギャンブルへ逃げる。


そして行き着くところまで行き、社会的な事件を起こすか最悪自死する人もいる。


現実自分は自暴自棄だったし、いつ死んでもいいと思っていた。



ワイパーのギャンブル依存


今思えば、あれだけ熱中してしまったことは人生においてお金も時間も無駄だったと思う。
そう思えるようになり、今の自分があるのは病院でできた仲間、家族、友人、恋人の支えがあったからだ。
(その感謝の気持ちすら近頃は忘れてしまっていたのだが)


一緒に死のうかと思ったと父親に言わしめるほどのギャンブル依存はどの程度だったのか。


(熱中したのはパチンコだがこの記事では便宜的にギャンブルと表現します)


当時借金は500万近くあった。(総量規制は?嘘乙と思う人もいるかもしれないが、掻い潜る方法をなんとか見つけて限界まで借金をした)


それに加え奨学金の返済、日々の生活費で首が回らなかった。
そうまでしてギャンブルをやる必要なんてないでしょ?と周りの人は思うかもしれない。


でも、逆に言ってしまうと、ギャンブルをするしかなかった。
とっくにギャンブルで返せる金額ではなかったにも関わらずいっときの快楽と脳内麻薬を求め少しでもお金があればギャンブルをした。


お縄になる頃には借金も奨学金も返済しない状態だった。
捕まって初めて問題の根深さが露呈してしまったのだ。


そうなってしまうまでに
やってはいけない、手を出してはいけないと何度も何度も何度も思ったし、
2度とギャンブルをしないと何度も親に誓った。


が、結果的にはやめられず、
捕まって初めて問題が明るみになり、
そして病院へ繋がった。



ワイパー、ギャンブル依存の治療をする


病院へ繋がってからは回復の始まりだった。
他の依存症を抱える人との繋がり、
同じギャンブル依存を抱える仲間との対話、
依存症がどういう病気なのかというテキストを使った治療プログラム。

孤独ではない、
同じ苦しみを抱える仲間がいるというのは当時の心の支えだった。


依存症治療には12のステップという代表的な言葉がある

1.私たちは依存症に対して無力であり、生きていくことがどうにもならなくなったことを認めた。
2.私たちは自分より偉大な力が、私たちを正気に戻してくれると信じるようになった。
3.私たちは意志と生命を自分で理解する神、ハイヤーパワーの配慮にゆだねる決心をした。
4.探し求め、恐れることなく、自分の生きてきた棚卸表をつくった。
5.神に対し、自分自身に対し、もう一人の人間に対し、自分の誤りの正確な本質を認めた。
6.これらの性格上の欠点をすべて取り除くことを、神にゆだねる心の準備が完全にできた。
7.自分の短所を変えてください、と謙虚に神に求めた。
8.私たちが傷つけたすべての人の表を作り、そのすべての人たちに埋め合わせをする気持ちになった。
9.その人たち、または他の人々を傷つけない限り、機会あるたびに直接埋め合わせをした。
10.自分の生き方の棚卸を実行し続け、誤ったときは直ちに認めた。
11.自分で理解している神との意識的触れ合いを深めるために、神の意志を知り、それだけを行っていく力を祈りと黙想によって求めた。
12. これらのステップを経た結果、スピリチュアルに目覚め、このメッセージを他の人に伝え、また自分のあらゆることにこの原理を実践するよう努めた。

これは依存症治療の発祥の地がアメリカであるから病気に対して無力であることを認め、神の力を借りようという試みからの言葉でもある。


入院中はこういった実践はなかったが
各依存症に苦しむ自助グループ(ギャンブルであればGA)で今も実践されている。


12ステップの言葉よりも、自分は同じ苦しみを持っている人が他にもいるということが心強かったし、それと同時に分かち合い、わかりあうことで一人じゃないということを思えた。


ギャンブル依存の治療に対しては薬もなければ、ギャンブルをやめたくなるような電気治療なんかもない。


やめ続けるための努力を各々していくしかないのである。
そしてそのために、孤独ではないことを支え合うために自助グループが存在する。


いっぺーのギャンブル依存


いっぺーのギャンブル依存について
ブックメーカー(いわゆるスポーツベットサイト)に多額の借金をし、それを大谷の預金口座から勝手に送金していたという事実。
額にして約7億。

世間の人はあのいっぺーさんが?!
となったのかもしれない。

ギャンブル依存には知能も学歴も人柄も全てが関係ないのだ。
ギャンブルに対する嗜癖、嗜好が合うかどうかが全てで
ギャンブルに快楽を覚える人間が
ギャンブルによって出る脳内麻薬に取り憑かれてしまったら
もう抗いようがないのだ。

いっぺーはそうであるのだろう。


いっぺーのついていた嘘


いっぺーは大谷に全てを話し、借金を立て替えてもらったと当初は話していたが、のちにそれは事実ではないと撤回している。

世間はいっぺーが大谷を守るために泥を被ったという見方をする人もいる。

なぜか?

いっぺーと大谷の関係が良好でとても裏切るような行為をしそうな人間に見えないからだろう。

しかし、依存症経験者であるワイパーは
依存症者は自己保身のために息をするように嘘をつくということを知っているし、それがあり得ないほど幼稚な嘘でもそうせざるを得なければそうするということを知っている。


いっぺーは自己保身のために嘘をつき、
大谷ですら利用した。

どうなるか3秒考えればわかりそうなことでも嘘をついた。

大谷のお金を勝手に使い、それをあたかも大谷が了承したかのように装った。


はっきり言って依存症者のめちゃくちゃ思いつきそうなことである。


信用していた大谷はいっぺーの借金の問題よりも
浅はかな嘘をついたことに失望しただろう。
自己保身のためにただ利用されていただけと感じたかもしれない。

今までの振る舞いはなんだったのか、
全部嘘だったのかと思ってしまうと
人を信用することが怖くなってしまうかもしれない。

大谷のみならず、いっぺーの妻をはじめとして家族全員がそういった深い失望にあり、裏切られた悲しみと怒りの中にあることが容易に想像がつく。


ギャンブル依存の問題の本質


ギャンブル依存症とは本人の借金の問題だけで済む問題ではないのだ。
むしろ本人の借金の問題だけで済むのであれば、それはまだ取り返しがつくかもしれない。


手をつけてはいけないお金に手を出し、
嘘を嘘で塗り固め、
周囲の人間に深い失望と怒りと悲しみを与えるのがギャンブル依存症だ。


そしてそれは大抵の場合、本人の力だけではどうしようもなくなっている。
にも関わらず、当事者はそれをかくし、平然と当たり前のように社会生活を送っているであろう。


パチンコや競馬や競艇、競輪が趣味の人が周りにいたら
どの程度熱中しているのか一度気にして見たほうがいいかもしれない。


問題が取り返しのつかないくらい大きくなる前に、本当に大切な人であればその人がギャンブルで苦しんでいないか確かめたほうがいいかもしれない。


身近な人に、お金を貸してくれと頼んでくる人はいないだろうか?
最初は少額だったのに何かと理由をつけて徐々に高額にはなっていないだろうか?


現代は消費者金融が当たり前のようにテレビ広告やネット広告を打っている。
普通に働いていればそれこそ銀行のATMからお金を下ろすように簡単にお金を借りれてしまう。


人に頼るようになった時点で大抵の場合は、そういった消費者金融、あるいはクレジットカードのキャッシング枠はもう一杯一杯だ。


ギャンブル依存症は一人の力で回復に向かうということはあり得ない。
身近な人や、医療、あるいは自助グループと繋がって初めて回復に迎えるのである。


もう一度いうが、身近な人に様子がおかしい人(あるいは金銭面がおかしな人)はいないだろうか。
ものを売ったり、身だしなみが乱れ始めていたり。
態度がおかしかったり、行動がこそこそとしていたり。


些細なサインはいくらでもある。


そんなもん、本人の勝手じゃん、意思の問題じゃんと思うかもしれない。
が、大切な人なら放っておいてあげないでほしい。
自分が言うのはおこがましいかもしれないが
ギャンブルに取り憑かれていた頃は本当に苦しかったのだ。


助けてほしいのに助けてといえないのだ。


だから大切な人が困っているのであれば助けてあげてほしい。

最後に


もしこの記事を読んだ人で
ギャンブル依存に苦しんでいる当事者あるいは家族の方がいたら
医療に

あるいはGAに

まずは繋がってみてほしい。

本人に一切その気が無ければ回復に向かうのは難しいかもしれないが
本当に苦しんでおり、どうにかしたいと言う気持ちさえあれば
どうとでもなる。


自分の人生は4年前ギャンブルに溺れ苦しみの毎日を送っていた頃とは考えられないほど好転した。

それはギャンブルをする以外楽しみがなかった人生が変わったからだ。

多くの友人に支えられているし、
家族とも仲は良好になった。


恋人とは心の底から信用できないから結婚できないという理由で破局をしてしまったが、深い絶望を与えてしまった上に、信用を積み重ねる行動を取ってこれなかったので仕方がないと思う。
彼女には彼女の人生がある。幸せになってほしいと思う。
(今も引きずってはいるが)


ギャンブルで数万円を1日ですっ飛ばすことをしていたことがなんと愚かだったのだろうと思うのだ。

数万円あればあんなところやこんなところに旅行できてしまうのだから。


ギャンブルの苦しみから解放されたいという強い意志があるのならば、
そして人生を好転させたいという気持ちがあるのならば、
まずは勇気を持って何かと繋がるべきだ。

※注意してほしいのは家族が借金を立て替えても何も状況は好転しないことである。

目先の借金という問題よりもまずは本人の依存という問題を解決しない限りは同じことを繰り返してしまう。

そうだとわかって治療を終え、退院をした後でもふとしたきっかけでまた手を出してしまうことすらある(それをスリップという)

そして回復の過程にスリップもまたつきものであることも理解しなければならない。
自分が嫌になっても何度も何度でも回復に向かう気持ちを失わなければきっと回復はできる。


さいがた医療センターで当時受診した際の主治医に言われた言葉がある。

『あなたは脳が怪我をしています。骨折したら治す期間が必要なように、脳も怪我をしたら治療が必要ですよ』
(ちなみに現在その主治医は院長になっていた、ギャンブル依存症治療の専門医でもあるらしい。)

この言葉はおそらく一生忘れない。
依存症に苦しんでる人は自分の脳が怪我をしていることを自覚してあげてほしい。


依存症に苦しんでいる人が一人でも減ることをワイパーは祈っている。
それはあなた自身がきちんと生きることはあなた自身へ命を繋いでくれた先祖のためでもある。

もしどうしても医療につながることに抵抗があるなら、この記事にコメントをくれても構わない。相談に乗る。(お金の相談には乗らないよ。)


『大戦士カルガラは言った。シャンドラの火を灯せと。』

『俺たちはそれに準ずる。』

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