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2017年-1

 彼の部屋には、鉄棒のような大きな筋トレ器具があって、決して広くはないワンルームの中に、それだけが居心地の悪そうに置かれていた。彼はこれで毎日体を鍛えるのだと言う。

「もっと筋肉をつけたいんだ」
そう話す彼は、台所に置かれたプロテインを毎日飲んでいる。

彼の体を見ながら僕は、彼の鍛えられたその肉体が、女に向けられることはないのだと、そんなことを思っている。

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口の中に入れられた舌の、少しデコボコした表面と、出てくる粘膜が合わさって、次第に何をやっているのかわからなくなる。これは唇だろうか。どこにキスをしているのかわからないけれど、目の前の近すぎる彼の顔を見ると、彼はそっと目を閉じていた。

僕は何かを確認するように、少しだけ落ち着いて、同じようにそっと目を閉じてみた。

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 彼は翻訳の仕事をしていると言った。彼の話す英語は、普段の声よりも低くなって、さらに男性的な声になった。

僕は彼の話す英語の意味を理解することはできなかったけど、太くて、沈んでゆくその声が僕の耳の中にずっと残っていた。

「なんて言ったの?」と彼に聞くと、
「教えない」と彼は笑いながら答えた。

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