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Flashing Body(2018)

その夜、この小さな部屋の中で、隣で眠る彼の寝息を聞きながら僕は、彼の体をぼんやりと眺めていた。

ふと、彼の体が、点滅する機械のように見えた。赤く点滅する彼の体は、真っ暗なこの部屋の中に、いくつもの小さな明かりがあることを、僕に気付かせた。

テレビもWi-Fiのルーターも、そして僕たちも、この部屋の中で、静かに呼吸をしているんだと、そんなことを思いながら僕は、ゆっくりとまぶたを閉じて、僕の体が光っていることを確認してみた。

“僕の中にいる女が、
ここに、
確かに存在している。”

だけど、どうしてだろう。平たい胸をしたこの体はやっぱり、どこまでも男だった。


僕は、数日前にこの近くであった事故のことを思い出していた。

この部屋の壁を取り払えば、あの日亡くなってしまった、でも、確かにこうして漂っている亡霊が、ガードレールに乗って、ここに近づいてくるような気がした。

しかしその瞬間、亡霊は、僕の方であったことに気がついた。

体、手とか足とか、それが僕のものではなくて、別の人間のようで、だけど、この体を脱ぐことは、どうしたってできないことだった。


眠っている彼の肌に触れると、自分の体が冷たくなっていることに気がついた。あんなにも冷たかった僕の手が、彼の温度で温かくなっていった。

僕は、体温とともに、自分の体までなくなっていくような気がした。この体が僕にとって、ただの表面でも、それはやっぱり恐ろしいことだった。

僕はいつの間にか、自分の体をぎゅっと抱きしめて、なくなりそうな自分の体を、必死につなぎとめていた。

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