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2017年-2

彼の長い腕で、小さな僕の体はすっぽりと収まって、彼の大きな右手が僕の指先に触れると、彼は気づいたように手を取り、指と指を重ねた。

繋がれた第一関節に、意識の全てが集中する。僕と彼は今、この第一関節の中にいる。

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スマホの画面には、あなたが映っていて、私があなたに語りかけると、あなたは少し笑ったような気がした。私の手のひらにすっぽりと収まったあなたに触れたいと思う。

まずは指先で、そっと頬を撫でる。ゆっくりと指先を動かしながら、あなたの唇に触れる。何度も何度もあなたの唇の形を、凹凸を、柔らかさを確かめてみるけれど、いつまで経っても私の指先には液晶画面が張り付いてくる。

こんなにも近くて、こんなにも触れたいのに、あなたと私の指先は確かに繋がっているのに、手のひらに伝わってくるスマホの熱が、あなたの体温にすら感じることだってできるのに。

どうしてこんなにも届かないんだろう。


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