その土は呼吸しているか?庭木の調子が悪いときに試してほしいこと
最近庭木の調子が悪い。花が咲かないとか、毛虫がたくさん付くとか、葉っぱの色が悪いとか。
そんなとき、あなたはどのように庭木のお世話をしているだろうか?肥料をあげたり殺虫剤を散布したり、たくさん水をあげたり、場当たり的な対応をしてはいないだろうか?
それらの対策は確かに一時的には効果を上げるかも知れない。けれど根本的なところに手を入れない限り、来年も再来年も同じ手間をかける必要が出てくる。
相変わらず花は咲かないし、毛虫が大量発生するだろう。なぜならその庭木は、弱っているからだ。根張りが十分でなく、栄養を吸い上げられず、呼吸できていないのだ。
では、本当に手を入れるべき根本的なところとはどこか?それは、土中環境だ。
咲かないハナミズキ
わが家の玄関脇に、ハナミズキが植えられている。家に入る時も目に入り、家の中からも見える位置にあるから、四季折々の変化が楽しめる樹木を植えようと色々調べ、ハナミズキを選んだ。
ところが、わが家に植えたハナミズキは最初の年こそ満開の花を見せてくれたが、その後2年間は全くと言っいいほど花が付かなかった。
新芽が出てくると、どこからともなく大量のカイガラムシが枝先にびっしりと張り付き、糖分を含む排泄物にアリがやってくる。ベタベタの液が垂れるから、ハナミズキの周りの砂利が汚れて見える。
カイガラムシが出るたびに歯ブラシや割り箸を使って落としたり、殺虫剤を撒いてみたりするのだけれど、結局は一時しのぎにしかならず、数週間もすると元の木阿弥だった。
どうしたものかと悩んでいたときに出会ったのが、「土中環境」という考え方だった。
土中の空気と水を循環させる
造園家の高田宏臣氏や矢野智徳氏がそれぞれ考案し実践しているのが、いかにして土中環境を整えるか、というアプローチだ。
土中環境をひとことで言い換えると、「土の中の水と空気の循環」となるだろう。土を団粒化させ、土中に停滞する水を動かすことで土の中に空気を取り込み、植物の根が呼吸できる環境を作ること。
これが、植物が健康に育つために非常に重要だ、ということをお二人は仰っている(全容はもっと壮大で山ー川ー里ー海にまで及び、昨今の土砂災害などにも繋がるテーマであるためぜひ書籍を読んでみてほしい)。
土中環境が豊かな森の中では、落葉が地面に積もり、それを菌糸や微生物が分解することで適度に団粒化した土壌が出来上がる。団粒化した土は空隙があるため、土の中で水が滞留することなく動き、空気が循環するのだ。
砕石により遮断される水脈と空気の循環
一方で、住宅の庭はどのような土中環境になっているだろうか?
住宅を建てる際、多くの現場では大量の砕石が運び込まれる。工事中の車両の出入りを確保したり、雨などでのぬかるみを防止したりするため、庭になるエリアにまで砕石が持ち込まれることも少なくない。
それらは工事中に踏み固められ、土中の呼吸や水脈は失われてしまう。それを知っている造園業者であれば、木を植える前にしっかり対策してから植樹をするが、多くの業者はごく表面の土を入れ替えるだけでそのまま木を植えてしまうのだ。
呼吸不全の土に植えられた木は、十分に根を伸ばすこともできず、水と空気の循環が無い苦しい環境で何とか枯れないように懸命に葉っぱを広げるのだ。当然、病害虫に対する抵抗力も弱く、花を咲かせる力もなく、不健康な樹木となってしまう。
縦穴で土中環境を改善する手順
では、どのようにして土中の空気と水の循環を取り戻すのか?色々とやり方はあるのだが、僕が実践して効果の高かったものを紹介したい。それは、地面に縦穴(点穴)を空ける、というアプローチだ。
ここからは、ハナミズキの土中環境改善を実際に行った際の様子と一緒に紹介していくことにする。
用意するもの
軍手・作業用手袋
移植ゴテ
園芸用の穴掘り器(80cm程度の穴を掘れるもの)
竹炭・くん炭
竹筒(なければコルゲート管でも可)
腐葉土や落ち葉
葉付き剪定枝や枯れ枝(あれば)
稲わらなどの有機物
穴掘り器はなくても作業できるが、あったほうが格段に作業効率が上がるのでおすすめ。ホームセンターの園芸コーナーなどで3,000円程度で入手できる。ダブルスコップでも良いが、少し値が張る。
竹炭はホームセンターになければネットでも入手できる。
竹筒は直径10cm程度のものが使いやすいと思う。近所の竹林などで入手するか、なければホームセンターで同じくらいの径のコルゲート管を買うのが良いだろう。
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