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助けてください。

助けてください。

何か見えないものに押しつぶされそうなんです。

泣いて全てを忘れてしまって阿呆になっちまいたいと思うけど

涙が出てこなくて、ますます息が苦しくなるよう。

僕という存在が何がなんなのかわからないのです。

死んでしまいたいのです。消えてしまいたいのです。

僕は何一つ決められないのです。ただただ流されていくだけでございます。

流されるままに、産まれて、生まれて、死んでゆくのです。

誰が、生きたいとか言ったのでしょうか。

俺は言っていない。

僕は言っていない。

生まれてきたくなどなかった……

街の風は氷よりも冷たいのでございます。

地獄は暖かそうで羨ましい。

我々現世の人間は生まれてから冷たい風に刺され続けてしまって、体中が傷だらけ。寒さに身体は紅くなって、かのトナカイの鼻のようでございます。ハハハハハハ……ここは笑う所ですよ。

何もかも笑い飛ばしてやらねばなりません。

何もかも笑い飛ばしてやるのです。

絶望に負けないようにするのです。

いつか必ず絶望に打ち負けることが分かっていても、

見て見ぬふりをするのです。

希望なんぞのホラを吹いて身体が凍りついても

ホラを歌うのです。それっぽいことを歌うのです。

愛とか、平和とか、家族とか、人間とか、正義とか、兄弟とか、友達とか、先生とか、親とか、道徳とか、俺とか、自分とか、僕とか、言葉とか、

なんと、なんと、下らない。

結局、いつかは、全てが終わって行くのです。

すなわち全ては幻想なのです。

それでも歌わなければなりません。

ホラを歌うのです。

大きな声で歌うのです。

歌うのをやめてはいけません。

ホラをやめてはいけません。

やめたら、ただそこに残るのは、

死です。

寒さに凍りついている身体に気付いて、ショック死するのです。

あはは、ここは笑うところですよ。

笑わなければなりません!

必死に顔を歪ませてホラを歌い続けた人間の末路が死!

何という喜劇!

悲劇を通り越して、もはや喜劇!

もしかしたら……

死こそが救いなのかも知れません。

我々の唯一の救いなのかもしれません。

終われば苦しまなくて済む……

ならば、僕はそのときを、いまかいまかと待ち望むばかりです。


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