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シロアリ対策はどこまでするの?

日本中に生息域を広げいると言われるシロアリたち、
材木との相性が良くないため、
私たち建築業者からは蛇蝎のごとく嫌われています。

蟻なのに、蛇や蠍(へびやさそり)で例えるのもどうかとは思いますが、
それほど避けたい存在です。

基本的な防蟻対策とは

材木をなるべく湿気にされされないようにすることです。

湿気はカビや菌の発生を促すばかりでなく、
材木に湿気を多く含むと、柔らかくなり、
シロアリたちの格好の餌場となりやすくなります。

特に、地面に近い床下が要注意箇所となりますので、
床下に湿気が侵入しづらくし、
湿気が澱まないように通気を取るのが望ましいです。

防蟻処理とは

材木に防蟻材を塗布、
または、加圧注入することです。

防蟻材とは、蟻が嫌がる成分の入った塗料のことで、
床下に使用する土台や大引などに塗布することです。

加圧注入とは、材木を防蟻材の中に沈め、
圧力を掛けて中にまで注入することです。

防蟻処理の範囲とは

法律では、
「地上から1m以内の部分」
と定められています。
土台や柱、筋かいなどが該当します。

建設会社によっては、1階部全体や上階まで全体的に防蟻処理するところもあるようです。

防蟻処理の耐用年数とは

防蟻材の塗布の場合、
5~10年くらいが目安だと考えています。
加圧注入材は使用したことがないので正確なデータはありませんが、倍以上は持つのではないかと思います。

本来であれば、その後も、
定期的に塗布していくことが望ましいのかもしれませんが、
非破壊で全ての箇所に再塗布は出来ませんし、
シロアリが嫌がる成分は人間にとっても良いものではありませんので、
頻繁に塗布することが良いのかどうかと言う考えがあります。

出来れば、木が持つ地の性質や家の工法でその後は保つことが出来れば理想的だと私は考えています。

どんな素材、どんな工法がシロアリ対策になるのか?

素材としては、
クリ、ヒノキ、ヒバ、を使うのが良いと昔から言われておりますが、
クリはあまり出回る素材ではありませんので、
ヒノキかヒバを土台に使うのが良いです。

弊社でもそのどちらかを使います。

工法としては、
とにかく通気を取ることです。

床下の通気、外壁内の通気、屋根の通気、
など、とにかく風を通して湿気の澱みをなくすことで、
材木の腐朽などを防ぎ、シロアリの餌場を作らないようにします。

他には、ベタ基礎で床下一面をコンクリートで打設して、
シロアリの侵入を防ぐのも有効です。

また、建物以外に周辺の土壌に防蟻材を塗布するなどして、防蟻処理の範囲を広げるのも有効ですが、その他の動植物への影響も考慮しながらとなります。

それでもシロアリはやってくる

こうまでした対策をしても、シロアリが来るときは来ます。
早期に発見できればいいですが、
目視できるまでには時間が経過してしまう事もございます。

しかし、木造住宅の場合は、
構造躯体であってもある程度は入れ替えたり、補強したり、
することが出来ます。

シロアリの形跡を発見したら、
傷んだ箇所をしっかりと補修し、
改めて、防蟻処理をする、
可能ならば、原因を解消する、
ことで対処できます。

長期間、放置さえしなければ、心配し過ぎることはないと考えてます。

シロアリ対策として大事なのは床下の回遊

床下のシロアリの状況確認や防蟻処理の際には、
床下に潜ることになりますが、よくあるケースとして、

  • 床下に潜る点検口などが無い

  • 床下の空間が狭く(低く)、移動や作業が出来ない

  • 床下が基礎で囲まれて、全体的に回れない

と言ったことがあります。
これらは新築時の設計・施工によるもので、
新築時に床下の点検等について考慮していないということです。

これでは将来、シロアリ以外でも何かあった際には
メンテナンスが著しくしづらいです。

むしろ、そのままでは不可能であることもあり、
ただ、点検するだけで、
何カ所も点検口を作ることになったり、
床を大きく剥がさなければならなかったり、
大事になってしまうかもしれません。

先を見越した家づくり

どんなに最新の技術で建てた住宅であっても、
将来には様々なメンテナンスをする時期が必ずやってきます。

自社の新築住宅、注文住宅を宣伝する上で、
そうしたことを謳う建設会社は稀だと思いますが、
私たちは、むしろ、
将来、自分たちで維持管理することを前提に家をつくろうと、
考えています。

建ててからがその家との暮らし の始まり
建ててからが建設会社との本当のお付き合い の始まり
です。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。