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家づくりは計画的に

「家はお金が掛かる」
と言うのは皆さんもご理解されているかと思いますが、私の考えでは、

「家にお金を掛ける」 

「家にお金を掛けないか」

のどちらかだと考えています。


■家にお金を掛けない、掛けたくない理由

1 一国一城の主はもう古い

私の印象では、40~50年前は多くの方が「いつかはマイホームを建てたい」と考えていたのではないかと思っています。

一国一城の主 ってやつですね。

現代では、死語ですね。
むしろ、「持ち家はコスパ」が悪いなど言われていますので、家にそれほど魅力を感じていないのでしょう。

そうなれば、家にはなるべくお金を掛けたくないのは当然だと思います。

住環境の良し悪しや家が長持ちするかどうかなどは二の次で、とにかくお金を掛けずに暮らしたいという方が増えているのは理解出来ます。

2 人生最大の買い物ではなく、人生最大の借金

家は他の何よりも金額が高いですので、「人生最大の買い物」と言われますが、その金額にビビッているのではなく、住宅ローンの借り入れ、
つまり、
借金額の多さや返済期間の長さに恐れ戦いているのだと私は感じています。

現代はとにかくリスクを負うことへの拒否感、恐怖感を感じている方が増えているという印象です。

実際には、住宅ローンには団体信用生命保険などでいざという時に残されたご家族の安心につながる仕組みがあるなど、メリットも多いのですが、それよりも借金を負うというリスクの方が上回るのではないかと思います。

その割に、数年、10数年掛けて、頭金の準備や勤続年数の確保など、ご本人の住宅ローンが有利になる準備をしていないのがチグハグな印象ではあります。
借金とイコールになる家のことは、あまり、考えたくないという方も増えているのかもしれませんね。

3 建てたら建てっ放しは自分の代だけで良いという考えか

「家って何年もつの?」

と聞かれることがありますが、元々ローコストで建てられた住宅でなければ、一般的には40~50年前後はもちますし、それ以上も可能です。

逆に言えば、
「その家を何年もたせたいの?」
と私は考えてしまいます。

長く持たせるために最も大事なのは新築時の住宅の質ではありますが、
どんなに質の高い住宅であっても、その後のお手入れが不要であるということはありませんので、如何に質をキープするかがポイントになります。

自分の代だけ住めたら良いから、建てたら建てっ放しなのかな?
と感じてしまうような住宅も時々お見掛けしますが、放置期間が延びるほど、その後の選択肢は確実に狭まりますので、途中で使用期間や用途を変えないことがお勧めです。

急にお子さんに継いでもらおうと思いついて、
手の施しようのない古屋を渡されても負担になるばかりですので、ご注意ください。

■家にお金を掛けるのは損なのか

1 家は家族の資産

家や土地などの不動産は所有者が亡くなっても配偶者や子供が資産として相続することが出来ます。

しかし、資産が必ずしもプラスとは限りません

買い手のつかない土地やボロボロで手のつけようの無い家、などは相続してしまうとかえって固定資産税や維持管理費用ばかりが嵩んでしまい、負の資産になってしまう可能性もあります。

土地については、周辺環境や社会情勢等が変わらない限りは資産価値は変えようがありませんが、
建物については、維持管理次第で価値が大きく左右されます。

逆言えば、維持管理を放棄された住宅は築年数に応じて価値が目減り、いや、価値ゼロの資産として底まで落ちていき、最終的には解体費用分のマイナス資産へとどん底よりもさらに落ちることになります。

2 家にお金を掛け甲斐のあるなし

ローコスト住宅や質に全くこだわって建てていない住宅にいくらお金を掛けても、既存以上にするのは非常に難しいですが、元々ある程度質の高い住宅であれば、性能向上リフォームなどによって当時の性能以上に高めることも可能です。

性能向上リフォームによって、住みやすさ、住み心地がアップし、光熱費や家事負担を軽減出来た事例は弊社だけでも毎年増え続けています。

そもそも、長くもたせようとして建てられていない住宅(早期建替えを想定して建てた)にはお金を掛けても耐用年数を延命することが出来るかどうかは微妙なところです。

そうした場合(初めに著しくお金を掛けていない)には、当初の想定通り、早期の建替えを前提に準備しておくのが良いのではないかと思います。

3 現実は厳しくも優しい

自動車は定期的な車検が義務付けられていますので、少なくとも、プロの目で点検され、整備されています。

しかし、住宅は建てた後は所有者の意志によって点検も維持管理も実施するかどうかを委ねられています。

この差が安心安全への意識差だけではなく、中古自動車市場と中古住宅市場の市場規模や動きの差につながっていると考えられます。

自動車の整備詐欺と言うのはあまり聞きませんが、
住宅のリフォーム詐欺、メンテナンス詐欺が多発しているのも、
ここに原因の一端があるような気がします。

義務の有無だけでなく、意識の高低によって、お金の掛け方が随分と異なるようです。

4 思い立ったら吉日が出来る準備を

リフォームでも建て替えでも、思い立ってすぐに実施出来るとは限りません。
多少なりとも準備が必要です。

しかし、タイミングを逃すと実現が随分と遠のいてしまうどころか、実現不可能になってしまうことも良くあります。

生涯のライフプランを設計するように、
住宅においても中長期の計画をぼんやりとでも考えておくと、
自分のタイミングで色んな計画が実現出来るようになると思います。

■最後までお読みいただきありがとうございます