階段を考えよう
平屋住宅以外には必ず設置されている階段、
部屋ではないので何となく決めていませんか?
階段によって、暮らしが変わったり、安全性が変わったり、
色々と変化が起こっているのをご理解されているでしょうか?
今回は階段について考えたいと思います。
■階段について考えること
1)階段の寸法
昔の住宅の階段って急でしたよね。
上るのも下りるのも怖かったですよね。
しかも、手すりが設置されていないことも多く、家で最も危険な箇所と化していました。
現代では、階段の幅、高さ、奥行きなどの規定がありますので、かなり安全性は改善されてきました。
ただし、幅が広すぎても、段の高さが低すぎても、安全とは言えず、かえって危険が増す可能性があります。
2)階段の形状
階段には、大きく分けて
真っすぐ上り下りする直階段
途中で曲がりながら上り下りする曲り階段
丸を描くように上り下りする螺旋階段
があります。
一見すると、直階段が上りやすそうに見えますが、躓くなどして転倒した場合には一気に下階まで落下してしまう危険性があります。
安全性の観点から考えると、
落下中に途中で止まる可能性がある曲り階段が最も安全性が高い
と考えられます。
螺旋階段はそもそも上り下りもしづらいですし、落下時の安全性も高いとは言えません。
3)階段の素材
一般的には木製の建材や無垢材などで作られた木製階段が多く、
スマートに見せる階段などではアルミや鉄などの金属製の階段もあります。
素材選定のポイントは、
段板のスベリにくさです。
つるつるした素材を選ぶ場合には、何らかの滑り止め加工などが必要です。
木製階段には、段板の先端付近にくぼみを付けたり、突起を付けたりしているのは滑り止めのためです。
4)階段の位置
昔は廊下の突き当りなどに階段が設置されるのが一般的でしたが、
近年では、リビングに階段を設置するなど、階段を家の中心に据える設計も見られます。
ご家族の動線や距離感を階段でうまくコントロールする効果が期待されています。
ただし、階段は上階と下階をつなぐ役割の関係上、設置場所は必ず吹き抜けとなるため、空調への配慮も併せて検討する必要があります。
ちなみに、リフォームで階段をかけ替えたり、位置を移動したりすることは不可能とは言いませんが、難易度及び工事の規模的にはかなりのものとなりますので、新築の階段位置には十分な検討をしておくのが望ましいです。
5)階段の手すり
どちらか片側に設置しなければなりませんが、連続的に設置するのが望ましいです。
また、両側に設置する場合、手すりによって階段幅が圧迫され、かえって上り下りに支障をきたす可能性があるのでご注意ください。
また、一般的には木製の丸型手すりが多いですが、格子状だったり、金属製だったり、様々な素材、デザインの手すりがあります。
階段がリビングなど目立つ場所に設置し場合には手すりのデザインの重要にはなりますが、最も重要なことは安全性ですので、安全との兼ね合いは十分に検討した手すりをお選びになることをお勧めします。
階段周りの事故はとても多いです。
■階段の無い家=平屋 は最高か
究極の贅沢な家とも呼ばれるのが平屋建て住宅です。
平屋で生活空間が確保できるということは、
まず、それなりの広さの土地が必要ですし、
割高になる施工費を賄えるほどの資金も必要です。
一方で、これまで快適なような階段がなくなりますので、家の中での事故発生率はかなり下がりますし、将来的に足腰が弱ってきたとしても、不便なく過ごすことも出来るというメリットがあります。
また、屋根などのメンテナンスもしやすく、維持管理もしやすくなりますので、コスパは決して悪くはないと思います。
ただし、自然災害が多発している現代では、上階への避難で助かるケースも考えられますので、階段がないことが最高とは必ずしも言えないと思います。
地域、家族構成、土地状況、資金状況、
様々な観点から階段は検討すべき要素ですので、私が家を設計する際には階段をどこに置くかを中心に考えることが多いです。
普段は何となく上り下りしている階段、
新しい家を建てる際には、階段のことにも少しだけ注目してみていただければと思います。