空き家をどう活かすか
近年、私の住む地域では、
たくさんの新築分譲住宅が建設されています。
年間数棟ではなく、年によっては数十棟から100棟以上の戸建て住宅が新築されています。
そのため、急激な子どもの増加によって、
幼稚園、保育園、小学校などでは、定員以上の子どもたちの受け入れに苦慮している場面もあります。
子どもが増えることは町としては嬉しいことではありますが、
一時的なことだとすると、
将来、辿る道は過去の大規模分譲地のような高齢化、ゴーストタウン化ではないかという心配もありますので、今後の施策に期待したいところです。
他にも、これだけ新築住宅が増えれば、空き家問題もさらに深刻化してしまうのではないかという懸念もあります。
空き家って、どうやって活用するのがいいのでしょうか?
■空き家の使い方は状態が大事
1 偏に空き家と言っても
空き家は、人が住んでいない(空いている)家ということですので、
築浅の家もあれば、だいぶ年季の入っている家もあります。
また、閑静な場所に建つ家もあれば、住宅密集地に建つ住宅もありますので、建物や土地の状況が1軒ごとに全く異なります。
そのため、空き家対策、空き家の活用方法と言っても千差万別だというのが対策が進まない要因の一つだと思います。
2 空き家には履歴がほとんどない
古い住宅の場合、いつ頃に建てかくらいは分かりますが、確認申請の書類はおろか、図面や仕様書などが無いことは珍しくありません。
また、過去にどんな修繕をしてきたかも、記録が無いことがほとんどですので、その家の履歴が分からないことも良くあります。
そうなると、一から状況を調査することになり、必要となるメンテナンスもより規模の大きなものになることが多いと考えられます。
3 性能よりもまずは見た目ではありますが
どれ程、頑強に造られていたとしても、立派な柱や梁を使っていたとしても、外観や内観の見栄えが良くないと、それだけで価値が左右されます。
一方で、建築のプロとしては、見栄えよりも、躯体の状況の方が重要と考えます。
見栄えは直しやすいですが、躯体の方は直すのはだいたい大掛かりになるからです。
■空き家の使い道
1 中古住宅として暮らす
最もシンプルな使い道は、そのまま家として使うことです。
元々、住宅として使ってきた建築物ですので、そのままでもすぐに暮らすことは出来ると思います。
ポイントとしては、
耐震性や断熱性などを現行レベルまで上げるか
設備機器をリニューアルするか
内外装をきれいにするか
というところです。
3→2→1と工事の規模が大きくなります。
2 投資目的に使う
賃貸住宅と言うと集合住宅が一般的ですが、戸建て住宅のニーズも少なくありません。
また、昔のように一つの場所に生涯住み続けるのではなく、ライフスタイルなどによって住み替えたいというニーズも増加し、住み替えしやすい戸建て住宅の賃貸のニーズも高まっていると考えられます。
3 店舗として使う
最近、古い住宅をリフォームした店舗を見かけるようになりました。
古民家カフェなど飲食店として利用している事が多いですが、販売業やサービス業など、様々な分野で活用可能だと思います。
また、ただの店舗ではなく、元々の住宅を活かして、店舗併用住宅として、住みながら商売も出来る可能性もあります。
4 貸しスペースとして使う
通信技術の進歩により、会社のオフィスは立地を選ぶ必要性が下りました。
また、そもそもオフィスと言うもの自体の考え方、必要かどうかも変わりました。
そのため、貸しオフィスなどのニーズが高まっているので、空き家もそうしたオープンスペースとして使用することも出来ます。
仕事、地域の集まり、子どもたちの遊び場、など必要な時にだけ利用する貸しスペースとしても使えるのではないかと思います。
都知事選が終わったばかりですが、
地方選挙や国政選挙などの選挙事務所として、議員候補の方々が積極的に使ってくれたら少しは空き家も活きそうですね。
■個人で考えるのは難しい
空き家をどうするかを個人で考え、売却なり、賃貸なりを実行するのは中々大変です。
不動産業者に相談しただけでは、なかなか進まないことも多々あります。
自治体によっては、空き家を登録・管理し、移住者の住まいとして提供するなど、自治体が主導で活用していることもあります。
また、民間企業でも、空き家の活用を得意としている会社もあります。
空き家で問題を抱えているご家庭はこうした所にも相談してみるのが良いと思います。
そして、放置している期間が長いほど、空き家の状況は悪くなりますので、対処は早めがお勧めです。