あるもので造った家と家に合わせた材料で造った家の違い
木材には、様々な産地、樹種、部位、サイズなどの種類があることをご存じでしょうか。
ホームセンターなどに販売されている木材はほんの一握りの種類でしかありません。
それら既製品を使って家をリフォームせざるを得ないのがDIYだと思いますが、業者に依頼する現場でも既製品だけで造らざるを得ない現場が増えているようです。
■「現場合わせ」が大事な理由
1)現場合わせは必ずしも現場丸投げではない
「現場合わせ」 と聞くと、
現場の事を知らない(分からない)設計士や現場監督が現場の納まりを現場で作業する業者に丸投げする場合にも用いられる恐ろしい言葉の一つですが、そうではない場合にも用いられます。
私が「現場合わせ」を使う場合は、
特にリフォーム現場など、既存を解体して見ないと分からない状況について、「現場状況に合わせて調整する」 という意味で使用します。
2)リフォーム現場は一軒一軒が異なる
マニュアル通りに施工し、決められた材料で造られる新築住宅とは異なり、
リフォーム現場は、
建てた会社や建てた年代も異なりますので、
一軒ごとに調整が必要な箇所が出てきます。
そうすると、決まったサイズの材料が使えないケースが多々あります。
一般的な工務店が施工する現場では、
現場に合わせて材料を加工して納めことになりますが、
既製品だけでもそれなりには納められます。「それなりに・・・」です。
しかし、加工場や加工機械を持たない請け負いの業者さんで、かつ、材料まで元請け会社から支給されてしまう場合には、与えられた材料で現場を納めなくてはなりません。
きっと、現場状況に合わない材料を何とか工夫して取り付けるなど、苦労してそれなりに納めていらっしゃるのではないかと思います。
3)リフォーム現場は時間との勝負
最近の建築現場の状況としては、スピードを競うように工期短縮を至上命題としていますが、リフォーム現場ではさらに時間との闘いになります。
ですから、そもそも、現場に合わせて加工している時間もないのかもしれません。
施工前に予め入念な現場調査を行い、加工した材料を仕入れていれば良いですが、事前調査には限界がありますので、やはり、現場合わせの部分が出てくるのがリフォーム現場です。
工期の中に、現場合わせで加工する時間も見込んでおかねば対応することは出来ません。
4)合わない材料を使うとどうなるのか
プロが施工しているとはいえ、
現場状況に合わない材料を使って、本来の納まり方とは異なる取付け方をせざるを得ない場合、しばらくは問題が生じなかったとしても、将来的に不具合が生じる可能性があります。
そうした現場をいくつも見てきました。
本来使うべき材料を使わずに、ある材料で何とか納めてしまったため、隙間が生じたり、固定が緩んできたり、後では直すことが出来ない不具合が生じて現場です。
5)既製品を使うこと、加工をしないことはコストカットにつながる
既製品とは、数多く販売されている商品ですので、オーダー品よりもコストは安いです。
また、材料を加工するには加工する時間と加工する機械・場所が必要ですのでコストに直結します。
ホームセンターで木材をカットしてもらうのだって費用がかかりますよね。
ですから、
安さを追求するには既製品をそのまま何とかして使うことが有効です。
つまり、ほぼDIYですね。
ですから、もしも、
「安くしたいから、既製品だけで家をリフォームしてください」
と私たちにご依頼いただいたとしたら、お断りさせていただくと思います。
なぜなら、後で直せない不具合が生じた場合の責任を負えないからです。