麹料理 by mariさん(Tabi:sara第6回)
「今日は麹料理なんです!」
と、案内されたキッチンでmariさんが言った。
案内されたのは、きれいに片付いたダイニングキッチン。
そこはmariさんが主催している料理教室のキッチンだった。
韓国料理やパンなど、様々な講師の方を招いておこなう料理教室だ。
麹とは?
僕の麹の知識はほとんどない。米と菌というキーワードくらいしか出てこない。自分では使ったことがない麹。そういえば、ちょっと前に塩麹とか流行ったような気がする。
知らなくても特段不便は無いが、知っているとレベルが1段上がった気がする調味料(のような気がする)
今日、初体験させていただけるのはありがたいことだ。
「緊張する~」といいながら、さっそく慣れた様子でテキパキと料理にとりかかるmariさん。
「緊張するので、下ごしらえはほぼ済ませてあります」と言っているが、かなり段取りよく料理がすすむ。
それもそのはず、mariさん自身も料理教室の講師の一人なのだ。
ここで僕が聞いたことはあるが、あまりよく知らないワードがもうひとつでてきた。
マクロビオティック
なんとなく身体によさげな感じがする。
mariさんに少し話を伺うと、
基本的に素材のもつ力を最大限に引き出して料理するということだった。
なるほど、僕のつたない知識から考えるに、栽培の段階から農薬などで無理な生育を促さず、採れた旬の野菜を食べるとか、そういうことか。
mariさんいわく、ガチガチにマクロビオティックの理念を守って料理するのではなく、いいとこ取りでやっているということだった。mariさんが講師を務める料理教室の料理を作っていただけた。
そういう話を聞かせていただきながらも、mariさんの手は止まらず料理は進む。
まずは五目炊き込みご飯だ。
これには塩麹が使われているようだ。
ご飯を炊いているあいだに、キノコの常備菜。
カットしたキノコに塩麹と酒。
あとは火にかけてしばらく放置。
「簡単でおすすめですよ」ということだ。
すぐに次の料理、白和え。
ゴマを炒るところからだ。このひと手間が大事だという。
なかなか真似できない。
茹でたサヤエンドウと和えて完成。
早い。
普段自分がなかなか口にしないものが多い。エンドウなど、自分では買わないし、白和えは人生で一度しか作ったことがない。
素材の味を楽しむ食事……楽しみだ。
さらに白和えでもう1品が!
アボカドをディップしてたべたら美味しいそうだ。
モッツァレラチーズ添え。
白和え
・木綿豆腐
・白味噌
・甘酒
・醤油
いつもなら、レシピには具体的な分量を書くのだが、料理教室で教えている料理のため、ご容赦いただきたい。
なんと唐揚げまで。
唐揚げは僕もよく揚げるし、先週も1週間の弁当のおかずのために、大量に揚げたところだった。
「最近はいろいろなお店で唐揚げを売っているので、世の中のお母さん方は、唐揚げを自分で揚げずに買って来る人が多いらしいですよ」
と、mariさん。
たしかに。自分も話題の店の唐揚げを一度買ったことがある。しかし、揚げ物をしなくなると、レパートリーが減ってしまうし、外で買うものはどうしても味が濃い。僕は家でやりたい派だ。
さて、このあたりでご飯が炊き上がる。
すべてのものが同時に出来上がった。すばらしい。
さらに、魔法のように出来上がった味噌汁まで出てきた。
味噌も自家製だそうだ。
常備菜キノコ
・好みのキノコ
・塩麹
・酒
【作り方】
①カットしたキノコを鍋に入れ、塩麹、酒を加え、弱火で蒸し煮をする。
②途中天地替えをし、さらに蒸し煮する。
五目炊き込みご飯
・鶏モモ肉
・にんじん
・ごぼう
・しめじ
・里芋
・塩麹
・醤油麹
・本みりん
・出汁
・ごま油(お好みで)
なんと豪華な食事だろう。
しかもすべて「優しい」
醤油麹唐揚げ
・鶏もも肉
・醤油麹
・酒
・にんにく
・生姜
・片栗粉
唐揚げのプレートにサラダが付いているのだが、そのドレッシングも手作りだった。カップに入っているオレンジ色のがそれだ。
にんじんをベースに塩麹などで作っているそうだ。冷蔵庫で1ヵ月保存できるそうなので、重宝しそうだ。
使う材料はスーパーで手に入るものしか使わないという。
僕も経験あるが、聞いたこともない材料がレシピに載っていて、ちょっとしか使わずに、気がつけば数年後、冷蔵庫の片隅から出てくるビン。
当然、賞味期限ははるか昔。
処理が面倒で、他の家族の発見を頼りにして、そっとビンを奥底にもどし、なにごとも無かったように振舞ったことは誰にでもあるはずだ。
スーパーで手に入る材料で、普段作れる料理を教えたいということだった。パスタだ、ハンバーグだ、などはほっといても自分で調べて作るだろうから、こういった料理を若い世代にも知ってほしい。
味噌汁とご飯。
味の濃さがちょうどよい。ほんのり薄味なのかもしれないが、ゆっくり味わって食べるにはちょうどいい。
ひとつひとつの材料の量が考えられているため、どれかひとつが主張することなく、調和している。
僕がつくると、ごぼうなど、適当に入れるので、ごぼうの味しかしない汁物ができたりする。
白和えのなんとやさしいことだろう。
エンドウのおいしさを引き立てて味わえると思ったら、アボカドとの相性の良さにびっくり。さらにチーズとのハーモニー。
これに繊細な味のお酒を合わせてもいい。
唐揚げも揚げ方が上手なので、ジューシーな仕上がり。ちゃんとタレにつけこんでいるため、ここは男性にも満足なしっかりとした味とボリューム。
野菜とドレッシングがまた美味しい……
どれを食べても、「優しい」感じがする。
旬の味を生かし、最低限の調味料で味を引き出しているからだろう。
まずは塩麹だけでも、ちょっと使ってみたくなった。
熊本で「jouir」という名前で料理教室をされているので、興味がある方は検索されてみては。
今日もごちそうさまでした。