世界は色であふれている②


Q. 次のうち、仲間外れはどれでしょう?


「白 黒 赤 青 黄 緑 茶」




たぬきちです。


前回はイメージカラーの話から始まり、私が色というものを考えるに至ったきっかけを書きました。

今日は、そんな色という概念が、日本においていかに生まれ、いかに変化していったのか、書きたいと思います。


さて、冒頭の問題についてですが、皆さんお分かりになりましたでしょうか?

ヒントは、「形容詞」です。

少し下に答えを書くので、もう少し考えたい方はスクロールを一旦止めてみてください。










それでは、正解の発表です!

A.緑

緑以外の色は、すべて形容詞的な表現が存在します。
白い 黒い 赤い 青い 黄色い 茶色い

一方、緑は「緑い」という言葉も「緑色い」という言葉も存在しません。

ちなみに後ろに「い」がついて言葉になるのはこの「白・黒・赤・青・黄色・茶色」の6色だけです。


ではなぜ、この6色だけが形容詞になりうるのでしょうか?
よく見ると、白・黒・赤・青は「い」をつけるだけでいいのに、黄色と茶色だけは「色」という言葉がないと成り立たない…。

そんな疑問に答えるべく、少しタイムスリップしてみようと思います。
私が初めてこの話を聞いた時は結構衝撃的で、「色ってめっちゃ面白い!」と更なる興味を掻き立ててくれました。


2 現代における色の種類

現在、この世に存在する色は何種類あるのか、皆さんはご存じでしょうか?

その答えですが、これはずばり、人の視力によって分かれます。

例えば、一口に「青」と言っても、水色のような薄い青から、紺色のような濃い青まで様々ある訳ですが、視力がいい人ほど、この水色から紺色の間をより細かく分けて認識できるわけです。

ちなみに、私たちが生活する通常の環境において、健康な人間の場合、およそ187万5,000色を見分けることが可能だそうです。

…とまあ、これはあくまで識別可能な色の数の話ですが。
では、ちゃんと名前がついている色って一体どのくらいあるんでしょうか…。

ついこの間、「バースデーカラー」なるものがインスタで流行っていました。それぞれの生年月日に異なる色と人柄が割り振られていて、自分の生年月日と照らし合わせて楽しむというものです。

ということは、「バースデーカラー」なるものが存在する時点で、既に366種類以上は名前がついている色が存在することになりますね。

ちなみに、「色名大辞典(著者:日本色彩研究所 編、和田三造 監修)」という本には、2,130種類の日本の色名が掲載されているんだとか。いずれにしても果てしない数字ですね…。


今でこそこれだけ細分化されている色ですが、はるか昔の日本では、なんと4色の概念しか存在していなかったと言われています。


3 昔の日本における色の種類

いつ頃かは明確に分かりませんが、昔の日本では、一つの色において(そもそも色という概念として捉えていたかすら分かりませんが)、より広い意味を持たせていたという説があります。

それはつまり、
①明るいか、暗いか
②はっきりしてるか、ぼんやりしてるか
という基準によります。

まず①ですが、
明るいを意味する「あかし(明し)」という言葉から、「あか」という言葉が生まれました。これが「」という色の起源です。
読んで字の如く、当時は明るい色全般(オレンジや黄色も含まれていたと思われる)を「あか」と呼んでいました。

そして同じく、暗いを意味する「くらし(暗し)」という言葉が転じて「くろし」となり「くろ」が生まれました。これが「」の始まりです。
夜などの暗闇を表していました。


続いて②です。
「はっきりしている」という言葉は、今でいう「著しい」という漢字を使って「いちしるし(著し)」と呼び、転じて「しるし」→「しろし」と呼ばれるようになり、「しろ」が誕生しました。これが「」の始まりです。
枕草子では「ようようしろくなりゆくやまぎわ」なんてフレーズがありますが、これは「だんだん白くなっていく」と同時に「だんだんはっきり見えてくる」という意味も含まれていたのかも。

そして、「ぼんやりしている」という言葉は、「淡い」ともいい、当時は「あはし(淡し)」と呼んでいました。これが「あをし」となり、「あお」という言葉が生まれました。「」の始まりです。
読んで字の如く、淡くぼんやりした感じの色は当時は皆「青」と呼んでいたと思われます。紫や灰色なんかも「青」の範囲です。

また、当時は「緑」も青の一部であり、森や植物なんかを「青」と表現する言葉は今でもたくさんあります。「青菜」「青汁」「青りんご」「青々と茂っている」…。これらの言葉は当時の名残だったと考えられます。「青信号」だって、現代の色で言えばどう考えても緑だもんね(笑)。

以上、
①明るい(赤)⇔暗い(黒)
と、
②はっきり(白)⇔ぼんやり(青)
の二要素が、当時の色という概念の全てだったという考えです。

もともとが形容表現から派生した言葉なので、「赤(明)い・黒(暗)い・白(著)い・青(淡)い」の4つは「い」をつけるだけで形容詞が成立すると考えられます。

ちなみに、黄色と茶色だけがなぜ「黄色い」「茶色い」という形容詞として存在しているのかは、私もよくわかっていません。
諸説ありますが、語呂の良さが大きい気もします(笑)。

「き」「ちゃ」という一音に対して「い」だけつけると、
「きい」「ちゃい」
うーん、なんかしっくりこない…

色を入れておくと、
「きいろい」「ちゃいろい」
うん、これだな!
的な(笑)

逆に、「みどり」「むらさき」などの3音以上の発音だと、
「い」や「いろい」をつけるよりも
「みどりの」「むらさきの」
と発音した方が使いやすかったのかもしれませんね。



…とまあ、以上が「日本は最初4色しかなかった」という話でした。

私はこの話が大好きで、以来この「赤・黒・白・青」の4色のことを勝手に「色の四天王」と呼んでいます。

前回の記事では、私が小学生の時に「赤のライバルは緑」「青のライバルは橙(オレンジ)」と定義づけたと話しましたが、
古代日本の視点に立てば、「赤のライバルは黒」「青のライバルは白」ということになりますね。

ちなみにこの赤・黒・白・青の4色、実は方角や季節、曜日なんかとも関係があるのですが…長くなりそうなのでまた今度にします(笑)


今日はここまで!

ここまで読んでいただきありがとうございました(^^♪





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