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WOWOWライブ•充希さんの宝飾時計を観て

根本宗子さん作•演出
高畑充希さん主演の宝飾時計
WOWOWライブで観ました。

根本宗子さんは、小説を
偶然読んでいたので
名前は知っていたのですが
演出、脚本を書く作家さんだったんですね。
驚きました。

後日春馬くんとの対談も読んだことがあって
春馬くんが「根本さんの舞台に出たい
作品化の折にはオーディション受けます」って
言っていたような記憶があります。
根本さんがその言葉を受けて恐縮されていたような。

根本宗子さんを高畑充希さんが
リスペクトしてこの作品につながり
高畑充希さんへのアテ書きで
舞台になったと聞いたので、
春馬くんと充希ちゃんの2人で
根本宗子さんのお話しもしていたんでしょうね。

なので、全く作品に対しての
予備知識もなく
しかも舞台の高畑充希さんは
初めて観るという状態でのWOWOWでの
観劇でした。

舞台のなかでも子役が主役の
オーディション場面から始まり、結果

充希ちゃんのゆりか
小池栄子さんのまりか
伊藤万理華さんのきょうか
この三人のトリプルキャスト。
相手役の男の子は、最初からシングルキャストの勇大くんです。(成田 凌さん•小日向星一さん)

この物語はオーディションの子供時代から
成長し大人になり
老人になるまで高畑充希さんが演じるのですが

2幕ある舞台時間2時間半。
大人時代から子供時代へ、そして大人と子供と
舞台設定が舞台の上で時間軸が猛スピードで
くるくると変わっていきます。台詞の量も膨大。

子供時代もオーディション、舞台控え室と
設定がくるくる変わる。
いきなり大人になって家で食事していたり、
舞台の控え室になっていたり
観る方もこの目まぐるしく変わる時間軸と
設定の変化についていくのに頭はフル回転。
演じるほうが大変ですが
しっかり子供に見えたり、大人に見えたり
服装の変化も容貌もほとんど変わらないのに
表現だけで伝わってくることに驚きます。

ステージママに連れられてくるきょうかの
他のメンバーに対する牽制ぶり。
充希ちゃんの演じるゆりかは、
親が忙しいからと劇団に入れられていて
その流れでオーディションを受けに来ている女の子。自分が芸能人を目指すという自覚もないままこの世界に入った設定で生きています。
そこで出会った男の子、勇大。
ふたりは自分のいちばん大事なものや好きなものを人に伝えられず三番目に好きなものを言ってしまう子供たち。だから手に入ったものを
大事に出来ない。そんな気持ちの共有を通じて
心を寄り添わせていきます。

驚きの展開

そんななか、ゆりかの演技が一番好きと言ってくれた勇大くんは
なぜか海に身を投げて死んでしまうのです。
理由も分からず、自分たちのなにかがきっかけで彼を追い詰めたのかと心を痛める残された人たち。

当然充希ちゃんのゆりかも心通わせていただけに最後に会った時の自分の言動のせいかと
勇大くんの死を認めることができません。

彼が亡くなってもこの舞台を何年も続けたいと
頼み込み、自分の意思で成長を止めてまで
同じ舞台を大人になるまで続けていきます。

ゆりかは勇大の死を受け止めることができずに
心の中で彼と会話し続けた結果
舞台がはねたあとの30分間だけ
死んだはずの勇大が目の前に現れて
会話ができるようになってしまうのです。

そんな彼と離れられなくなり
何十年も子役の役をやり続けてしまう、ゆりか。

人間の心の深層


根本さんの小説は、人間の心の深層を
たくみに書いてある印象がありました。

舞台に出てくるひとりひとりの
背景や心、言葉がひとつひとつ
重いものがありました。

わたしの中で印象に残った一つに
小池栄子さんが演じたまりえが
成長し、結婚してママになって
どうして結婚したのかという話に
自分の家族に期待出来なかったから
自分で家族を作った。だからパートナーは
好きな人っていうより
家族を作っていくのに最適なひとだったのよ。というような言葉。

きょうか。彼女は宝塚受験に失敗し引き込もりになっていて、ステージママに守られて、
親の望みどおりに生きてきたから自分が無くて、失敗したらどう生きていいのか分からない。
そんな私にしたママを憎んでいるけど、
自立できない自分自身も情けなくて依存しながら憎んで生きていくしかない。

などの重い言葉です。


それはやはり愛だよね


舞台は、美しくて
高畑充希さんの歌う素晴らしい曲も圧巻でした。椎名林檎さんの歌詞、さすがです。

今を生きる才能豊かな人たちの
あふれる空間での舞台でした。

2幕では1幕でのストーリーの
伏線回収がどんどんあって驚くような
展開で2時間半飽きることなく
時間が経っていきます。

この舞台では、ゆりかの孤独と
勇大にたいする愛が
エンディングまでずっと続いていくのです。

最後に老いてなお待ち続けた
ゆりかのもとに大人勇大が現れて
彼の腕の中で亡くなっていった
彼女は最後に幸せになれたのでしょうか。

逢えなくても心の中に
その存在があり続ける
想い続けるその気持ちがどんなに
孤独でもそれは愛としか呼べないですよね。

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