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雑記「シナリオS1グランプリ経験談」…名作、お借りします

「創作の手がかりについて」の続きになります。

学びの中の宝石

2014年7月27日から、映画を観て印象に残ったシーンや台詞をメモする、という鑑賞記録ノートをつけています。元々演技の勉強として始めた事で、配信で様々な映画が観られるようになってこれを糧にしたい、と思ったのがキッカケでした。最初はUULAというサービスでしたが、今はAmazonPrimeですね。他にもいくつかサブスクを使っており、自分の趣味の範囲をカバーしています。
ノートは現在3冊目ですが、もうボロボロの一冊目を見返しますと、2014年10月28日に前項で感想を書いた「十二人の怒れる男」の記録があります。流石に8年前となると「こんなの観たっけ」的に薄れてるものが多いですが、この作品はハッキリと覚えていました。それだけ印象深く、面白かったのだと思います。
今年、「教育者への怒り」をテーマに作品を書こうと思い立ち、続けて思い出したのがこの映画でした。映画全般を通して同じ場面、会話劇だけで進行するかなり変化球の作品ですがこれを真似てみよう、と思いついたのです。当時は演者側の視点でしたが、ここで登場するのですからインプットは何処で活きるかわかりません。
なので、常日頃意識を切らしてはいけないのだと思います。

脚本で魅せる、という命題

脚本コンクールは当然ですが脚本だけで判定されるので、「面白い脚本」を書かなければいけません。規定の長さが二時間もので、映画を想定せよとあるのなら映画の脚本として書くわけですが、映画の面白さとは必ずしも脚本に起因しない場合があり、少々厄介な問題を孕むケースがあります。
映像、音楽&効果音、役者の演技が観客を引き込む場合もありますしそれらの相乗効果も勿論あります。どんな部分が観客の琴線に触れるかは映画が公開されなければ判らない、ギャンブル的な側面があるのです。
ですが脚本コンクールに映画用脚本を出して良い結果を得たいのであればあくまでも脚本で観客を惹きつける事を考えなければなりません。
戦争映画の迫力ある描写、カンフー映画のアクション、ピンク映画のセクシーシーンは脚本に書いたとしても、コンクールで評価を得るポイントにはならないのですね。
そんな事は当然だろうと言われそうですが、脚本を書く立場だと脳内にそれらのシーンが描かれており「見せ場」として機能してしまいがちです。公開されている映画の脚本を読むと、実際は見せ場だけども、ト書きでは一行あるだけ。ヒット作だけど、読んでも全く面白くないという事は往々にしてあります。
脚本だけで勝負する脚本コンクールには向かない素材、ジャンルというのは明確に存在すると思っています。「アクション物でも人間ドラマはあるだろう」という反論もありそうですが、ぶっちゃけ、それならアクションは要らないというのが脚本で「完成品」にしなければいけないケースの実態です。

借りるのは骨組みだけ

そういう意味で、「十二人の怒れる男」は文章のみで面白く、その神髄が伝わる作品だと確信を持てた、というのがあります。これは色々な映画を観て来たからこそ言えるので、忘れてしまった作品にも意義はありました。

早速、Blu-rayを購入

で、買ってもう一度、更にもう一度と二回観て、「やっぱり滅茶苦茶面白い」と思いました。二回目は友人と一緒に観て、友人からも高評価を得ました。半世紀以上前の作品ですが、古びていない事を実感できましたね。
そしてプロット造りに取り掛かった訳ですが、丸々パクるのではなく、

・一室のみでの展開
・会話劇での進行
・「逆転」が起こる

この要素を拝借する、と念頭に置いて考えていきました。
あからさまなオマージュではなく、この映画の良い部分を借りる感覚ですね、返す訳ではないですが。
結果的にはこれが功を奏したので、過去の名作に学ぶという手法は正しいと言えます。

テーマと、骨組みが決まったところで、決め手となったのが「独自性」です。
それが「対戦格闘ゲーム」なのですが、そのスパイスについてはまたの記事で記そうと思っています。

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